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私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

Mitsubishi「2S-305」導入期 ~その3~

2013年04月14日 | オーディオ
 さて今日はメインの座を巡ってのスピーカー対決、ELECAT AMATOR vs 2S-305
 どちらかだけ聴き続けると細かい違いに気づきづらいので、ニアで切り替えながら同じ曲を聞き比べてみました。
 
 私がこれまでに感じていた音色の特徴:
ELECTA AMATOR:中音域の押し出しが強く濃い、低音はボアつく傾向がある、高音でもキチンと楽器の音を出す
2S-305:中音域は特徴なし、低音はしっかり出て音像がぼやけることはない、高音はギラついて金属音に近くなる印象

 では音源/楽曲別の印象を記してみます;

ジャズ系
 ベースが前面に出る音源では①ではやはり低音がボワつき気味で、音量を上げていくと「このおどろおどろしい響きは地震か?」と勘違いしたほど。②ではそんなことはなく、ベースという楽器の音として音像がぼやけることはありません。
 ピアノは①の方が楽器の音に近い印象、②では高音が金属音に近くなります。
 ドラムスはドラム(太鼓)の音は①ではぼやけて連打すると団子状態になってしまい、②ではタイトに分離して響きます。まあ、これをよしとするか、物足りないと感じるかはその人次第。一方、シンバルの音は①では「楽器の音」として聞こえるけど、②では「金属を叩く音」と化してしまう傾向あり。
 トランペットは、中音域のプレイでは差は感じません。奏者の息づかいまで感じる①、やや艶が乗った音が好みなら②(トム・ハレルのフリューゲルホーンは②の方がよかった)。マイルスのミュートプレイ予想通りはシンバルと同様の結果で、②では楽器音<金属音に聞こえてしまうのが玉に瑕。

クラシック系
 ヴァイオリンの音に「摩擦音」を求める人は①、「艶やかさ」を求める人は②がお勧め。私はアンドルー・マンゼのバロック・ヴァイオリンが好きなので、やはり①かなあ。イツァーク・パールマンが好きな人は②がより魅力的に聞こえそう。
 ピアノはジャズ系と同じだが、低音まで広がる楽曲では音像が崩れない②がよいでしょう。
 ギターは②の方がタイトでカチッと音像が決まるので好ましく聞こえました。①では低音をかき鳴らすときに音がダマダマの塊になってしまう傾向があります。

フュージョン系
 ベースの低音が効いている音源は①ではボワつき気味、②の方がタイトに聴かせてくれるくれるのでこちらの方が向いているけど、総じて高音はやはり硬いですね。
 パット・メセニーのアコギでは、②の方がカチッと決まり、伴奏のベースの音が滲まないですね。Tommy Emmanuel のアコギも心地よい響き。
 一方エレキの音は甲乙つけがたく好みのレベルと思われますが、ベースの伴奏があると①は音がぼやけて強調され全体のバランスが崩れてしまうのが難。
 

ヴォーカル系
 なんと、ダイアナ・クラールの声がスピーカーを替えると変わってしまい驚きました。
 ①ではハスキー・ボイスですが、②ではそれに適度の「艶」が乗るのです。
 私はハスキー気味の声質が好きなので①に軍配を上げます。実際の声に近いのはどちらかと聞かれると、①でしょうね。
 オペラなど艶やかなテノールやソプラノが好きな方には②がよいでしょう。

 総じて、中高音域は ELECTA AMATOR、低中音域は 2S-305 が私の好みという結果になりました。
 まあ、どちらかを聴き続ける限りはあまり気にならないんですけどね。

 振り返ってみると、高音が硬いのは日本のスピーカーの特徴なのかもしれないな、と感じます。
 今までに使用してきたScepter1001TAD TSM 2201-LR も評価の高いスピーカーですが同様の傾向がありました。
 「ふくよか/まろやか」よりも「タイト/硬質」の方が日本人好み?
 日本古来の楽器である、琵琶、三味線、琴、篳篥、笙、尺八など、どちらかというと音は鋭いですもんね。

 2S-305 の硬い高音が今後エージングやスピーカーケーブルの変更で柔らかくなるのかどうか、期待しましょう。

Mitsubishi「2S-305」導入記 ~その2~

2013年04月14日 | オーディオ
(前回のセッティングの話に引き続き、今回はファースト・インプレッションです)

 セッティングを済ませ、早速音を出してみました。
 ちなみに現在のシステムは、MacProにWAV形式で取り込んだ約3500枚のCD音源をUSBケーブルで Esoteric SA-50 へ伝送してアップサンプリング処理し、Accuphase E-460 経由で 2S-305 に繋ぐという構成。

 今までのメインスピーカーである Sonus faber ELECTA AMATOR の濃い音に慣れた耳には、全体の第1印象は「淡白な音」でした。
 メリハリは少なく、かといって味気ないという感じでもなく・・・え~と、しっかり構築された余裕のある音と云えそう。

 ちなみに、2S-305 の音の評価を抜き出しますと・・・

■ (ハイファイ堂の製品説明)
 「シルクのような滑らかさとフィルムコンデンサーよりも厚みに長けており、能率自体が高いので小出力のアンプでもドッシリとした音像表現」

■ (デヴィッド・ベイカー:アメリカの録音制作家)
 「日本には2S305という素晴らしい製品がある。あんなに綺麗な音のスピーカーを聴いたことはない!」

■ (瀬川冬樹氏のコメント)
 「2S305は、さすがに開発年代の古い製品であるだけに、こんにちの耳で聴くと、高域の伸びは必ずしも十分とはいえないし、中音域に、たとえばピアノの打鍵音など、ことさらにコンコンという感じの強調される印象もあって、最近のモニタースピーカーのような、鮮鋭かつ繊細、そしてダイナミックな音は期待しにくい。けれど、総合的なまとまりのよさ、そして、音のスケール感、いろいろの点で、その後のダイヤトーンのスピーカーの中に、部分的にはこれを凌駕しても総合的なまとまりや魅力という点で、2S305を明らかに超えた製品が、私には拾い出しにくい。」
 「一年に一度は、郡山の三菱電機の研究所で新製品を試聴させてもらうが、比較のために鳴らす2S305が、いつでも、どんな新製品よりも申し訳ないが良く聴こえて、そのたびに305の優秀であることを再認識させられる。」

■ (菅野沖彦氏)
 「この2S305も、開発当初から比べて徐々に改良が加えられ、現在のプログラムソースに適合できるスピーカーシステムになってきている。しかし、音質の傾向が全く異なった方向にそれたわけではなく、あくまでも初期の製品からもっていた明快なバランスのよい音という伝統を受け継ぎながら、より緻密さと洗練された味わいが加わったのである。以前のスピーカーがもっていた高域の鋭さが抑えられ、よりスムーズな滑らかな音になり、低域もより豊かさを増してきたように感じられるのだ。」
 「良くも悪しくも日本的な優等生だ。低音の厚みと豊かさ、弾力性に筆者としては不満があるが、さわやかなタッチの美音だと思う。」

■ (岩崎千明氏のコメント)
 「世界のスピーカーがすべて「ローディストーション、ワイドレンジ、フラットレスポンス」を目指す今日、その先見の銘をもっていたのがダイヤトーンの305だ、といったら誰かになじられようか。」

■ (某ブログより)
 「この2S305、ある時ある店でとてもすてきな音で鳴りました。高音はまるで秋晴れの空に吸い込まれるような天井を知らないように突き抜けて行きました。全く威圧的や暴力的でなく、それはそれは耳に優しく聞こえてきました。優しくはあっても曖昧さはなく、しっかりと全く迷いなく輝く音でした。ダイヤモンドが音を発するときはこんな感じだろうと思いました。ダイヤトーンという名前は、偶然でしょうが、このスピーカーにふさわしいと思ったのです。」


 フムフム・・・なるほど。
 そう言われればそうかもしれん・・・。

 いろいろ曲を替えて聴いていくと、低音の出方が ELECTA AMATOR と明らかに違うことに気づきました。
 ELECTA AMATOR はブックシェルフという大きさ故、低音が十分には出ないという弱点があります。ヴァイオリンの大きさでコントラバスの深い響きは出せないという単純な理由ですね。
 そこで「バスレフ・ダクト/ポート」を設置して「低音を膨らまして量感を稼ぐ」という工夫がなされています。
 ただ、バスレフ法は低音が伸びる(低い周波数まで再生できる)こととは似て非なるものであり、膨らますことによるボリューム感は出ますがやり過ぎるとボワついてしまいます。
 「ボリューム感とボワつきのトレードオフ」的なジレンマから逃れられないのがブックシェルフ型の宿命です。
 しかし 2S-305 の低音はそんな小細工をまったく感じさせず(一応バスレフ式ですが)、あくまでも自然にゆったり&しっかりと広がっていきます。

 車に例えれば、ELECTA AMATOR は高級コンパクトカー、2S-305 はフルサイズの高級セダン。
 手足を思いっきり伸ばした爽快感があり、窮屈感は皆無。

 中音域も押し出しが強くはありませんが、高品位で安定感のある音。
 ヴォーカルをボリューム感豊かに再現してくれます。
 子音が耳障りにかすれて聞こえることはなく、しっかり音が乗ってくるのです。

 ただ、気になったのが少々ギラつく傾向のある高音。
 もっとも、音圧が96dBと能率が高いので、ELECTA AMATOR と比較して聴くとつい大音量になってしまう影響もありますが。

 以上のファースト・インプレッションを店員さんに伝えると、
「コンデンサーを新品に交換しているのでまだ音が硬くて本領発揮とはいきません。3ヶ月くらい鳴らしてエージングすれば実力が出るようになりますよ」
 とのコメント。さらに、
 「でも CDP が Esoteric、アンプが Accuphase、スピーカーが Diatone というラインナップでは、音は硬そうですねえ」
 確かに、おっしゃる通り。
 「スピーカーケーブルをいろいろ試してみるのもよいかもしれません。」
 ま、将来の楽しみにとっておきましょう。

 その後もいろいろ聴いていくと・・・驚かされたのがシンセサイザー。
 意外でした。
 35年前の中学生時代に出会った冨田勲さんの「惑星」(ホルスト作曲)はこんなにすごい音楽だったんだ、と改めて気づかされました。
 縦横無尽に音が移動し、低音から高音まで入り乱れ、絢爛豪華な音世界。
 その音場を破綻なくフルサイズで提示する能力がこのスピーカーにはあります。
 「楽曲がスピーカーを選ぶと云うこともあるんだなあ」
 と感心しきり。
 今まで使用してきたスピーカー群と比較すると、スケール感が1ランクも2ランクも上ですね。

 しばらく聴いていると、大音量でなくても聴き心地がよいことに気づきました。
 BGMに流す程度の中音量でも見通しがよいというか、広大な音場に音楽が佇んでいるような印象です。

 その昔、ヴィスコンティの「家族の肖像」という映画を観た時のことを思い出しました。
 主人公の老教授はごく低音量でモーツァルトのオペラを聴いています。
 「うん、やはりモーツァルトはいい・・・」
 とつぶやくのですが、当時の若い私は「あんな小音量で音楽のよさがわかるんだろうか?」と疑問に思ったものでした。
 その頃はシンフォニーを大音量で聴くことに生きがいを感じていましたので。

 自分もその枯れた年齢に近づきつつあるようです。

 というわけでこの1年間、手探りしながら自分の聴きたい音を求めてきたオーディオ道は、一応の完成を迎えた感があります。
 スピーカーに関しては、トールボーイ型(JBL S3800)の低音のボアつきに悩まされ、大型ブックシェルフ型(Onkyo Sceptor1001)に一度は満足したものの、小型高級ブックシェルフ型(Sonus Faber ELECTA AMATOR)の魅力に引き込まれ、でも低音に物足りなさを感じてフロア型(Mitsubishi 2S-305)に落ち着く、という道のりでした。

 今後10年間は、このシステムで好きな音楽を楽しめるかな。
 それともまた浮気心がフツフツと頭をもたげてくるのかな。

 乞うご期待!(苦笑)

Mitsubishi「2S-305」導入記 ~その1~

2013年04月13日 | オーディオ
 (長くなったので2つに分けました。「その1」はスタンド選びからセッティングまで)

 本日、2S-305 が到着しました。
 ハイファイ堂の方2人が直接配達して2Fまで上げてくれました(年度末送料無料&2年保証サービス)。

 やはりでかい!
 階段の切り返しを窮屈そうに運ばれて、ご対面。
 う~ん、40年前(1971年製造とプレートに記載)の製品とは思えない工芸品並みの美しさ。
 「職人が丁寧に製作したバッフル/外装が劣化しにくいこともこのスピーカーの特徴である」と読んだことがありますが、ホントに保存状態良好で日本の職人の技を垣間見たような気がしました。
 サランネットの雰囲気も時代を感じさせます。
 亡き父が昔愛用していた「ステレオ」を思い出させる佇まい。

 スタンドは何を使うか迷い、悩みました。何せサイズが家具並みですから。
 ハイファイ堂さんから「フロア型なので床に直置きも可、音に満足できなかったらスピーカーベース/スタンドを検討したらどうですか」
 と云われましたが、あとから購入してもセッティングが大変だし、実は当時2S-305専用スタンド(MC-1380A)も発売されており、あるブログでは「床から数十cm持ち上げないと低音がこもる」との記載もあり、私としては導入時に適当な土台への設置を済ませておきたかったのです。

 Sceptor1001 に使用していた手持ちの TAOC SPB-300DH では奥行きが足りず不安定。かつ1台のスピーカーに2つ必要なので移動/微調整がやりにくいという欠点も経験済み。
 純正の専用スタンドは高さ50cm超と一般住宅の居間で使用するには高すぎ(スタジオ用だったのでしょうね)。
 他にないかと探す過程で 2S-305 と JBL4343/4344 の大きさがほぼ同じであることに気づき、「JBL4344用スタンド」をキーワードに検索するといくつか候補が見つかりました。

 検討対象は以下の通り、:
■ 逸品館(AIRBOW)のフォローティングボード WFB1515-4:60×40cm、1枚45000円×2=90000円

■ 逸品館(AIRBOW)の WOOD-BASE/52_72:52×72cm、1枚26200円×2=52400円

■ TiGLONのフロア型スピーカー用純マグネシウム・ベース PA-13L/20L:W100 × D400 × H130/200mm、2台一組で30600/31900円×2=61200/63800円

■ 山本音響工芸の DK-25(JBL4344用) 440×650×250(H)mm、\36,000円(1台)×2=72000円

■ 山本音響工芸のキューブベース(ウッドブロック)QB-100:100×100×100mm、6個組 18900円×3=56700円

■ TAOCの SPB-400DH:W・120×H・200×D・400mm、14kg、50400円 ×2

■ ケンリックサウンドのJBL 4343, 4344, 4348用ウォールナット総無垢材スタンド(KR-ST4343):W635mm x D365mm x H170mm、重量:約6kg、2台一組 75000円


 ポイントは前述の通り、1人で移動/微調整が簡単にできること。
 すると鋼鉄製スピーカーベースは重く、一体型ではないので候補から外れました。キューブベースは軽くて安価なのがメリットですが微調整の際にバラバラになりやすいのでこれも脱落。
 ボード/ベースはおそらく間違いない製品とは思いつつ、もし気に入らない時処分に困るので、第二候補としました。
 残ったのは、山本音響工芸の「DK-25」とケンリックサウンドの「KR-ST4343」です。
 しかし問い合わせてみると、納品に数週間かかるとのこと。するとスピーカーが先に届いてしまいます。

 う~ん、困った困った・・・
 とそんな時に目に付いたのがヤフオクで出品されていた「JBL43XX用木製スタンド」。
 メーカー不明ですが、とにかくサイズが一致(W635mm×H200mm×D370mm)し、重くない(1台6.5kg)し、一体型だから移動/微調整も簡単と、条件をほぼ満たしています;



 「これしかない!」と勢いづいて2万円弱で落札。
 届いた品物は、しっかりしていて満足できるものでした。
 その上面にスパイダーシートを敷いてずれないように細工し、床面には家具を滑らせて床が傷つきにくくなる布製シートを貼り付けました。
 するとスピーカーとスタンドが一体化し、軽い力で床を滑らせることができるのでアラフィフの私にも移動が楽ちん楽ちん♪。
 実際に載せてみると特注したようにピッタリ合い、目論見通り。
 配達の店員さんも「これ、作ったんですか?」と驚く始末です。


サランネットのロゴは「Diatone」ではなく「Mitsubishi」です(↓)。時代を感じますね。




「これだ!オーディオ術」(村井裕弥著)

2013年04月07日 | オーディオ
音弓社、2008年発行。

オーディオライターとして活躍する村井氏が今までに雑誌に投稿した記事を再編集して収録した内容です。
本書の魅力は、基本理論よりも自分で経験してきたことが盛りだくさんで飽きさせないところ。
特に専門家やマニアとの交流記事が楽しく読めました。

<目次>
第1章:オーディオは高価な機器を買って自分を慰める趣味ではない
第2章:超ビギナーの質問に答える
第3章:オーディオ人に会いたい!
第4章:村井裕弥のオーディオ巡礼改めオーディオ探訪
第5章:現在使用中の機器とはこうやって出会った
第6章:音をよくしたあと、何を聴くかも肝心だ


以下に「なるほど!」と手を叩いた箇所を抜粋します;

■ 雑誌の「組み合わせ特集」でお勧めのセットを購入したが、いい音が出ない。
→ まったく同じ視聴環境を自宅で再現するのは難しい。試聴ルームで発揮されていた機器のベスト・パフォーマンスが読者の住宅の一室では真価を発揮できないだけ。

■ やってはいけない、オーディオのタブー
・部屋の隅に置いてあるタンスの上に機器を置くこと。
・一つ一つの結果を確認せずに進んで行くこと。
・オーディオチェックCDを絞る・・・できるだけシンプルかつストレートに録音されたアコースティック楽器と人間の声がお勧め。

■ オーディオ機器の使いこなしについて
→ まずは「どこに機器を置くか」。使いこなしというと、すぐアクセサリーに頼る人がいますが、アクセサリーの大半はサプリメントのようなもの。

■ スピーカー専用スタンドの必要性
→ 最大のメリットは、スタンド以外のものに載せた時の共振その他によってひどい音が発生する害を避けることができるところ。

■ ブックシェルフタイプのスピーカーは本棚に設置すべき?
→ ふた昔以上前のスピーカーは低音が出なかったので「うしろに回り込む低音を跳ね返す」目的で小型スピーカーを本棚の本と本との間に押し込むことが流行りました。いまでも小型スピーカーのことをブックシェルフタイプと呼ぶのはその名残です。
 現在はスピーカーの性能が向上し低音が出るようになったのでその必要性はなくなり、かえって本棚全体や棚板が共振して変な響きがついてしまうので逆に勧められません。

■ 20kHz以上の(人間に聞こえないはずの)超高域
→ 20kHz以上の超高域を単独で聞き取ることはできないけど、20kHz以上をカットした音と伸ばした音の違いはほとんどの人が聞きかけられることが実験の結果判明しています。SACDとDVD-Aは20kHz以上も再生可能なメディアとして開発されました。

■ JBL PS12というPA用(?)スピーカーについて
 ほとんどPA用といってもよいスピーカー(前面の保護ネットがパンチングメタル)。鳴りっぷりは豪快だがクラシックをじっくり聴こうという気には絶対になれない。ガサガサ、ボコボコ、カンカンといったような付帯音がどうしても気になる。
 要はスピーカーのエンクロージュア内部に貼られている吸音材の問題。圧倒的なシェアを鉾とグラスウールは中域・高域を吸っても低域を吸うことができない。そのため、エンクロージュアの中で低音が暴れ、妙なクセが付いてしまう。

■ SACDプレーヤー初登場
・・・手っ取り早くまとめると、SACDの音は予想以上に素晴らしかった。しかも、そのすばらしさはいわゆるナチュラル系であって、ボクたち(江川三郎実験室)が目指す方向とピタリ一致する。ちょっと聴いただけでは、むしろ地味でおとなしく、パッとしない。しかしその中に、信じられないほどのニュアンスを含んでいる。すごく乱暴な言い方だけど、「生音」に近い世界だ。

■ スピーカーのエージングとは「劣化」のことである、しかし・・・
(「菅野沖彦氏のお宅訪問」での菅野氏の言葉)エージング、エージングとよくいいますけども、スピーカーに関しては、あれは劣化なんです。劣化する途中でいいところがあるという、それだけのことで、あるところまでエージングしたら「その一番いいところでそれがずっと持続する」なんでことは絶対にない。

■ 鐘とオーディオの不思議な共通点
(「オーディオFSK」の藤枝氏のコメント)鐘の世界では、最高のものが金を混ぜた銅、2番目がクロム銅、3番目がリン青銅といわれている。純銅はその次、4番目だ。最近のコンセントの接点を見てみろ。前はリン青銅だったのに、いまじゃベリウム銅ばかり。プラグをしっかり挟み込むバネ圧が必要だからそうなったんだが、やつらはなにもわかっとらん。ベリウム銅よりひどいのは鉄だけで、ベリウム銅を使うくらいなら、まだ真鍮の方がマシだ。

■ SOULNOTEのCDP「cd1.0」のチューンドモデルを比較
※ SOULNOTEはフィリップス社のLHHシリーズの開発者である鈴木哲氏が起こしたブランド。
 「吉田苑モデル」と「サウンドデン・モデル」を比較した興味深い記事なのですが・・・もうCDPは買わないだろうなあ、と思う今日この頃なので省略。ちなみにサウンドデンモデルはそのHPで中古が現在も販売されているようです。

■ 村井氏の考える優秀録音盤
・ウェストミンスター・レーベルのバリリ四重奏団やウラッハ
・1950年代から60年代にかけてのEMI録音(特にARTリマスター盤)
・1950年代から60年代にかけてのハードバップ(プレスティッジ、ブルーノート、インパルス)
・赤川新一氏が録った遠藤響子や榊原大
・アコースティックサウンドクラブが収録した一連の「確認音源」(『土と水』や『ウッズトーク』)
・武久源造が弾く『鍵盤音楽の領域』シリーズ
<2チャンネルのSACD盤>
・『ハンス・リュッケルス ザ・ミュージカル・レガシー』
・木下伸市『承-SHOW』
・ジョルディ・サヴァール『ラ・フォリア』

伝説の MItsubishi「2S-305」を手に入れる

2013年04月03日 | オーディオ
 前回、Kripton KX-1000P について書きました。

 うん、このスピーカーあたりが、私のレベルではひとつのゴールかなあ・・・
 と思っていたところに、オーディオ関連本「これだ!オーディオ術」(村井裕弥著)を読んでいて件名のスピーカー「2S-305」に関する記事が目に止まったのでした。
江川三郎実験室の記録」(P43~)より一部を抜粋します;

 珍しく、イベント開始時から良い音が出ている!
 ほとんどの場合、最初は「なんてひでえ音だ。何とかしようぜ。」で始まり、対策を重ねたあげく、ハッピーな世界にたどり着くというのが常で、それがこのイベントの趣旨なのだからそれはそれで良いのだけれど、今日は例外のようだ。
 「何が鳴っているの?」と人垣をかき分けてみると、写真では何度も見ているが実物を見るのは初めての、大型スピーカーが姿を現す。三菱の2S-305じゃないか。伝説のNHKモニター!!
 この2S-305の、それも保存状態がいい個体の音を聞いたことがある人はほとんどいないのではないだろうか。
 かかっているのはチェチーリア・バルトリの「ゆかしい月よ~イタリア歌曲集」(DECCA)で、軽い振動板の大型ウーファーが鼻歌気分で奏でる音は、昨今の小型スピーカーが逆立ちをしても表現できない世界だ。念のためにいっとくが、「低音がよく出る」とかいう低レベルの話じゃないよ。


 こんな風に書かれたら、聞いてみたくなりますよね(笑)。
 ネットで2S-305を検索してみますと、NHKの現場で使うために開発された伝説のプロ用モニタースピーカーであることが判明しました。
 最初に発売されたのが1958年(私が生まれる前)、生産が終了したのが2001年という驚異のロングセラーを記録し、「スピーカーのダイヤトーン」という名声を得るに至った記念碑的作品です。
 数年ごとにモデルチェンジをしなければ売れない日本のスピーカーの中にあって、奇跡的なシーラカンス的存在という見方もできるかと。

 オーディオ評論家、菅野沖彦氏のコメント:
 「満開の桜を見るように、端正で、淡泊でいて豪華な響きの音は「はんなり」とでも形容したい上品な佇まいのバランスと音色

 ただ、大きいんですよねえ。
 ・・・W(幅) : 650.00mm  H(高さ) : 880.00mm  D(奥行) : 445.00mm 重量50kg弱。
 ちょっとした「家具」です。 

★ 参考になるHP/ブログ;
ステレオの産業史|ダイヤトーン
DIATONE 2S-305の仕様 ・・・価格がどんどん上がっていく不思議
□ audiosharing「過去のReview」(菅野沖彦氏、瀬川冬樹氏、井上卓也氏、岩崎千明氏のコメント)
ダイヤトーン 2S-305 (BTS R-305) モニタースピーカー
オーディオ・音の傾向「diatone 2s-305」

★ YouTubeより;
廿日市のコーヒーハウス・イシイへ名機R305(2S-305)がやって来た
スタジオモニター定番スピーカ 三菱 DIATONE 2S-305D(R-305)
スッと出る音My Audio test (2S-305,LHH1000,2A3-Z Amp & Preamp was made
Diatone Mitsubishi-R305
音楽喫茶「アヒルのジミー」開店 因幡晃のフランス語「わかって下さい」

 そ、そして、中古の2S-305をボチッ(パソコンのキーボードを押す音)と買ってしまった私。
 アフターケアも可能なショップ「ハイファイ堂」から購入しました。
 何せ古い品物であり、格安のオークション出品物ではキチンと稼働するかどうか不安が残りますので。

 そこで実働するようメインテナンスされ、かつ使いやすいように一部改造した品です。

メインテナンス内容
 外装研磨・全塗装 サランネット張替え コンデンサー交換(JRCオイルコンデンサー計4ヶ)
改造内容
 スピーカーターミナル背面バッフル加工取付け

 このスピーカーは本来「キャノンコネクター」というプロ用ターミナルしかないのですが、一般のバナナプラグも使用できるようにターミナルを増設してあるのです。
 なお、キャノンコネクターも従来通り使用可能であり、専用ケーブルも付属しています。



 側面にあるキャノンコネクターの形状(↓)

 本来は背面には何もないのですが(↓)

 バナナプラグ対応のターミナルが増設してあります(↓)


 年度末セールで「送料無料」「2年保証付き」というタイミングでゲットしました。
 相談したら、なんと2Fまで運び上げてくれるとのこと(よかった~)。
 4月中旬に届く予定で、どの位置に設置しようか、スピーカースタンドはどうしようか、と嬉しい悩みを味わっているところです。
 ああ、部屋中に広がるオーケストラの響きを早く味わいたい・・・。

 どうもピカピカの最新式よりも、いぶし銀のヴィンテージものに惹かれてしまう私。
 気がつくと周囲には古いものばかりが増えています。
 腕時計も50年前の機械式のものばかり。
 自分自身もそろそろ骨董品と化してきたかな・・・。