巨樹に魅せられて

巨樹巡りを趣味としていますが、気がつくと神社巡り。その周辺の話題もココに書き留めています。

街から消えていく御神木

2019-12-22 08:21:56 | 巨樹・巨木
 街中で大きな樹木を見かけると、
「ああ、あの木はいつまで切られずにいるだろう」
 と心配してしまいます。

 数百年生きてきた樹木が、人間の生活の邪魔になるという理由で切られていきます。
 一番多いのは「電線に近いから危ない」でしょうか。
 
 街中で生き残ることが可能な場所は、神社やお寺の境内くらいでしょう。
 しかしその神域・聖域でさえ、安全な場所でなくなってきています。
 そんな記事を紹介します;

信号機も隠す危ない「ご神木」 撤去しない神社の言い分
2019年9月25日 朝日新聞デジタル
 東京都八王子市にある「天満社」。学問の神様・菅原道真をまつり、北野天満社とも呼ばれ、地名の北野町の由来ともされる。その歴史ある神社が、樹木の枝葉を境内からはみ出させており、車や歩行者に接触する危険があるなどとして、国土交通省相武国道事務所と市から2017年以降計11回、文書で行政指導されていることがわかった。
 神社側は根本的に改善する気配がなく、地元の町会などは「越境樹木を放置すれば、重大な交通事故につながりかねない」と困惑している。
 天満社は京王線北野駅から徒歩3分の場所にある。現場を訪れると、北西角にある大木の枝葉が国道の上におおいかぶさるように伸び、大型トラックの荷台の上部に接触しそうになっている。信号機も枝葉に覆われて見にくい。枝葉が市道をまたいで児童館に達している場所もある。
 相武国道事務所によると、2017年に通報をきっかけに越境を確認し、18年5月に宮司に口頭で改善を求めた。今年2月、住民の訴えで再び越境を確認し、道路の構造や交通に支障を及ぼすおそれのある行為を禁じた道路法43条に抵触しているとして、2、5月に計3回、「道路占用指導書」を宮司の家族とみられる人に渡したり、宮司の自宅に投函(とうかん)したりしたが、反応はないという。
 市も17年以降、今年7月までに6回、神社側に文書でせんていを要請した。だが、市によると、宮司は3月に「樹木医に管理させているから大丈夫。境内の樹木はご神木だ」と主張し、すぐにせんていするとは明言しなかった。市側がせんていするという申し出も受け入れなかった。


 思い出すのは、日光の太郎杉。
 道路に面したスギの巨樹を残すために話し合い、人間側が譲歩して残されました(日光太郎杉事件)。

 しかし都会ではそのような雰囲気はないらしい。
 第一次産業中心で自然を恐れ感謝する地方と、
 自然と接することを忘れた都会では異なるようですね。
 もっとも、自然の驚異(地震・台風など)は場所に関係なく襲ってくる昨今ですが。

 さて、上記記事の続報です。
 この争い(?)、どのような結末を迎えるのでしょう。


はみ出すご神木「年内撤去を」 指導17回、初の期限
2019/12/21 朝日新聞デジタル
 八王子市北野町の神社「天満社」の樹木の枝葉が境内からはみ出している問題で、国土交通省相武国道事務所と東京都八王子市は、天満社に対し、12月中に越境部分を取り除くようそれぞれ文書で指導した。期限を設けずに指導してきたが、改善が見られないと判断し、初めて期限を設けた。


【写真】神社の境内(左側)から南側の市道に樹木の枝葉がおおいかぶさり、トンネルのようになっている

 相武国道事務所は、12月中の撤去を求める11月13日付の勧告書を宮司の自宅に届けた。回答がないため、12月2日に催告書を内容証明郵便で送った。
 市は12月中の撤去を求める指示書を11月27日に宮司の自宅に届けた。翌日、宮司から担当課に電話があり、「ご神木なので撤去できない」という趣旨の主張をしたという。
 天満社の越境樹木をめぐっては、相武国道事務所と市が、道路の構造や交通に支障を及ぼすおそれのある行為を禁じた道路法に抵触しているとして、2017年以降、行政指導を繰り返してきた。12月中の撤去を求める文書を含め計17回になった。
 相武国道事務所は「引き続き理解を求め、他の方策も検討していく」、市は「粘り強く指導していく。次の段階についても検討している」としている。



 神社の神域に対する日本人の心情は、昔々、西行が伊勢神宮を参拝したときに残した言葉;
なにごとのおはしますかは知らねども かたじけなさに涙こぼるる
 に象徴されます。

 最近、道路脇の空き地に小さな赤い簡易鳥居が立っているのを見かけますが、あれは「ゴミ捨て対策」だそうです。
 鳥居があると、日本人はゴミをポイ捨てできない、罰が当たりそう、という意識を利用した措置ですね。

 しかし、そのような意識も最近は薄れてきたようです。
 それを感じた記事を紹介します;

陸自隊員、神社の鳥居壊して不申告か 山形県警が捜査
2019/12/16 朝日新聞デジタル
 陸上自衛隊神町駐屯地(山形県東根市)の男性隊員の運転する車が今月上旬、同市内の神社の鳥居を壊す事故を起こし、警察に申告せずに立ち去ったとして、山形県警が道路交通法違反(事故不申告)の疑いで捜査していることがわかった。駐屯地は「調査中のためコメントは差し控える」としている。


【写真】柱が根元から折れ、倒れかかった木造の鳥居=山形県東根市神町東2丁目、住民提供

 神社周辺の住民らによると、4日午後10時ごろ、神社の境内に進入した車が木造の鳥居に衝突して、鳥居の柱を折った。運転していたのは第6施設大隊に所属する男性隊員で、ほかにも複数の隊員が乗っており、警察に事故を申告せず、車でその場を離れた可能性があるという。神社は駐屯地北側約500メートルにある。
 翌5日早朝、鳥居が壊れて倒れかけているのを近くの住民が発見し、110番通報した。その後、運転していたとみられる男性隊員が上司に付き添われ、地区の住民宅に謝罪に訪れたという。
 駐屯地関係者によると、男性隊員らは4日午後6時から午後9時ごろまで駐屯地外で懇親会に参加していたという。駐屯地は隊員らが事故を起こした状況やその後の経緯のほか、隊員らの飲酒の有無を調べているという。


 まあおそらく、アルコールが入っていて逃げたのだと思われますが・・・残念なエピソードです。

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