楽園の泉

自転車とかカメラとかのブログ、たまにねこ。

川苔山

2022-11-09 | 山登り
リバーサルフィルムで紅葉を撮ってみたくて、奥多摩に行ってきた。
スタートは、鳩ノ巣駅。始発電車に乗って、3時間半の行程。

駅前の楓はこんな感じ
背景が斎場だったのは想定外。

8時半に駅を出発すると、のっけから見上げるような急坂を登り

程無く山道を進み始めると
うっそうと茂った杉木立の中を進む。

紅葉の写真を撮りに行くことを口実に、実はここが目的地。
その筋で有名な「峯集落」に行ってきました。集落の入り口の目印になる大根山ノ神様。

ちょっと「廃村っぽい風景」を期待して行きましたが
切り株に乗せられた皿と一升瓶(破壊済)

奥の石垣と、手前には井戸の跡と思われる石積み

石垣の上にあった割れた甕

もはや無縁仏さま?

こちらも。

杉の木が茂ってしまって、よく探さないと住居の跡すら見つけるのも難しい。

更に、広域林道が建設されている最中で、期待した廃村的風景は望むべくも無かったです。
鳩ノ巣駅から先ほどの「大根山ノ神」のところまでコンクリ舗装された道ができていて、さらに峰集落までこのような道が作られています。この道は集落跡地の中心を貫いていて、上掲の写真でも背景に道が作られているところが見て取れます。

「大根山ノ神」が近づいたころ、自分のほかに熊除けベルの音が聞こえたような気がしたんだけど、あれは気のせいだったのかしら。おかげでその祠に気が付いたんでちょっと感謝。整地された道の先は工事現場で、熊除けベルを使いそうな人はいなかったんですがねぇ。

リバーサルフィルム(FUJI PROVIA 100F)は36コマ写すことができ、使い切るつもりでいたのですが、こういう状況で半分も使うことなく、ここから川苔山を目指すことにしました。

基本、杉の木立の中を進むので、その合間からしか紅葉を望めないのですが、たまにこういうところも。

以下、たどったコースをYAMAP掲載の地図を参考に。
鳩ノ巣駅から棚沢集落を抜けて一番最初に出てくる赤い線先端が「大根山ノ神」の祠のあるところ。そこから765mのピークの南側を通る道を西に向かって進み、途中に出てくる赤い線に沿って歩きました。その先にある白丸が
「大ダワ」と呼ばれる分岐。この標識では地図の東側のルートが「悪路」となっていたので
この見上げるような「鋸尾根」を進んだのですが、
「悪路」はこっちでした。悪路というより鋸尾根というだけあってまさにソレ。リンク先地図に「鋸尾根Ⅲ峰」「鋸尾根Ⅱ峰」「鋸尾根Ⅰ峰」って書いてあります。登り始めてすぐに泣きそうになりましたがもう一方の「悪路」がどの程度か見当がつかないので諦めていましたが
紅葉した本仁田山を背後に見ながら進みます。というか進まざるを得ないのよ実際。

そうこうするうちに、履いて行った GT HAWKINS のソールが剥がれたりして、「泣いて何とかなるなら泣いてた」。そういえば誰かが「GT HAWKINS は名前だけで『使えない』よ」って言ってたな、とか「それっていわゆる『ルック車』じゃね」とか、つまらないひとりボケひとりツッコミみたいなことしながら「行くしかない」と崖を登ってました。

ソールは剥がれたものの、つるつるなベースがまだ残っていて、トラクションを掛けなければ滑らないことは分かったので、ソールのベースで登り続けることにしました。(実は出発前に地下足袋を持っていこうかチラっと考えた)

鋸尾根を何とかやり過ごし、舟井戸に着くと
「大ダワ 本仁田山」に『通行注意』の標識が付いてる。そして川苔山のほうから来た人たちは写真左手の道を普通に進んで行ってるし。
(地図上「舟井戸から東側に分かれる道)

さすがに疲れたし小腹も空いたのでここ舟井戸でおやつ休憩し、一息ついて川苔山を目指しました。舟井戸から北上、その先の分岐を西に曲がり、さらにその先の十字分岐を西に曲がって
とうちゃこした。長かった。鳩ノ巣駅を出発してから4時間半。そこで恭しく取り出したるは
SVEA123R。この時ほどあの轟音を頼もしいと感じたことは無かった。

持参した米1合を炊き、フリーズドライの味噌汁と梅干が今日のお昼ご飯。

お腹がこなれたころを見計らって、下山開始。

川苔山山頂から西に下る道も
なかなか急な道で、下る衝撃が体に響きます。最初の分岐を北に、次の分岐を西に進むうちに、ついに靴の底がつま先から剥がれ始めました。
装備の中に木綿のロープがあったので、滑り止めを兼ねて巻きつけました。「GT HAWKINS を許さない会」の誕生である。自転車で鍛えた「翼がおろし金のようになっても帰還するノースロップの精神」です。

木綿のロープでの滑り止め対策が済み、なんとかたどり着いた
「百尋の滝」。

「山の日暮れは早い」って言葉を聞いたことがあるのですけど、14時過ぎなのに、あたりの空気が「もう夕方」って雰囲気で、気がそぞろになります。とりあえずフィルムでも撮影し、あとは奥多摩駅に向かうだけです。一本道なので迷うことは無いのですが、奥多摩駅へのバス停まで5kmの山道を進みます。
見事な紅葉だけど、木立からなので眺望は良くない。

日が傾いてきたので、渓谷への日差しも弱い。

「ゲートが見えてきた!」と喜んだのもつかの間、そこは「細倉橋」、川苔山の登山口でした。ここからバス停「川乗橋」まであと3km。作業用の車のために舗装されていますが、その舗装路を片側のソールが剥がれた歩きづらい靴でテクテク下るのもなかなか辛い。次第にあたりは暗くなってくるし、バス停に着いたものの「バスの運行は終了してました」なんてことになったらどうしようか気が気じゃないし(スマホ持ってるんだから検索すればいいだけのことなんだけど、そこはデジタルネイティヴじゃないことを実感)。

川乗谷に沿って進むこと40分ほどで川乗橋バス停に着いて、時刻を確認したら30分ほど待てば奥多摩駅に行くバスが来ることが分かり、ここでやっと人心地がつきました。その後行きのルートをなぞる形で電車を乗り継ぎ、帰宅したのは21時。そして今日は筋肉痛に苛まれながらデジカメの写真を整理してます。

カメラの話
フィルムとデジタル、焦点距離を合わせたので「デジカメによるバックアップ」が簡単に片付くと思いきや、フィルム撮影の時に「レンズの明るさが足りない」という事態が発生。予備に持って行った50mm/f1.4に付け替えての撮影になったり「それでも明るさが足りないからスローシャッター使え」だったので、三脚とレリースもやっぱり必須だった。


今回持って行った荷物の総量が6kg近く、その大半が火器と水分(2L)、あとカメラ2つ。水分はともかく液燃ストーブに拘るならこの重さは避けて通れないし、同じくフィルムを使いたい/保険でデジカメというのも同様。登山というより撮影が目的なので、そういう重量配分からどう最適解を導き出すのか、今後の検証がまだまだ必要ですね。





今回のMVP。
ありがとう、君のお陰で僕は無事に帰ってくることができました。


6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
明日は大山(伊勢原) (くんくんの父)
2022-11-10 08:47:33
お疲れ様でした。
若いころ、加水分解でスキーブーツの踵がもろもろと崩れたのを思い出しました。
ご無事で何より。
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あれよ (tetsu125ss29er)
2022-11-10 10:32:30
整備不良w
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>>くんくんの父さま; (さくらなみき)
2022-11-10 22:10:09
一昨日より昨日、昨日より今日のほうが、筋肉痛が酷いdeath。

登りはともかく、下りは「体に来る」をひしひしと実感しています。
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>>tetsu125ss29erさま; (さくらなみき)
2022-11-10 22:12:25
身も蓋もない言い方すれば、それですな。

10年以上履き続けた、keen のローカットのほうが、ソールがすり減ってもまだなんとか使えるのと、エライ違いですわ。
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Unknown (gabaosan)
2022-12-16 13:08:05
はじめまして、こんにちは。

川苔山、お疲れ様でした。
大ダワから右に行く「悪路」ですが、鋸尾根から切れ落ちる嶮峻な尾根腹をへつる水平道で、途中の木橋も老朽化していますので、歩かない方が良いです。
鋸尾根の方がずっと安全です。
念のため~☺️

ガバオ拝
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>>gabaosanさま; (さくらなみき)
2022-12-19 20:30:21
コメントいただきありがとうございます。

鋸尾根をやり過ごして舟井戸で休憩していたら、普通にこの水平道に向かう人たちを数人見かけましたので「どういうことなんだろう」と思いました。

まぁ、靴底が剥がれたりしましたけど、景色は良かったし「山道」のいい体験ができたので結果オーライということにしました。

峰集落がメインだったので結果東側からアプローチすることになりましたが、西側に下りた時「こっちから登らないで良かった」と思いましたが、やはり体へのダメージは登りの比ではありませんでした。

その前の箱根・湯坂道に続いてのいわゆる「山登り」でしたが、いい体験になりました。折を見てまた行ってみたいです。
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