百字ノート
不幸の色も七色に変わる
「誕生は天の恵みだ。人間が決められるものではない」と謙虚になる人で
も、「死は己のもの。命は自分の好きにできるのだ」と驕る場合がある。恵み
だったはずの生までも憎んで。不幸にはたくさんの色がある、そして自分の不
幸こそ最低の黒一色だと譲らない。だが、実はその色とて固定しはしない。そ
の人の考え方生き方次第で七色にも変化していくものなのだ。
しあわせの歌
今日の唾をのみこむ
1
しんどいなと思いながら朝の寝床を出る
あしたの辛さを今から感じてしまうようなけだるさ
わたしにまとわりつく不穏な感情 自分のなかに他人が棲みついているような
せなかや首筋のゴリゴリがほぐれたらどんなに身軽になれるだろう!
2
しんみょうな顔で「だいじょうぶ?」と聞かれた
ああ、やっぱり弱って見えるんだな、わたしは
わらおうとした頬がちょっとひきつった
せめて上手な嘘つきになりたい、心優しいひとの前では
3
しんけいが細いので心が疲れる これ、ストレス負け?
あれもできまい、これも難しい すぐにそう決めつけてしまうひがみ根性
わたしがいなくても困る人はいない そう思うことも寂しい
せっかちでプライドだけは高い 焦る心が肺を圧迫しているのだ、正直なところ
4
しごとが終わったら一杯、または軽い運動をジムで―それは縁のないこと
あそぶことのできぬ性分には 暗い夜の暗い部屋が落ち着くのだ
わざと笑ってみた すると声のない口だけが開いた だが笑えたのだ、確かに
せすじをちょっとだけ伸ばしてみた ゴクリと 今日の唾がのみこめた
★たんぽぽの 何とかなるさ 飛んでれば
★いつも読んでくださり、ほんとうに有難うございます。