日曜日の23時48分。
月～金8時～17時で就業している人種に
とってはそろそろ風呂にでも入って寝たい時刻。
そんな時間に何故人の迷惑考えず電話してくるのか。
『・・・どう思う?』
｢本人に聞けよ。｣
『お前にはちゃんとしていただろう？
似顔絵と花と。｣
｢ああ、まあな。｣
『・・・・オレには何故ないんだ？』
・・・・知らねぇし。
もう、終わるが今日は父の日だ。
先月の母の日には修羅は蔵馬に『母の日のプレゼント』
として似顔絵とお手伝いして貰ったお小遣いで買った
カーネーションと言うベタな物をくれた。
母親違う。とは思ったがそれはそれとしてやはり
嬉しかったのでぎゅっと抱き締めてほっぺにちゅーしたら
照れながら凄く喜んでいた。
ｰついでにその夜のご飯は修羅の好きな物だらけだった。
ので。
今日黄泉は修羅が何をくれるか楽しみにしていた模様。
しかし。
今の今。
この時間まで修羅は何も寄越さない。
てか、寝た、らしい。
気の毒だなあ、とは思うが。
『修羅はオレが嫌いなのか？』
｢そんなことないだろ。｣
『お前にばかりなつくだろう。』
｢叱るのがおまえで宥めるのがオレだからそう思うだけだよ｣
『パパじゃなくて蔵馬が毎日うちに居ればいいと前に
言っていたぞ。』
｢オレが毎日一緒にいたら修羅もウザいって言うから。｣
『だが』
ウザい。
何でこんな育児相談なんかしなきゃいけないんだ。
他の誰に対するよりも黄泉に対しての蔵馬の
イライラのキャパシティは低い。
『・・・お前も今日来ないし。』
｢毎週は行けないって言ってるだろ。｣
『修羅は口答えばかりするし。』
｢反抗期だよ。｣
『一人で子育てはキツい。』
｢こっちの了承なしに勝手に作ったのお前だろ。｣
『言ったら了解しないだろうが。』
｢当たり前だろ、馬鹿。｣
『今から来れないか？』
｢・・・・黄泉。｣
『何だ。』
｢オレ明日仕事なんだって知ってるよな。｣
『どうせ有給余ってるんだろう？』
余ってる、けど。
｢今日言って明日取れるわけじゃない。｣
『・・・解った。』
｢・・・今週は金曜の夜から行くから。｣
『大丈夫だ。オレが行く。』
は?
『火急の案件もない。端末があればそちらからでも
指示は出せる。たまには良いだろう。』
｢良いだろうっておまえ｣
『寝ていていいぞ。鍵はある。
そうだな、そちらには3時頃に着く。ではな。』
｢待っ・・・！｣
言うだけ言って勝手に。
｢あいつ、そんなにショックだったのか？｣
それはともかく、実家を出ておいて本当に良かった。
夜中の3時に長髪長身の見た目三十代の男が
息子に会いに来るなんて(母さんはともかく)
家族がなんと思うか想像したくない。
まあ、それよりも。
根本的な疑問が一つ。
魔界に父の日って広まってるのか？
～父の日は人間界でも大々的に取り上げだしたの
ここ１０年くらい?ですよね。
なので魔界ではあにはからんや。ってことです。
でも、パパだけでママに会いに行ったら息子ちゃんは
めっちゃ怒ると思います。
