la princesse au bois dormant

~いくつになってもお姫様 眠い姫の独り言~

模索する手のひら二枚冬の路

2020年01月28日 | 17

元句:模索する手のひら二枚冬の蓮/磯貝碧蹄館

 

この関係は、いったいどこへ行くのだろう。

 

友人でもない

同僚でもない

ビジネスパートナーでもない

言うまでもなく

恋人なんかじゃないし

まして家族なんかじゃない

 

あなたと私の間にあるのは

友情なのか

愛情なのか

信頼なのか

尊敬なのか

それらすべてなのか

それらのどれでもないのか。

 

この手はいったいなんだろう。

 

手のひらを重ね合わせ

指を絡めて

二人の間にある。

 

この手が意味するものは

いったいなんだというんだろう。

 

あなたはふと目覚めてはまた眠りを繰り返し

わたしも少しうつらうつらしては目覚めてを繰り返し

たまに髪など撫でてみたりするけど

どうしたらいいのかよくわからない。

 

眠らせておいていいのか

眠っていたいのか

電車を降りなくていいのか

降りたくないのか

どうしたらいいのかよくわからない。

 

どうしたらいいのか、わからないんだ。

 

たぶん

あなたの歩く道と

私の歩く道は

今、とても近い。

 

あなたはあなたの道をひとりで歩いている。

わたしはわたしの道をひとりで歩いている。

とても近い道。

他に誰もいない道。

 

他の人の道は、なぜかとても遠い。

 

 

「わたしはあなたと感覚がとても近いように感じるんだけど」

「少なくとも違和感はないよ」

そんな会話をかつて交わした

 

近い感覚の人が近くにいる。

そんなつらいことはない。

 

どうしてここを、あなたとわたししか歩いていないの

他に誰もいないなら、なぜあなたはいるの

とても近い道だから、わたしは知っている

この道は

絶望のみずうみの底にある

そして、この道の先は、終着地は、もっと深い絶望だ

どうしてあなたが、その道を歩いているの

どうしてわたしは、この道を変えられないの

みずうみから水をかき出すこともできないのに

あなたに『別の道に行って』とも言えない

 

あなたはふと目覚めてはまた眠りを繰り返し

わたしも少しうつらうつらしては目覚めてを繰り返し

電車は川を越えた。

 

このままどこへ行ってしまうんだろう

あなたが目覚めるまでは、このままでいていいんだろうか

 

このままで

 

手のひらを重ね合わせ

指を絡めた手が

二人の間にあるままで

 

 

(途中、『かなしみのみづうみがあり泳ぐなり』野木桃花 が、混じりました。)


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