読もうと思ったきっかけは、
「三女の雪子は現代でいうひきこもり」というのを、どっかで見て。
どんなんかなあと。
上中下三巻なんだけど、文章は読みやすくてすいすい読めた。
四姉妹のうち、上二人はすでに結婚してて、
三女の縁談話と、四女の(当時にしては)奔放な生活がメイン。
昭和10年くらいの話ながら、
身分が違うから結婚できないとか、女性が外で働くのは恥とか。
見合い相手の身上調査の徹底ぶりとか。
そんな価値観、ずっと前のことにように思えるけど、
ほんの80年前はこうだったんやな。
時代の流れの速いことよ。
あとは、「世間体が悪い」ってのが、頻繁に出てくる。
未婚の妹二人が、本家(長女の所)に寄り付かず、
分家(次女の所)にばかりいるのは、「世間体が悪い」。
四女が、以前新聞でスキャンダルネタにもなった、
恋愛相手のええとこのぼんぼんと結婚しないのは、「世間体が悪い」。
井上ひさし「四千万歩の男」の中に出てきた一文を思い出す。
「日本人には、原則や筋論は二の次三の次で、
大切なのは周囲からどう見られているか、どう評価されているか、
ということなのですな。
周囲を、近くを見て生きている。」
少なくとも江戸時代から、日本人が気にするのは「世間体」なのね。
ちなみに、「雪子ひきこもり説」については、
確かに、「世間体」の理由により、東京に越した本家についていき、
東京で暮らしてる間は、ひきこもりかも。
友人もいない関東では、全然出かけてないみたいだし。
でも、たまに次女の家に来てる間は、
お芝居だなんだと、けっこう出かけてる模様。
雪子は結局、15年以上も、「家事手伝い」だったわけで。
(35歳でようやく結婚が決まる)
家事手伝いっていっても、お手伝いさんを雇うくらい裕福な家だから、
甥姪達が病気の時看病する以外は、それほど仕事があるようにも思えない。
毎日何してたんだろう。それが不思議。
あ、四女は、人形製作という特技があり、
それで収入を得ていたので、仕事を持っていたといえる。
だから生活は想像できる。
昭和は遠くなりにけり。
あと100年たったら、どんな世の中になってるのかな。