ましくふ~気ままに福島 見聞録~

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磐梯熱海に見る今の安積疏水(郡山市)

2007-11-29 14:46:49 | 安積疏水
安積疏水は安積平野(郡山市)の水不足を解消すべく明治政府が士族授産・殖産興業の政策のもとに、1879年(明治12年)から国営事業第1号として猪苗代湖の水を導水した事業です。
磐梯熱海は安積疏水の上流部にあたり、豊富な水流を利用して丸守発電所・竹ノ内発電所・丸守発電所が建設されました。その後、老朽化した用水路の取水口改修工事や、新たな用水需要対応するため熱海頭首工が新設され、現在に至っています。


↑今回は、丸守発電所から熱海頭首工を通り、逢瀬方面へ続く安積疏水を訪ねます。(磐梯熱海が安積疏水の偉業を訪ねる地域としても有名になることを望みます)


↑磐梯熱海温泉街から望める丸守発電所。1921年(大正10年)に建設されました。上流の安子ヶ島(あこがしま)にある竹之内発電所側から蓬山(よもぎやま)の山中を抜けてきます。当時は大峯発電所と呼ばれていました。(近くに大峯不動尊があります)


↑設計者は不明ですが、優れた近代建造物であるため2002年(平成14年)に土木学会選奨土木遺産に指定されました。


↑変電所が併設されており、発電施設全体に統一感が感じられる。(景観とあいまってとても美しい発電所です)


↑すぐ下流の五百川には、安積疏水の用水路改修事業により、新設された7ヶ所の頭首工の一つ熱海頭首工があります。1973年(昭和48年)に完成し、安積平野の農業用水の源に当る取水口として活躍しています。


↑福島県から1952年(昭和28年)に認可された「安積疏水土地改良区」によって管理さており、今も100名の監護人の力によってこれらの疏水施設は守られているそうです。


↑1972年(昭和47年)には、「国営安積疏水地区と郡山上水道事業との共同工事に関する協議書」の締結により、翌73年から安積疏水の施設を利用して上水を供給している。(郡山市は水を買っている)


↑熱海頭首工に隣接する安積疏水神社は1879年(明治12年)の開削当時から工事成功祈願の守護神として水神を祀っていました。昭和10年4月には、熱海事務所敷地内に豊受大御神・水波能賣神を祀り、現在の安積疏水神社があります。(その割には存在が地味です)


↑色鮮やかに塗られた安積疏水橋手前の水門。


↑五百川を横断する安積疏水橋。(上から見ると結構高い)先に見える山を抜けていきます。


↑1977年(昭和52年)製作された延長53.5メートルのシングルコードランガー補剛型式水管橋と読みとれる。(ちなみに佐世保重工業製です)


↑初夏には、自生の藤の紫色と新緑の緑色、安積疏水橋の青色が鮮やかなコントラストを見せる。(何気に安積疏水の白文字がきいている)


↑疏水橋からトンネルを通り、果樹縁側から抜けて出てくる。


↑統一感のある色に塗装された4号分水工。


↑左は第1分水路。郡山市喜久田(きくた)地区へ流れていく。


↑第4号分水工局。


↑熱海町上伊豆島小倉に架かる橋の欄干にはやっぱり「安積疏水」の文字。平成4年3月竣工。(ちょっとカッコイイ)


↑ゆったりと流れながら安積疏水はこの先のトンネルに吸い込まれていく…(サヨウナラ)

◆逢瀬町夏出・河内・多田野に見る今の安積疏水(郡山市)へつづく。

《参考文献》
◇「安積疏水百年史」 発行:安積疏水土地改良区
◇「郡山市水道史」 発行:郡山市水道局
◇「誰にでもわかる安積開拓の話」 発行:歴史春秋社
◇「みずのみち 安積疏水と郡山の発展」 発行:歴史春秋社
◇「郡山市水道90年のあゆみ」 発行:郡山市水道局
◇「安積開拓120年記念 先人の夢に逢う」 発行:郡山市 ほか
◇「国営新安積土地改良事業」 発行:東北農政局 新安積農業水利事業所
◇「安積疏水125年の水しるべ」 発行:安積疏水土地改良区

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