私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

「これだ!オーディオ術」(村井裕弥著)

2013年04月07日 | オーディオ
音弓社、2008年発行。

オーディオライターとして活躍する村井氏が今までに雑誌に投稿した記事を再編集して収録した内容です。
本書の魅力は、基本理論よりも自分で経験してきたことが盛りだくさんで飽きさせないところ。
特に専門家やマニアとの交流記事が楽しく読めました。

<目次>
第1章:オーディオは高価な機器を買って自分を慰める趣味ではない
第2章:超ビギナーの質問に答える
第3章:オーディオ人に会いたい!
第4章:村井裕弥のオーディオ巡礼改めオーディオ探訪
第5章:現在使用中の機器とはこうやって出会った
第6章:音をよくしたあと、何を聴くかも肝心だ


以下に「なるほど!」と手を叩いた箇所を抜粋します;

■ 雑誌の「組み合わせ特集」でお勧めのセットを購入したが、いい音が出ない。
→ まったく同じ視聴環境を自宅で再現するのは難しい。試聴ルームで発揮されていた機器のベスト・パフォーマンスが読者の住宅の一室では真価を発揮できないだけ。

■ やってはいけない、オーディオのタブー
・部屋の隅に置いてあるタンスの上に機器を置くこと。
・一つ一つの結果を確認せずに進んで行くこと。
・オーディオチェックCDを絞る・・・できるだけシンプルかつストレートに録音されたアコースティック楽器と人間の声がお勧め。

■ オーディオ機器の使いこなしについて
→ まずは「どこに機器を置くか」。使いこなしというと、すぐアクセサリーに頼る人がいますが、アクセサリーの大半はサプリメントのようなもの。

■ スピーカー専用スタンドの必要性
→ 最大のメリットは、スタンド以外のものに載せた時の共振その他によってひどい音が発生する害を避けることができるところ。

■ ブックシェルフタイプのスピーカーは本棚に設置すべき?
→ ふた昔以上前のスピーカーは低音が出なかったので「うしろに回り込む低音を跳ね返す」目的で小型スピーカーを本棚の本と本との間に押し込むことが流行りました。いまでも小型スピーカーのことをブックシェルフタイプと呼ぶのはその名残です。
 現在はスピーカーの性能が向上し低音が出るようになったのでその必要性はなくなり、かえって本棚全体や棚板が共振して変な響きがついてしまうので逆に勧められません。

■ 20kHz以上の(人間に聞こえないはずの)超高域
→ 20kHz以上の超高域を単独で聞き取ることはできないけど、20kHz以上をカットした音と伸ばした音の違いはほとんどの人が聞きかけられることが実験の結果判明しています。SACDとDVD-Aは20kHz以上も再生可能なメディアとして開発されました。

■ JBL PS12というPA用(?)スピーカーについて
 ほとんどPA用といってもよいスピーカー(前面の保護ネットがパンチングメタル)。鳴りっぷりは豪快だがクラシックをじっくり聴こうという気には絶対になれない。ガサガサ、ボコボコ、カンカンといったような付帯音がどうしても気になる。
 要はスピーカーのエンクロージュア内部に貼られている吸音材の問題。圧倒的なシェアを鉾とグラスウールは中域・高域を吸っても低域を吸うことができない。そのため、エンクロージュアの中で低音が暴れ、妙なクセが付いてしまう。

■ SACDプレーヤー初登場
・・・手っ取り早くまとめると、SACDの音は予想以上に素晴らしかった。しかも、そのすばらしさはいわゆるナチュラル系であって、ボクたち(江川三郎実験室)が目指す方向とピタリ一致する。ちょっと聴いただけでは、むしろ地味でおとなしく、パッとしない。しかしその中に、信じられないほどのニュアンスを含んでいる。すごく乱暴な言い方だけど、「生音」に近い世界だ。

■ スピーカーのエージングとは「劣化」のことである、しかし・・・
(「菅野沖彦氏のお宅訪問」での菅野氏の言葉)エージング、エージングとよくいいますけども、スピーカーに関しては、あれは劣化なんです。劣化する途中でいいところがあるという、それだけのことで、あるところまでエージングしたら「その一番いいところでそれがずっと持続する」なんでことは絶対にない。

■ 鐘とオーディオの不思議な共通点
(「オーディオFSK」の藤枝氏のコメント)鐘の世界では、最高のものが金を混ぜた銅、2番目がクロム銅、3番目がリン青銅といわれている。純銅はその次、4番目だ。最近のコンセントの接点を見てみろ。前はリン青銅だったのに、いまじゃベリウム銅ばかり。プラグをしっかり挟み込むバネ圧が必要だからそうなったんだが、やつらはなにもわかっとらん。ベリウム銅よりひどいのは鉄だけで、ベリウム銅を使うくらいなら、まだ真鍮の方がマシだ。

■ SOULNOTEのCDP「cd1.0」のチューンドモデルを比較
※ SOULNOTEはフィリップス社のLHHシリーズの開発者である鈴木哲氏が起こしたブランド。
 「吉田苑モデル」と「サウンドデン・モデル」を比較した興味深い記事なのですが・・・もうCDPは買わないだろうなあ、と思う今日この頃なので省略。ちなみにサウンドデンモデルはそのHPで中古が現在も販売されているようです。

■ 村井氏の考える優秀録音盤
・ウェストミンスター・レーベルのバリリ四重奏団やウラッハ
・1950年代から60年代にかけてのEMI録音(特にARTリマスター盤)
・1950年代から60年代にかけてのハードバップ(プレスティッジ、ブルーノート、インパルス)
・赤川新一氏が録った遠藤響子や榊原大
・アコースティックサウンドクラブが収録した一連の「確認音源」(『土と水』や『ウッズトーク』)
・武久源造が弾く『鍵盤音楽の領域』シリーズ
<2チャンネルのSACD盤>
・『ハンス・リュッケルス ザ・ミュージカル・レガシー』
・木下伸市『承-SHOW』
・ジョルディ・サヴァール『ラ・フォリア』


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