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ではそれはメジャーみ

2023-10-21 22:16:19 | 日記
ではそれはメジャーみたいだし。偏見なんてもたれないんじゃないかな」
「あのなぁ、ぽち。であろうと戦国時代だろうと鎌倉時代だろうと平安時代だろうと弥生時代だろうと縄文時代だろうと、それはメジャーじゃない……」
「というわけで、八郎君。こんなかれのことなんだけど」

 俊春の口をふさごうとすれば、またしても俊冬が口をひらいた。
 二対一では、子宮內膜增生 かなうわけもない。

「つづきは、副長が話してくれる」

 ちょっ……。

 まだまだBLの話がつづくのか?

 ってか、伊庭よ。みんなの話を信じないでくれ。そんなで、おれをみないでくれ。

「あー、八郎……」

 副長はいいかけたがおれのほうにを向けた。

「いつまでぼさっと突っ立っているんだ。さっさと座れ。BLの話は、あとでじっくり八郎にきいてもらえ。あるいは、実践されやがれ」
「なっ……。な、なんておいしいんだ。あ、ヤバ。鼻血がでてきた」
「ちょっ……。たま、おれの声真似はやめろって」

 とんだことをすすめる副長も副長だが、それにおれの声真似でリアクションをとる俊冬も俊冬だ。

「主計は、誠に好き者だな」
「さよう。みなにも気をつけるよう申しておかねば」
「大人って怖いよね」
「大人だからってわけじゃないよ、てっちゃん。主計さんが特別なだけだよ」

 隣のテーブルから、島田らがこれみよがしにディスっている。

 もうなんとでもいってくれ。

 あきらめモードに入ってしまった。

「でっ、歳さん。話とは?」

 伊庭は、誠に辛抱強い。
 イライラと貧乏ゆすりをしたいところであろうが、おとなしく副長の右半面をみつめている。 

「ああ、ほかでもない。こいつらのことだ」

 副長は、顎でおれたちのことを示した。

「こいつら?」

 伊庭がその顎のさきを追い、おれたちにいきあたった。

「こいつら?」
「こいつら?」

 おれの両隣で、俊冬と俊春がつぶやいた。やけに含んだようなつぶやきだった。

 こいつら呼ばわりされたことが不愉快にちがいない。

 おれだって不愉快だ。
 ちゃんと相馬主計という名があるのに、こいつとかありえない。
 夫が妻を「おい」とか「おまえ」とか呼ぶのと同様である。

 これも一種のパワハラか?いや、モラハラか?兎に角、ちゃんと名前を呼んでもらいたい。

「あいかわらず妄想が激しいようだけど、おれたちのはきみの妄想とはちがう意味だよ」

 俊冬が、おれが副長の上司としてのモラルに欠けている事案を考察しているところを邪魔をしてきた。

「すまん。一緒にまとめたおれが悪かった。そりゃあ、不愉快にもなるにきまっているな。だれかさんと一緒にされたのだから」

 そのとき、副長が謝罪してきた。

 ああ、そっちか。

 だれかさんというのが、俊冬か俊春かはわからない。たしかに、まとめられるのは、正直気分がいいものではない。

「きみ、どんどんポジティブシンキングになっていくね。それだけポジティブになれて、うらやましいよ」

 俊春がほめてくれた。

 関西人は、物事をなんでも前向きにかんがえたりいいようにとったりすることができるのだ。「すまんな、八郎。馬鹿がいらぬことばかりさえずるもので、なかなか話をすすめることができぬ」
「失礼な。だれもなにもさえずっていませんよ。って、わかりました。無心。なにもかんがえず、なにも思わず、心を無にします。だから、さぁどうぞ。いまのうちに告げちゃってください」

 副長のパワハラに抗議しようとしてにらまれたので、方針をかえた。

 いまさらいうまでもないが、副長はいわゆるパワハラ上司、ってかパワハラ上役である。すぐに暴力で訴えてくるから、それを回避しなければならない。
 
 自分の身は自分で護らねばならない。だれも、助けてくれぬのだから。

「この野郎。かようにやさしく、思いやりがあって寛容である上役にたいして、パワハラ上役ってどういことだ?」

 副長はパワハラの意味をしっているくせに、そんなことをきいてきた。

「副長は、嫌味で尋ねているんだよ」

 俊春がなにかささやいてきたようだが、

「主計、だまっていないでこたえやがれ」

 という副長の怒鳴り声にかきけされてしまった。

 副長は、おれが理不尽な怒りにたいしてスルーするという大人な対応をしているのにさらにキレた。

 パワハラの意味を『しっているくせにしらない』だなんて、痴呆症の症状なのか?

「チホーショーだあ?なんだそりゃ?」
「加齢などによって脳の機能が低下し、生きていくうえで支障がでることをいいます。忘れっぽくなったり、怒りっぽくなったり、仕事や生活がうまくできなかったり、というのが症状です」
「主計っ!」

 俊冬の淡々とした説明に、副長がさらに、さらにキレた。

 テーブルの脚が折れてしまうんじゃないかっていうほどの勢いでを両掌でぶったたき、立ち上がった。

「きいた?副長、チホーショーなんだって」
「カレー?カレーってなに?」

 市村と田村が呑気にいっている。

「加齢だよ。お爺さんになること、といえばわかりやすいかな?」

 俊春が、田村に丁寧に教えてやった。

「爺さんっ!」
「爺さんっ!」

 市村と田村が同時に叫んだ。

「副長は爺さんだから、忘れっぽくて怒りん坊なんだ」
「そうだよね。都合のいいことはすぐに忘れちゃうし、いっつも怒っているよね」
「主計ーーーーっ!」

 子どもたちは、

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