巨樹に魅せられて

巨樹巡りを趣味としていますが、気がつくと神社巡り。その周辺の話題もココに書き留めています。

「オーレリアンの庭」(NHK-BS)

2018-09-05 12:43:58 | 里山
「オーレリアンの庭」(2018.5.8:NHK-BSで再放送)
副題:今森光彦 四季を楽しむ里山暮らし









 今森光彦さんは10年以上前から「里山カメラマン」として知っていました。
 写真集もいくつか持っています。
 NHKのデジカメ講座も見ました。

 さて、その今森さんが琵琶湖畔に造ったアトリエで過ごす日々を綴ったドキュメンタリーです。
 庭の草や樹木も今森さん自身がプロデュース。

 移りゆく季節の中で花が絶えないようにいろんな植物を植えました。
 そのメインテーマは「蝶のいる庭」。
 花がなくなると、蝶がいなくなるから。
 なお、「オーレリアン」とは「蝶の愛する人たち」という意味だそうです。

 さらに、昆虫・生き物たちが冬を越せるような工夫も随所にちりばめられています。
 これは、植物のみならず、昆虫・動物の生態に精通していないとできないことですね。

 それから、今森さんが切り絵作家という顔を持っていることを初めて知りました。

 今森さんにとっての「里山」は、自然観察の対象ではなく、自分がその一部になりきること。
 そこで過ごす彼は至福の表情。
 なんとも、うらやましい限りです。 

 番組の最後の方に出てきた「小椋神社」を2017年夏に参拝する機会がありました。
 3本並んでいる杉の大木に会いに行ったのです。
 画面にも出てきましたね。
 しかしその秋、台風による暴風により、1本倒れてしまいました。
 今となっては貴重な映像となりました。


内容紹介
 30年前から里山を撮り続け、その魅力を世界に知らせた写真家今森光彦さん。
 琵琶湖を臨む棚田地帯にアトリエを建て、周りに落葉樹を植えた雑木林、野菜やハーブを育てる畑やため池などを作って庭を里山の様にして暮らしています。
 オーレリアンとはチョウを愛する人を表す言葉。四季折々、野花が咲き、実りが彩る美しい庭には、多彩なチョウが舞い、野鳥が集まります。
 今森さんは全国の里山から学んだ知恵を生かして里山の庭を手入れし、野菜作りや庭仕事に汗を流しながら、料理やアートも楽しんでいます。
世界の国々の撮影で身につけたセンスも融合させたライフスタイルは、私たちがお手本にしたい、ナチュラルでオシャレなアイデアがいっぱい。
 番組では、そんな今森さんの素敵な里山暮らしを年間取材。美しい庭の四季と命の輝きを見つめながら、里山の魅力や楽しみ方も紹介します。

「よみがえりの森、千年の村」

2018-04-07 21:12:30 | 里山
よみがえりの森、千年の村〜くにこおババの焼畑物語」(2014.12.11:NHK-BS)
 初回放送は2012.1.28、私が見たのは2014年の再放送です。



 宮崎県の山奥で、平家の落人の村として細々と命をつないできた焼畑農業を生業とする村の物語です。



 くに子おばばは「火と水と塩があれば山で生きていける」と断言しました。
 木を切って山を焼くと、燃えかすの灰は「リン、窒素、カリ」という肥料の三要素を満たす成分になるそうです。

 そこにまず、ソバの種をまきます。
 2年目はアワとヒエ。
 ヒエの種は50年保存可能。
 3年目は小豆。
 4年目は大豆。
 5年目は何も植えず、自然にお返しします。

 そして30年経つと、またそこの木を切り山を焼きます。
 なぜ30年なのか? 
 木は30年以上育つと、切り株から新芽が出にくくなるから。

 キノコは死んだ樹木の養分を吸い取って腐らせます。
 腐った樹木を虫たちが食べ糞として排泄します。
 実はその糞、リンと窒素とカリが豊富。
 つまり森の栄養になるのです。

 キノコと虫が億年の単位で繰り返してきた森の再生作業を、焼畑は一瞬のうちに成し遂げるワザなのです。
 くに子おばばは、なぜかそれを知っている。
 人間なのに・・・。

 くに子おばばは、人間は自然の一部に過ぎないと考えています。
 死んだ人間を土葬した時代、森の木の元に埋めました。
 つまり、人間でさえも樹木の栄養分。
 そうして育った巨木は信仰の対象となったのでした。


<内容>
 秘境と呼ばれる宮崎・椎葉村。森を若返らせる焼き畑農業を続ける最後の一人・椎葉クニ子さんは、土中の生き物と一体となり命を循環させる営みを続ける。その1年の記録。
 宮崎県椎葉村。その最深部の山奥に、今も夏になると山に火を放ち焼き畑を作る「おばば」椎葉クニ子さん(87)が暮らしている。焼き畑と言っても南米や東南アジアの大規模開発に使われている略奪的な焼き畑ではない。毎年焼く場所を変えながら少しずつ畑を作り、4年収穫したら放置して森に返す。そして30年周期で山全体を一巡する。それは森の豊かさを保つ営みであることを、かつては誰もが知っていた。 
 年老いる前に切られた木々は、すぐに新たな芽を出し新たな循環が始まる。人が焼き「かく乱」することで、森は若返り、畑の作物だけでなく、山菜やきのこなどさまざまな恵みを生み出す。かつては日本中が森を再生するための焼き畑を行っていたが、今もそれを続けているのは椎葉クニ子さんただ一人だ。この山で暮らすため、代々伝えられた焼き畑用の「種」を守るため。クニ子おばばは山の神に祈りを捧げて火を放ち、その恵みを日々の糧とする。草木や、土の中の生き物たちと同じように、人間が自然の循環の一部となって暮らす最後の風景がここにある。縄文以来続けられてきたという焼き畑の営みに込められた日本人の知恵を、椎葉の四季の映像と、特殊撮影を駆使して描く。

2016年秋の紅葉

2016-11-27 08:05:22 | 里山
 この秋は体調が不安定で遠出する気にならず、なじみの近隣をプチドライブして秋を拾ってきました。

■ 示現神社(栃木県佐野市)









■ 名草小学校の銀杏



■ 史跡「足利学校」の銀杏



■ 鑁阿寺









■ 平石八幡宮



■ 多々良沼松林





■ 旧秋元別邸


















古峰神社の紅葉

2013-11-07 06:36:53 | 里山
 11月の連休中に紅葉を見に行きました。
 場所は栃木県鹿沼市の古峰神社。
 元々は修験道がらみの神社で、大きな天狗のお面で有名です。
 また、境内にある「古峰園」という庭園は観光地化しており、7月には菖蒲、秋には紅葉を見物する人で賑わいます。

 あいにくの曇天でしたが、それでも堪能できました。
 というわけで、おすそ分けします;


















「秩父山中 花のあとさき」

2013-07-07 15:10:48 | 里山
 NKK-BS放送で何回も再放送されている番組です。

番組内容
 戸数5戸、住んでいる人、9人。平均年齢73歳。埼玉県秩父郡吉田町太田部楢尾。東京からおよそ80km、埼玉県西部に連なる秩父山地の急峻(しゅん)な斜面にへばりつくように、その集落はある。桑畑の跡地に花や木を植える夫婦、段々畑を耕し杉林を守る人など、人々の暮らしと四季の移ろいを見つめ、深い愛情で結ばれた人々と山とのきずなを描く。




 江戸時代に住みつき、畑を耕し、蚕を飼い、杉を植えて生計を立ててきた小さな山村が終わりゆく物語。
 現実に生きている70歳台の老人達が出演しますが、なんだか昔話の世界の中にいるような錯覚を受けました。
 
 「道路ができたら若者は麓の街へ現金収入を目的に働きに出るようになった。」
 「勤めは9時から5時で休憩時間もあり、農業より全然楽だあ。」
 そうつぶやくおばあさん。

 彼女は、体の衰えから山の斜面での畑仕事ができなくなり、代わりに木を植え始めた。
 花の咲く木、紅葉が美しい木々。
 お世話になった山に畑を返す気持ちをこめて。
 また人が山に住むようになったときに心が和むように。

 10年前に制作された番組であり、このおばあさんは既に鬼籍に入っています。

 昭和期の養蚕が盛んな頃は、村祭りも盛り上がったことが老人達の記憶にのみ残る。
 獅子舞や笛太鼓を倉庫から持ち出して、演奏してくれました。

 村の鎮守は「十八神社」。
 昔は村のいろいろなことを話し合って決める集会を行う場所だったけど、今は年1回、正月に顔を合わせて酒を酌み交わすのみ。

 杉林の手入れをする元気な老人。
 冬は枝打ち、夏は下草取りと間伐。
 これをしっかりやれば、明るくて健康な杉林ができる。
 でも、収入にならないからと放置された杉林が目立つ。
 すると、杉の成長は遅く細い木しか育たない。
 暗い杉林には下草が育たない。
 そして、保水力も、地面を固める力も低下し、台風で斜面が崩れてしまう。

 この老人達がいなくなると、この村は消えてしまう・・・。

里山の紅葉

2011-12-04 16:41:42 | 里山
 北関東の関東山地の麓に住んでいます。
 里山が色づきはじめました。
 鮮やかな赤や黄色はありませんが、私にとっては馴染みの風物詩です。
 写真を撮りましたので添付します(クリックすると拡大します);




「ホタルの歌」by 原田一美

2011-06-26 09:35:34 | 里山
初版:1971年発行(学研)
新版:2007年発行(未知谷)

 地元の里の川でホタルを見ることができて感動した私は、本棚からホタル関係の本を引っ張り出して読んでみました。

 著者は小学校の先生。徳島県は美郷村という山里の中枝小学校で宿直をしているとき、子ども達から「ホタル狩り」の誘いを受けたのがそもそもの始まりでした。川面に乱舞するゲンジホタルの大群に魅せられ、子ども達とともに観察を始め、人工飼育に挑戦し、3年がかりで卵から成虫になるまでを見届けた活動の記録です。

 ホタルについてほとんど知識がなかった私ですが、この本の中の小学生達に教わっているような錯覚を受けました。
・成虫だけではなく卵も幼虫もさなぎも光ることを初めて知りました。
・カワニナという巻き貝しか食べない幼虫、水しか飲まなくて生殖活動を終えると3週間の命を終える成虫(「ホタル来い」の歌に習って砂糖水を与えたら死んでしまった!)。
・キレイな清流に住むホタル・・・鉱山の廃液が流れる川には一匹もいない事実。

 本で調べてお終いではなく、実際に飼育して卵から成虫になる過程を詳細に観察し、試行錯誤の中で知識を確認していく熱意と集中力に脱帽しました。その生き生きとしたまなざしを記録に残したいと先生も思ったのでしょう。

 初版の年代から計算すると、ホタル研究部の部員は私より少し先輩達。私の田舎にはすでにホタルはいませんでしたが、春夏のザリガニ釣り、小川にはメダカが泳ぎ、秋には赤とんぼの大群が空を埋め尽くす自然が残っていました。
 現在の子ども達は「人為的に造られた遊び空間」しか与えられず、未知の自然に踏み入って行くときのドキドキ感が経験できなくてかわいそうですね。

 一時、ホタルの研究で盛り上がった村も時代の流れの中で過疎を免れず、中枝小学校は廃校へ。図らずも、貴重な記録となってしまいました。

~自分のためのメモ書きです~

■ ホタルが飛びやすい条件:
・水温が14~16℃、それより高くなると上流へ移動していく。
・雨の降る夜や月の明るい夜は少ない。
・空が曇って湿度が高く、気温も高い夜に多い。

■ ホタルの飛行に関する知識:
・当たりが薄暗くなる7時過ぎに飛び出し、9時頃最もたくさんの数になり、それからだんだん数が減り、夜中と、朝の3時頃またちょっと増えるが、その後減り続け、やがて夜明けとともに姿を隠す。
・最初にオスが飛び始め、約2週間遅れてメスが飛び出す。
・オスは飛ぶ力が強く、メスは弱い。
・昼間はほとんど動かないで、草や木の葉の裏側や、葉の付け根の引っ込んだところにずっと隠れている。

■ ホタルの産卵(飼育観察):
 産卵はいつも夜が更けてから行われた。苔の間をあちこち這いまわっていたメスのホタルは、卵を産むのにいい場所(ほとんどが隅の方)を見つけると、お尻を上下に振りながら、苔にこすりつけるようにして産みつけていく。そして、生み終わった後しばらくはそのあたりを這っているが、やがて草の影に身を隠して死んでしまう。

■ ヘイケボタルの観察より:
・汚い水辺に住んでいる
・大きさはゲンジボタルの約半分で、メスは10mm、オスは9mm。
・ゲンジボタルはふわりふわり曲線のカーブを描いて柔らかく飛ぶが、ヘイケボタルはすっ、すっと直線的に鋭く飛ぶ。
・光る回数はゲンジボタルと変わらないが、光はうんと弱い。


・・・ホタルが光る、その大元は「ルシフェリン」という化学物質です。実は私、今から15年前にこのルシフェリンを使って実験・研究をしていました。正確には「ウミホタル・ルシフェリン誘導体」という物質を用い、肺胞マクロファージという細胞から産生される活性酸素を喘息の薬が抑制するかどうか、という研究です(専門用語でよくわかりませんね)。一応この研究で医学博士の資格をいただきました。

 重ね重ね、ホタルに感謝。

里の川にホタル

2011-06-13 22:59:51 | 里山
 今夜長男が「お父さん、旗川にホタルがいるらしいから見に行こうよ」と突然言い出しました。
 旗川というのは近所にある清流で、子どもの頃は釣りをしたりヤスで魚を突いたりした里の川ですが・・・そんな話、ついぞ聞いたことがない。
彼の話では、ホタルを放した人がいて、カワニナ(ホタルのエサ)を放した人がいて、そしたら繁殖してしまったとのこと。
ホントかなあ、と半信半疑で見に行ったら・・・ホントにいました。
川岸の草むらで点滅したり(メス)、フワフワと飛翔したり(オス)。

早速デジカメで撮影にトライするも、一眼レフではないのでこの辺が限界です(苦笑)。

  

栃木県足利市周辺では「名草」というホタルの名所があるのですが、歩いて10分の場所でホタルに会うことができるなんて、幸せな夏になりそう。

「京都 法然院 いのちの庭」

2010-02-15 22:01:38 | 里山
NHK-BSで放映されたタイトルの番組を視聴し、たいそう感動しました。

説明文より;
「京都、東山山麓にひっそりと佇む古刹・法然院。山に囲まれた京都の中でも、比叡山へと36の山々が連なる東山は、自然が色濃く残る場所。法然院はそこで800年以上の歴史を持つ法然上人ゆかりの寺だ。古びた山門をくぐると、四季を通じてサクラやフジ、アジサイなどの花が苔むした境内を彩り、掃き清められた白砂壇や日本庭園が本堂に調和する。そして背景に迫る常緑樹の深い森。ところが、京都ならではのそんな風景に目を凝らすと生き生きとした命の世界が見えてくる。」

都市の近くの小さな森にいろんな生き物が食物連鎖を形成して世界を作っています。
その多様さ・豊かさに驚かされることしきり。
印象に残った森の住人達は・・・

■ モリアオガエル
 ふだんは森の中に棲息するカエルですが、繁殖期だけ池に集まります。メスの体はオスの2倍の大きさ。
 そのメスの背中にオスが一匹おんぶすると産卵の始まりです。
 産卵場所は池に迫り出した木の枝。卵からかえったオタマジャクシが池に入りやすいよう配慮しての選択です。
 泡状の粘液と共に卵を産み落とすメス、そこに精子を振りかけるオスは背中の一匹だけではなく、いつの間にか周囲からたくさん集まり、4~5匹がメスにぶら下がって、不思議な光景を作り出します。
 産卵が終わるとオスもメスもさっさと森の中へ退散していきます。
 その年は天気が良すぎたため、ひからびてオタマジャクシになれなかった卵達が写し出されていました(涙)。

■ ムササビ
 椎の木の住人。見事な滑空を披露してくれました。
 お寺の森にムササビがいることだけでも驚き!
 ムササビが住み着く椎は中が空洞になるので嵐に弱いそうです。

■ ジャゴケの生態
 コケにはオスとメスがあるんですね。初めて知りました。
 何より驚いたのは、植物であるコケのオスが「精子」を作ること!
 ちゃんと鞭毛があって泳ぐんです。
 精子・卵子は動物の専売特許じゃなかったんだ。
 雨が降るとオスの造精器から精子がシュッと霧状に吹き出され、メスの卵子がある場所へ雨水で流され辿り着き受精が成立します。
 ウ~ン、生命の神秘。

■ クマムシ
 コケと共に棲息する1mmに満たない虫。
 水が無くなると活動を停止し、そのまま数年間はエネルギー補給なしに耐えられるそうです。
 水を得ると何事もなかったようにまた動き始める、強靱な生命力。

■ クモ
 クモの巣には丈夫な縦糸と粘着性のある横糸があることを知りました。
 横糸は獲物を捕獲するためのものですが、クモ自身もくっついてしまいます。
 巣を夜30分で張り上げ、朝には撤収(自分で食べてしまう)し、また夜になると適当な場所に巣を張る種類が紹介されていました。
 なんだか、屋台の夜鳴きラーメンを連想させますね(笑)。


 やっぱり京都っていいなあ。
 20年前は一人旅で歩き回ったものですが、最近はご無沙汰。
 雪が舞う大原三千院の風情は今でも鮮やかに記憶に残ってます。