祈りを、うたにこめて

祈りうた(日向ぼっこ  野菜たちの声ーきゃべつ)

きゃべつ

 

 

老いたわたしの手の甲のように

青筋をたてているきゃべつ

 

仲間にしがみつくこと

仲間にしがみつかれること そうして

丸のなかに自分を閉じこめること 

その生き方に懸命なのか

 

一枚だけでは自分になれぬ

ダンゴ虫のようにかたまらなければ存在できない

そんな弱さを

生きる知恵に変えたのか きゃべつ

 

 

一枚また一枚剥がしていく

どこまで剥がせば

―これがわたしです 

といえるのだろう

 

もしかしたらまだ残っているかもしれぬ

素顔の瑞々(みずみず)しさ

それがあらわれてくるのだろう

 

一枚

また一枚

 

 

気づいたら

尊い方のやさしい手のひらがあった

 

弱いわたしの心のひだ

青い神経がとがるばかり

 

思いきり空へ祈ろうと思っても 

縮こまってしまう

はみ出さないことに馴れてしまった臆病さ

 

そのとき声がした

―だいじょうぶ、だいじょうぶ

 わたしが天にあなたの祈りを重ねていくよ

 あなたのつよさで あなたらしく 

 

★いつも読んでくださり、ほんとうに有難うございます。

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