・・・・走り終えて先に箱根に戻った隆一ら3人は、OBの杉山にはキツいレースと判かっていただけに、先行逃げ切りをめざすという選択肢を選んだのであった。
ホテルのロビーにある大画面テレビの前の応援団は、2位以下のランナーの追い上げが気になり、ハラハラドキドキしながら、レースの成り行きを見守っている。
そして、テレビ画面に、ハワイ大のランナーがいつのまにか2位にあがったところが映し出された。
「わぁー」
「おぉー、ぬいたぞー」
残り1kmとなって、ハワイ大のランナーが杉山の後方からじわじわと迫っていた。ポニーテールの金髪が太陽の光にキラキラと輝いて揺れ、手足の長さを活かしたパワーとスピードは、着実にトップとの差を縮めてきた。
杉山は、振り返ることなくただ前を向いて必死に走っている。(・・・このままトップでゴールしたい。もう終盤だ、過去の思い出に浸っている場合ではない)
3年間の空白は想像以上にキツかった。杉山は、先頭走者とは思えないつらそうな表情をしている。走りにリズム感が無くなり、呼吸も苦しそうだ。