著作権法

著作権法についてしっかり考えてみませんか。

許諾なく著作物等を利用できることの危うさ

2006-06-07 00:13:51 | Weblog
 ■入試問題への著作物の利用

 入試問題に小説や随筆などを用いることがあります。語学の試験科目なら外国の作品が用いられます。
 著作権法は、このような試験に用いる場合には、著作権者の許諾は不要としています。「試験」の性格ゆえ、そのような権利制限は仕方のないことでしょう。
 しかし、この権利制限は、試験問題として利用される場合に限るので、その後その試験問題を学校がネット上にアップしたりする行為や、いわゆる赤本に掲載する行為には、著作権者から許諾を得なければなりません。そのようなことから、学校等の情報公開や広く教育活動に支障が生じるという事態も起こっています。
 センター試験でも、そのような事例があったことは記憶に新しいところです。

 ■放送番組を制作するときにも許諾権は制限されている

 同様のことが、放送番組においても起こっています。放送局はとにかく視聴率を取れるものをつくろうとします。視聴率によってスポンサーからの広告収入が変わってくるからです。そのため、気難しいアーティストの曲を使ったりします。レコードの放送使用に関しては、実演家やレコード製作者は許諾権はないので、放送局は自由に音源を選択し利用することができます。
 
しかし、その番組をビデオ化したりネットで配信しようとすると、これら権利者の許諾権がかかってきます。そのようなことから、いわゆる放送番組の2次利用ができなくなってしまうのです。
 著作物等を自由に利用できる特権が与えられると、特権の範囲内では著作物は利用されますが、その範囲外での利用はきわめて難しくなってしまいます。

 ■許諾なく著作物を利用できるという「特権」とは・・・

 入試の場合にでも、その入試問題はその後様々な利用をされるべきものですし、放送番組も、ビデオ化、ネット配信利用など、様々な利用が想定されます。
 著作権法におけるこうした特権は、今後見直すべき時期に来ているのではないでしょうか。