活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

韓国の清州古印刷博物館

2007-05-27 14:17:14 | 活版印刷のふるさと紀行
 写真を見てください。小さくて判りにくいかもしれませんが。
僧侶姿の三人が、折りしも「直指」とある印刷物の表紙を印刷中です。
もちろん、人形ですが。

 ここは韓国の忠清北道、清州市にある清州古印刷博物館、高麗時代の印刷術や朝鮮時代の木版印刷や金属活字をはじめ、古活字や古書、古い印刷道具を一堂に集めたユニークな博物館で、人形を使って「直指」の印刷プロセスの工房を再現している1コマです。
 
 神田川大曲塾の「印刷文化のふるさと探訪」で訪ねました。
 博物館もぜひみていただきたいのですが、ここで、私が紹介させていただきたいのは、韓国が誇る世界最古の金属活字本の「直指」、これは、略称で、「白雲和尚
抄録仏祖直指心体要説」であります。
 
 誤解があるといけませんが、前々回の「無垢浄光大陀羅尼経」は、木版印刷でした。「直指」は金属活字で1377年に印刷されているので、1455年のグーテンベルクの「四十二行聖書」よりも78年も早いというわけです。

 もっとも、この本を発見したのは朝鮮時代の末に、ソウルに勤務していたフランス大使で帰国の際持ち帰ってしまったそうです。1972年になって本の歴史展に出展されて、「オヤッ」ということになったのです。

 もう一つ、この印刷博物館のある場所こそ、「直指」を1377年に印刷した興徳寺の跡地だそうで、韓国の印刷文化遺産、遺物に対する真摯な取り組みぶりに敬意を表したいものです。
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韓国、海印寺の世界遺産

2007-05-27 12:59:37 | 活版印刷のふるさと紀行
 韓国の印刷の話の続きです。
 海印寺、ヘインサの版木のことは、前に本で読んだことがありますので、期待に胸を膨らませて慶尚南道の山里へ向いました。その前に昼食をというので、日本でいうなら山菜料理を味わったのですが、その辛かったこと、つい、咳き込んで涙までこぼした始末。

 さて、きれいな山門のところまで出迎えのお坊さんが来て下さって、恐縮しましたが、境内は広く、あちこち、参拝してようやく、本堂裏の八万大蔵経の版木が収められている板庫に案内してもらいました。

 大蔵経というのは仏教の経典の集大成で、海印寺に納められている八万の版木は1236年に高麗の高宗が元の侵略から国を守る祈願から製作を命じ、1251年、当時の都の所在地江華島で完成、1398年にここに納められたと聞きました。

 1995年に建築を含めてユネスコの世界遺産になりました。
さいわい、板庫内部を一巡できましたが、正直いって、隙間風やひょっとしたら、陽光も入ってくださいという、なんとも自然任せの構造にビックリでした。
 静謐な山里で、風の流れまで計算したつくりが版木を守っているのでしょう。

 版木の材料はホウノキで海水に数年漬けてから彫ったと聞きました。
 何度も火事にあっいているので、版木にオリジナルと復刻とがあります。
韓国に行ったらぜひ、訪ねたいところです。
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