営業部長です。
『食中毒にご注意!夏場の自炊で気をつけたいこと』
高温多湿な日本の夏は、食品が傷みやすいもの。特に、一人暮らしを始めたばかりで自炊に慣れていない方は、気づかない間に、食中毒になりかねないような危険なことをしているかもしれません。
そこで、食中毒を起こさずに夏場に自炊するための注意点を、東京都健康安全研究センター 健康危機管理情報課にお伺いしました。
――まず、夏に食中毒を起こしやすい菌と、どんなことに気をつけたらよいかを教えてください。
●黄色ブドウ球菌
主な症状:吐き気、おう吐、腹痛、下痢など
「人や動物の皮膚、粘膜、傷口などに存在する菌で、食品の中で増殖する際に毒素を作りだします。毒素は100度・30分の加熱でも分解されません。手洗いをしっかり行うこと、手に傷のある時は食品に直接触れないようにすること、調理後の食品を常温で長時間放置しないことが重要です」
●サルモネラ
主な症状:下痢、腹痛、発熱、おう吐など
「牛・豚・鶏の腸管内に存在する菌です。また、ネズミなどの動物を介して食品を汚染することもあります。生肉や鶏卵はサルモネラに汚染されている可能性があるので冷蔵保存し、卵の割り置きは避けましょう。また、肉は中心部まで十分に加熱しましょう」
●腸炎ビブリオ
主な症状:腹痛・下痢・おう吐・発熱など
「海水中に存在する菌で、夏季に海水温度が高くなると増殖し、魚介類を汚染します。温度が上がると急激に増殖するので、魚介類やその加工品は低温で保存することが重要です。加熱すると、菌は死滅します」
しかし、近年、夏季だけでなく一年を通して食中毒が多く発生しています。特に下記の食中毒には、通年、注意すべきだそうです。
●ノロウイルス
「主な症状はおう吐・腹痛・下痢などで、少量のウイルスでも発症します。手洗いをしっかり行うことが重要です」
●カンピロバクター
「主な症状は下痢・発熱・腹痛などで、少量の菌でも発症します。市販の鶏肉の半数以上が汚染されているというデータもあるので、肉は中心部まで十分に加熱し、生では食べないようにしましょう」
●アニサキス
「主な症状は腹痛・吐き気等で、魚介類の寄生虫を原因とする食中毒です。加熱・冷凍(マイナス20度・24時間以上)で死滅しますが、通常の調理で用いる程度の酢、わさび、しょうゆなどでは死にません」
――食中毒を起こさないためには、どんなことに注意したらよいですか?
●まな板・包丁など調理器具の取り扱い方
「生肉用・生魚用・野菜用・加熱済みの食品用など、用途ごとに使い分けましょう。複数用意するのが難しい場合は、使用するたびに熱湯もしくは塩素系消毒剤などで消毒します」
●買ってきた食材の取り扱い方
「要冷蔵品はすぐに冷蔵庫に入れましょう。肉や魚などはドリップ(汁)が他の食品について汚染することのないよう、冷蔵庫内の離れた場所もしくは下部で保存します」
●調理中の注意点
「まずは、手洗いをしっかり行うことが基本です。生肉や生魚を触ったときや、トイレの後にはその都度、手を洗い直すようにします。また、肉は中心部まで十分に火を通しましょう。電子レンジでの加熱は温度にムラができやすいので、ふたやラップをする、時々かき混ぜるなど工夫するとよいでしょう」
ここで、正しい手洗いの方法を見直しておきましょう。手洗いは下記のタイミングでします。
・調理を始める前
・トイレの後
・食材が入っていたトレイやダンボールなどに触れた後
・調理作業中に
・生鮮食品に触れた後(肉・魚など)
・そのまま(再加熱せず)食べるもの(サラダ・あえもの・刺身・卵焼き・漬物など)の調理・盛り付け前
■手洗いの手順
①流水で手を洗い、石けんをつけて手のひらをよくこする。
②手の甲、指先・爪の間、指の間を順に念入りにこすって洗う。親指と手のひらをねじるように洗い、手首も洗う。
③十分に水で流し、清潔なタオル(またはペーパータオル)でよくふき取って乾かす。
さらに、消毒用アルコールを手指によくすり込んで自然乾燥させると、予防効果は高まります。
●調理後の注意点
「作り置きをする場合は底の浅い容器に小分けし、素早くさまして冷蔵庫に入れましょう。生卵や半熟のゆで卵など、殻を割った卵はすぐに食べましょう」
――酢、梅干し、わさびなど、殺菌効果があるといわれる食材に、効果はあるのでしょうか。
「酢や梅干しは細菌の増殖を抑えることが知られていますが、それらを料理に加えるだけで食中毒を予防することはできません。あまり効果を期待しすぎない方がよいでしょう」
食中毒は命にかかわる事態になるものということを意識して、日頃から食材や調理器具の取り扱いに気をつけることが、食中毒予防の近道ということですね。
※マイナビ賃貸引用