著作権法

著作権法についてしっかり考えてみませんか。

自動公衆送信

2006-06-28 03:14:53 | Weblog
 著作権法は、著作者の権利として様々な「支分権」を規定しています。「複製権」であったり、「上演権」であったり・・・昔は、「放送権」というのもありました。いずれも、著作物などを利用する事業者の利用形態に添った形で、支分権が規定されていました。著作者はそうした事業者に許諾を与え、事業者が著作物を利用して事業を行い収益を上げて、その収益の中から著作者に許諾の対価を支払うという形で、経済も動いていました。
 しかし、「自動公衆送信」は、その前段階である「送信可能化」も含め、様相は異にしています。インターネットの普及に伴い、多くの個人が画像や映像、音声などをアップロードできるようになりましたが、勝手にそうした行為が行われないようにするために、そうした権利が設定されたという側面が非常に大きいのです。収益を上げようとする事業者の行為を捕捉するのではなく、素人の行為を規制するためにそのような権利が設定されたと考えることができるのではないでしょうか。「支分権」にこれまでと違った要素を持ち込んだのが「自動公衆送信」と考えることができます。
 今後の著作権法も、技術の進歩・普及に伴い、素人である個人が著作物を利用する場面が増えていくことに対応したものとなることは間違いのないことだと思います。著作権が「経済財」になることによりパラダイムが生じましたが、誰もが著作物を利用できることにより、更なるパラダイムが起こっているように見えます。