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宇宙の片隅で

日記や「趣味の情報」を書く

「隆一と有紀」 - 5 -

2020-04-08 13:13:30 | 脚本

 先頭と最後尾がクルマ、そのあいだを10台のバイクが高速道路を快走していた。
 最後尾は、父親のコンチネンタルを借りたアブさんこと杉山だ。
 彼の役目は、後ろから白バイやパトカーが来たら、パッシングライトで前を走る仲間に知らせることだ。

 その杉山の助手席には、誰も乗っていない。
(・・・まいったなぁ、有紀ちゃん以外あと男ばかりだと思っていたのに、みんな彼女連れかよ。いいさ、箱根に着いたらステキな娘を見つけてデートに誘うんだもんな)
 最初はムスッとしていた杉山だが、そんな想像を膨らませているうちに何だかワクワクしてきた。
 そのとき、杉山の耳を白バイのサイレン音がつんざいた。
 淡い想像は一瞬のうちに吹き飛んだ。
「しまった!」
 杉山は、すぐにパッシングライトで前を走るバイクに知らせた。
 そのパッシングライトは先頭のオースチンまで6、7秒もかからなかった。全車、スピードダウンした。

 もともとツーリングでは、先頭車は後続の車両が付かず離れず走れるように、無理なスピードは出さないものだ。
 このときも、バイク仲間達のチームワークは見事で、日頃の経験がものをいった。
 白バイは、なおもサイレンを鳴らしながら、右車線を追い抜いて行く。
 杉山は自分の迂闊さを反省しながら、
(あの白バイ、先頭をつかまえる気だろうか・・・?)
と心配になってきた。

 ところで、隆一の50m前方の右車線を、同じ様なスピードで走るワゴン車がいた。
 白バイはサイレンを鳴らしながら隆一らの一団を抜き去ると、ワゴン車に近づき、余裕のある左路側帯に停車するように合図をした。
 高速道路の右側車線は追越し専用で、左車線が空いているにもかかわらず、そのワゴン車は右車線を走っていた。
 白バイは、反則切符を切るために誘導したのだった。