野菜の声 野菜のたたき
1
叩かれて ほぐされて
やわらかくなる
もとの姿をなくすことで
あたらしい味わいに変わる
たたききゅうり
たたきごぼう
長芋 れんこん
オクラのたたき
わたしも神さまに叩かれて
この強情な自我をほぐされたい
2
石頭の自分を打ち叩いても
石は石だ
やわらかくなるどころか
ますますかたくなっていく
歳を重ねることで
だんだん柔和になっていく
そんな望みもあったのだが
老人ホームで好かれるひとは
おだやかなひとだそう
頑固で不機嫌なひとはけむたがれる
―そんな話をテレビできいた
聞きながら
胸が恥ずかしさで真っ赤になった
たたきごぼう
たたききゅうり たたき蓮根
叩かれて良い味を出した
オクラと長芋
叩かれて、混ぜ合わされて 粘り強さが増した
このわたしの石頭
ポクポク叩いて
良い音色をだす木魚に変われはしまいか
●ご訪問ありがとうございます。
新しい物に形を変え、味になじみやすくするため、野菜を「たたく」そうです。確かに一味ちがった食べ物に変わります。