la princesse au bois dormant

~いくつになってもお姫様 眠い姫の独り言~

それは突然…じゃなくて時間差攻撃でやってきた。

2005年11月15日 | 成年てんかん日記
 それはある日曜日の夜10時過ぎ。
 私は自転車で彼氏の家から自宅に帰る途中だった。
 10月中旬。サイクリングにはちょうどいい気候だ。
 ふと気づいたら、私は倒れていて、赤いサンダルが脱げていた。
 (この文章のとびかたは唐突と思われるかもしれないが、私にとっては実際このくらい唐突だった。)
 あわてて脱げたサンダルを履こうとしたが、うまくサンダルが手に取れない。「ああ、いいからいいから。」と、知らない男の人の声がした。「ああ、意識あるね。大丈夫だね。」とも。
 状況はさっぱりわからないけど、大丈夫だよ。だから帰らせてよ。
 しかし声は出ない。視界もはっきりしない。
 頭の中をぐるぐるさせているうちに、私は赤いサンダルごと、何かに乗せられた。
 この状況には憶えがある。
 救急車だ。
 どうやら意識を失って倒れ、しかもけいれんしていたので、善良な通りすがりの人が救急車と警察を呼んでくれたらしい。そして自宅にも連絡を入れてくれたらしい。
 そして私の愛車(自転車)は、警察の人に持っていかれた。壊れてないだろうか……と、客観的に見ればあさってな心配をしていた。
 状況が把握できてきたら、視界もはっきりしてきた。その二つの因果関係はわからんが。
 それにしても、どこで倒れたんだろう。そしてどこの病院へ連れて行かれるんだろう。
 ぼんやりしていたら、病院に着いた。
 頭部のレントゲンとCTをとり、打ってすりむいた左のこめかみを消毒した。
 母が来た。「どうしちゃったのよ。」と言った。そりゃこっちが聞きたいが、本人である私にわからないものが、母にわかるわけがない。
 レントゲンおよびCTには異常なし。普段精神科に通っているので、次の診察のときにでも今回の発作について報告し、脳波やMRIの検査をすればよいだろう、ということで、その日は帰った。
 帰るときに気づいたが、ずいぶんと遠い病院に来ていた。
 次の日鏡を見たら、左のこめかみから目の周りにかけて、ひどい青あざができていた。「すっげー。」と思った。

 「この状況には憶えがある」と前述した通り、こういう事は初めてではなかった。
 2年ほど前、大学4年生のときにもあった。
 その時はバイト先でパソコン入力作業中に、気がついたら周りの人が心配そうに私を見ていた。
 やはり意識を失っていて、けいれんもしていて、気づいたらパソコンに意味不明な入力をしていたので直そうと思ったのにどうすれば直せるのかわからない(後から思うに、バックスペースキーを数回押せばいいだけだった)。「(直さなくて)いいからいいから。」と言われ、やはり救急車を呼ばれた。
 (確かその時は救急隊員に年齢を聞かれて、「19歳」と答えそうになり、「いや、たぶんそれはない。」と思い言わなかったが、実際の年齢を思い出すのに時間がかかった。22歳だったのだが。)
そして母が来た。頭部CTと脳波をとって、「異常なし」だった。後日念のため精神科でも脳波をとったが、「異常がある、とまでは言えない」という結果だった。


 この2回の発作の共通点は、
 ・前兆なく(少なくとも本人に自覚はなく)意識を失っている。ただもしかしたら、前後1ヶ月くらいの中ではうつ状態が比較的重いときに起きているかもしれない。
 ・意識がない間は痙攣している(らしい)が、意識が戻ると痙攣もとまる(ゆえに本人にはわからない)。
 ・意識が戻ると、本人は発作が起きたことがわかっていないので(何かが起こったらしいことはわかる)、どうにか現状修復をしようとする。
 ・発作が起こったこと、それによって生じたことに関して、結構のんきに構えている(たぶん周りから見たらそうだと思う。特に親)。
 ・発作後のボケっぷりが普段よりひどい(もともとボケキャラであり、その上うつ病と抗うつ剤の副作用でさらにボケているが、それよりひどくなる)。
 ……ってところだろうか。

 しかしどうして2年もの時間差攻撃で発作がきたのだろうか。
 てんかんはストレスや睡眠不足やアルコールに弱いという話を聞いた。
 なのでこれは推測だが、前の発作から半年もしないうちに(大学卒業後すぐに)うつ病で退職して、その後ストレスの少ない眠りっぱなし生活をしていたせいで、発作の起きようがなかったのだと思う。(アルコール摂取は多かったが……。)


 それにしても今回の発作は、一歩間違うと非常に危険だった。
 夜遅く、人気の少ない道で、しかもまともな歩道もないところで(自転車なんだから車道を走るが、歩道が狭いということは自転車の走る余地もほとんどないということである)倒れたのである。
 左側通行していて左側に倒れたとはいえ(道のどの辺に倒れていたのかはわからないが)、運が悪けりゃ気づかずに来た車にはねられていても不思議はない。
 運良くたまたま人が通りかかってくれて、しかもそれがいい人だったから救急車や警察を呼んでもらえたけれど、人が来なくて放置されて身体冷やして病気になることもありえたし、変な人につかまった可能性もある。
 母の話では聞いても苗字しか名乗らなかったとのことで、お礼を言うこともできないが、あの時通報してくれた方、自宅に連絡してくれた方、ありがとうございました。

 ……そしてそんなことがあったため、翌日から自転車遠出&夜間の自転車走行禁止令が出てしまった…。当然か。しかし自転車大好き人間としては辛いものがある。



 後日、普段通院している精神科と、そこから紹介された脳神経外科の病院で、脳波とMRIの検査をした。
 MRIは異常なし。「血流もきれいだしねー。」とのこと(だからなんなのかは忘れた)。
 脳波にはてんかん波(…って呼び方はあるのかな。「棘波」っていうらしい。)が出ていた。実は2年ほど前に精神科でとった脳波にもそれっぽいものがチラッとは出ていたらしい。だから「異常がある、とまでは言えない」だったらしい。


 そんなわけで、私は「てんかん患者」ということになった。

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