les généalogies des Essais―Delfini Workshop annexe

エセーの系譜をおもに検討。

Cioranを読む(108) Hegel et nous(17) 1932

2012年04月02日 | Cioran

■3月12日、月曜日、

(写真)無題

ぼくに続いて家人が風邪で倒れた。意外に長引いている。春の風邪は油断できない。

締め切りを過ぎた原稿を、朝、どうにか一つ送信。あとは、翻訳原稿。しかし、しばらく詩を書いていないと、どうやって書いていいのか、途方に暮れる。詩を書く習慣の有無。



Les problémes de philosophie de l'histoire qui préoccupent notre époque ont grandement contributé au dévelopement du néohégélianisme. Aucum philosophe n'a mieux senti, mieux compris le foisonnement de la vie historique que Hegel. Il en individualisait les contenus au moyen de la méthode constructive fondée sur la perception différenciée. Il se situe de ce fait aux antipodes des constructions abstractives des sciences naturelles. On comprend ainsi qu'il soit le père des sciences spirituelles. Cioran Solitude et destin p.168

現代の歴史哲学の諸問題は、新ヘーゲル主義の展開に大きく貢献した。ヘーゲルほど、百花繚乱の歴史的な生に対する感受性と理解が深かった哲学者はいない。ヘーゲルは、卓越した認識をベースにした創造的な方法で、生の内容を個性化していったのである。それによって、ヘーゲルは、抽象的な構成を行う自然科学とは対極的な地点に立つことになった。精神科学の父。そうヘーゲルを呼んでもいい。

■ここは、このエッセイの一つの山場だと思う。ヘーゲルを精神科学の父と規定したのは、実に、鋭い。シオランの解釈は、非合理主義者ヘーゲル、生の哲学者ヘーゲル、というものを基本にしているが、ここから、存在論哲学者ヘーゲルまでは、非常に近い。重要なのは、新カント派のように、自然科学的な主客二元論で、ヘーゲルを捉えず、ヘーゲルが、全体性とダイナミズム(弁証法)を重視したのを救い出している点だろう。