音の想い出
子供の頃病気で寝ている時に、布団の中で飛行機が飛んでいる音をよく聞いた。
当時昼間は母の実家に預けられていた自分は、病気になる度、和裁の仕事をしていた祖母と叔母のいるお針場の隣の部屋に寝かされた。
音を聞くのはいつも天気のよい青空のときだったように思う。
熱でだる気を帯びた体を持て余しながら、ぼんやりと窓の向こうの空を眺め、眼に見えない飛行機から発せられる音をぼんやりと頭の中に響かせていた。
穏やかな天気日和の日、その音は間のびした感じで、とてものんびりとしていて、ひとときエンジン音を鳴らして、自分のいる場所の上空から消えていく。だんだんと小さくなっていく音にさえも、子守唄とはまったく違う安らぎを感じて、何かとても安心することができた。もしかしたらその音から空の広がりを感じて、空に包まれているような優しさ、暖かさを感じたからなのかもしれない。
今も時折同じ音に遭遇する。そんな時は子供の頃感じた感覚がいつも甦ってくる。過去の空と現在の空、繋がっているなあと、その都度ささやかな喜びを、束の間噛み締めている。
子供の頃病気で寝ている時に、布団の中で飛行機が飛んでいる音をよく聞いた。
当時昼間は母の実家に預けられていた自分は、病気になる度、和裁の仕事をしていた祖母と叔母のいるお針場の隣の部屋に寝かされた。
音を聞くのはいつも天気のよい青空のときだったように思う。
熱でだる気を帯びた体を持て余しながら、ぼんやりと窓の向こうの空を眺め、眼に見えない飛行機から発せられる音をぼんやりと頭の中に響かせていた。
穏やかな天気日和の日、その音は間のびした感じで、とてものんびりとしていて、ひとときエンジン音を鳴らして、自分のいる場所の上空から消えていく。だんだんと小さくなっていく音にさえも、子守唄とはまったく違う安らぎを感じて、何かとても安心することができた。もしかしたらその音から空の広がりを感じて、空に包まれているような優しさ、暖かさを感じたからなのかもしれない。
今も時折同じ音に遭遇する。そんな時は子供の頃感じた感覚がいつも甦ってくる。過去の空と現在の空、繋がっているなあと、その都度ささやかな喜びを、束の間噛み締めている。