自分教Ⅸ―善魔⑥
1 遠い教会
苦労人や善人は 情にあついし行動力もある
善いことは正しい、善いことはきっと通じる そう信じている
自分を恃(たの)み、ひそかに誇ってさえいるので
そう簡単に心を神にむける気持ちにはなれぬ
苦労人や善人は つまずいたり転んだりすることもあるが
その打ち身や傷は ガマン力や経験や知恵が次第に癒やす
周りの苦労人や善人が助けてもくれるので
神に直接 「助けて!」と叫ぶ気持ちにはなれぬ
苦労人や善人は 死に際もシャンとしている
家族親族にさほど迷惑かけずに息を引きとる
だから 最後のひといきまで主(あるじ)は自分
魂を神に預ける気持ち それはついになれない
2 信仰のふもとで
医者通い 妻の看病 残業、夜勤 おまけに孫の世話
それで一杯の日々―だから神、無用
「今ちょっと手が離せません」
神さま、ご免!
たまの休日 キッチン・タイマー押してみた
つつつと迫るイノチの縮み
その時が来たら 神さま
もしかしたらば声かけまする
料理本、家電、子育て、受験生
みんなバイブル(聖書) この一冊!
読書家の書架にくすぶる本がある
自分教には無用の聖書
神にすがる妻 神など信じえぬ夫
うすい灯り 孤独な窓
「白線の外側は危険です!」
信仰ってそんなものだと 一歩後退
何年後に読むかなんて分からない
でも 買っておこうかな、分厚い聖書
★たんぽぽの 何とかなるさ 飛んでれば
★いつも読んでくださり、ほんとうに有難うございます。