晴れわたった初夏。
道行く人々も笑顔を浮かべ楽しそうだ。
着ている服も皆薄着になり足取りも軽い。
皿屋敷駅前に二年程前に出店した海外資本の
コーヒーショップのテラス席。
最近あちーなあ、等と考えながらその前を通り過ぎかけた
桑原和真は足を止めた。
キャッキャッウフフとリア充達がデートの待ち合わせに
使うそこである一区画だけ雰囲気が違う。
爽やかな初夏、と言うより地球滅亡の日みたいな
明らかにおかしな雰囲気を纏ってそこに座るのは。
「蔵馬？」
緩慢な動作で顔を上げた彼の人は。
なんと言うかこう、儚げで消え入りそうなこいつはオレが
守らないと！と言う気にさせられるくらいの空気を漂わせている。
「・・・何かあったか？お前？」
頭を振りながら蔵馬のテーブルに近づく。
「・・・あったと言うより『ある』なんですよね・・・」
はあ、とため息混じりに出た声までも普段より儚い。
「なんか失敗したんか？」
ありえないと思いながらも聞く。
「・・・失敗？
ある意味じゃそうかも。」
ここまで落ち込む失敗ってのは一体何だろうと桑原は思う。
人類滅亡・・・？！は行き過ぎとしても、だ。
「選択の失敗かなあ・・・」
「は？」
「桑原くん今日何の日か解ります？」
「今日・・・？日曜・・・てのは関係ねーよな・・・」
考えながら視線を動かせば駅前のショッピングモールの電光掲示板に
流れる文字。
「母の日か？」
「そう。」
「カーチャンに変なモンやっちまったとか？」
「そんな失態しませんよ。」
じゃないとすると。
母の日で蔵馬に関係するモノといえば。
「修羅か？」
「の父親。」
「黄泉？何でだ？」
「『母の日』を勝手に曲解して覚えやがりまして。」
「・・・あー」
思い込み激しそうだもんなあのヒト。と桑原は肯く。
「今日はお前を労ろうとか宣いまして。」
「おう。」
「・・・今日の夕飯はオレ達が作る等と。」
「・・・言葉だけ聞きゃいい旦那なんだけどなあ。」
母の日だから夕食は自分が作ろう。そこだけ聞けば良い話だが
「・・・・・・下手なんだよな。」
こくん。と蔵馬が肯く。
黄泉は家事一切が壊滅的に下手だ。
離婚されるレベルに。
どうしたらそう言う失敗が出来るのか論文にしたいとまで
言われるほど家事が出来ない。
特に駄目なのが料理。
不味い不味くないを通り越し食材全てが暗黒物質へと進化する
見た目は少し焦げた程度なのがタチが悪く初めて口にした時
蔵馬は倒れた。(ついでに修羅も)
2日間意識不明ののち病院で目を覚ました時蔵馬は決心した。
オレが生きている限り修羅に黄泉の料理はもう二度と食わせないと。
「・・・・・・キツいなあ。」
「本人は食べても平気な所がまたタチ悪くて・・・」
「・・・家に帰ったら殺人兵器が待ってんだな。」
「桑原くん。それ笑えない・・・」
力なく笑う蔵馬は儚げで美しいが。
(・・・旦那の不味い飯食いたくないってのがなんかなあ・・・)
「でも、もしかしたらよ。
食える不味さになってるかもしれないぜ？」
「そうかな・・・」
「それによ。『達』ってこたぁ助手がいんだろ？
修羅か？」
「うん。」
「じゃ、安心出来んべ？
アイツまだ5歳なのに米研げて料理の下拵えお前と
一緒にやるんだろ？」
「・・・5歳ならそれぐらい普通に出来るんじゃ」
「いやいやなかなかいねーって」
ん？と一瞬蔵馬は首を傾げた。
「兎に角子供と一緒に作んなら簡単なモンだろ。
単純なモンなら失敗しねーよ。」
な、と桑原は歯を見せて笑う。
「・・・そうかなぁ。」
「そうだって！」
蔵馬はぐっと拳を握り締めた。
「まああれだ。信じろ！」
「・・・大丈夫？本当に？」
「大丈夫！大丈夫！」
頑張れオレ。ファイト！と自己暗示をかけながら
家路についた蔵馬を桑原は手を振り見送った。
柄ではないがいつも家事を担当している姉と雪菜に
(黄泉の真似ではないけれど)労りの意味もこめて
今日はオレが全額払うから好きなモン食いに行こうと
メールを打ちながら。
2日後。
桑原のスマホにメールが一通。
差出人は飛影。
『貴様のせいで蔵馬が倒れた٩(๑`^´๑)۶
首を洗って待っていろ。消し屑にしてやる(๑•̀ㅂ•́)و✧』
「・・・・・・駄目だったか・・・」
悪いことしたなと思うし、心配だが。
「飛影おめー・・・」
絵文字選択すんなやと桑原は空を見上げた。
〜母の日なので。
蔵馬さんが黄泉様んちで御飯作る理由が↑です。
『パパの料理ゲロマズ★』だからです。
見た目少し悪いのに味が壊滅的な料理はあれです。
本気で殺人兵器です。魔界産の食材などは下処理きちんと
しないとだめなのにね(勝手設定)。
じゃがいもの芽はちゃんと取ろうかM姉。
道行く人々も笑顔を浮かべ楽しそうだ。
着ている服も皆薄着になり足取りも軽い。
皿屋敷駅前に二年程前に出店した海外資本の
コーヒーショップのテラス席。
最近あちーなあ、等と考えながらその前を通り過ぎかけた
桑原和真は足を止めた。
キャッキャッウフフとリア充達がデートの待ち合わせに
使うそこである一区画だけ雰囲気が違う。
爽やかな初夏、と言うより地球滅亡の日みたいな
明らかにおかしな雰囲気を纏ってそこに座るのは。
「蔵馬？」
緩慢な動作で顔を上げた彼の人は。
なんと言うかこう、儚げで消え入りそうなこいつはオレが
守らないと！と言う気にさせられるくらいの空気を漂わせている。
「・・・何かあったか？お前？」
頭を振りながら蔵馬のテーブルに近づく。
「・・・あったと言うより『ある』なんですよね・・・」
はあ、とため息混じりに出た声までも普段より儚い。
「なんか失敗したんか？」
ありえないと思いながらも聞く。
「・・・失敗？
ある意味じゃそうかも。」
ここまで落ち込む失敗ってのは一体何だろうと桑原は思う。
人類滅亡・・・？！は行き過ぎとしても、だ。
「選択の失敗かなあ・・・」
「は？」
「桑原くん今日何の日か解ります？」
「今日・・・？日曜・・・てのは関係ねーよな・・・」
考えながら視線を動かせば駅前のショッピングモールの電光掲示板に
流れる文字。
「母の日か？」
「そう。」
「カーチャンに変なモンやっちまったとか？」
「そんな失態しませんよ。」
じゃないとすると。
母の日で蔵馬に関係するモノといえば。
「修羅か？」
「の父親。」
「黄泉？何でだ？」
「『母の日』を勝手に曲解して覚えやがりまして。」
「・・・あー」
思い込み激しそうだもんなあのヒト。と桑原は肯く。
「今日はお前を労ろうとか宣いまして。」
「おう。」
「・・・今日の夕飯はオレ達が作る等と。」
「・・・言葉だけ聞きゃいい旦那なんだけどなあ。」
母の日だから夕食は自分が作ろう。そこだけ聞けば良い話だが
「・・・・・・下手なんだよな。」
こくん。と蔵馬が肯く。
黄泉は家事一切が壊滅的に下手だ。
離婚されるレベルに。
どうしたらそう言う失敗が出来るのか論文にしたいとまで
言われるほど家事が出来ない。
特に駄目なのが料理。
不味い不味くないを通り越し食材全てが暗黒物質へと進化する
見た目は少し焦げた程度なのがタチが悪く初めて口にした時
蔵馬は倒れた。(ついでに修羅も)
2日間意識不明ののち病院で目を覚ました時蔵馬は決心した。
オレが生きている限り修羅に黄泉の料理はもう二度と食わせないと。
「・・・・・・キツいなあ。」
「本人は食べても平気な所がまたタチ悪くて・・・」
「・・・家に帰ったら殺人兵器が待ってんだな。」
「桑原くん。それ笑えない・・・」
力なく笑う蔵馬は儚げで美しいが。
(・・・旦那の不味い飯食いたくないってのがなんかなあ・・・)
「でも、もしかしたらよ。
食える不味さになってるかもしれないぜ？」
「そうかな・・・」
「それによ。『達』ってこたぁ助手がいんだろ？
修羅か？」
「うん。」
「じゃ、安心出来んべ？
アイツまだ5歳なのに米研げて料理の下拵えお前と
一緒にやるんだろ？」
「・・・5歳ならそれぐらい普通に出来るんじゃ」
「いやいやなかなかいねーって」
ん？と一瞬蔵馬は首を傾げた。
「兎に角子供と一緒に作んなら簡単なモンだろ。
単純なモンなら失敗しねーよ。」
な、と桑原は歯を見せて笑う。
「・・・そうかなぁ。」
「そうだって！」
蔵馬はぐっと拳を握り締めた。
「まああれだ。信じろ！」
「・・・大丈夫？本当に？」
「大丈夫！大丈夫！」
頑張れオレ。ファイト！と自己暗示をかけながら
家路についた蔵馬を桑原は手を振り見送った。
柄ではないがいつも家事を担当している姉と雪菜に
(黄泉の真似ではないけれど)労りの意味もこめて
今日はオレが全額払うから好きなモン食いに行こうと
メールを打ちながら。
2日後。
桑原のスマホにメールが一通。
差出人は飛影。
『貴様のせいで蔵馬が倒れた٩(๑`^´๑)۶
首を洗って待っていろ。消し屑にしてやる(๑•̀ㅂ•́)و✧』
「・・・・・・駄目だったか・・・」
悪いことしたなと思うし、心配だが。
「飛影おめー・・・」
絵文字選択すんなやと桑原は空を見上げた。
〜母の日なので。
蔵馬さんが黄泉様んちで御飯作る理由が↑です。
『パパの料理ゲロマズ★』だからです。
見た目少し悪いのに味が壊滅的な料理はあれです。
本気で殺人兵器です。魔界産の食材などは下処理きちんと
しないとだめなのにね(勝手設定)。
じゃがいもの芽はちゃんと取ろうかM姉。
