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筆の足跡

日々の出来事と趣味のお絵描きの記録です。

中村明日美子「ダブルミンツ」

2009年08月15日 | 本・漫画・音楽

中村明日美子「ダブルミンツ」

この話しになんてコメントしていいのか……考えています。

とりあえず、BL界の懐の広さに感謝。
これほどマイナーで暗くて重いお話を
商業誌に載せちゃうことができるBLを取り巻く世界に限りなく愛を感じます。

エロというよりグロかったです。
面白いか面白くないかという以前に
微妙に受け入れられなかったっていうのが本音です。
つまり趣味趣向、もしくはエログロへのキャパシティーの大きさの問題だと思っております。
けっしてつまらないお話ではありません。
そこらへんの「エッチして終わり」だけのBL漫画と一緒にしてほしくない作品です。

お話は同姓同名の「みつお」と「ミツオ」の愛憎物語、
というと単純ですが、もっと複雑で深いです。
”飼い主と犬”または”SとM”という表面的な関係を隠れ蓑に、
この2人はもっと深いところで繋がれているのだと思います。
理屈ではないお互いの必要性を本能で求め溺れているのだと。
ふたりの男が人生を踏み外し堕ちていくお話です。
だから当然暗い。
最後なんてお船に乗って海外逃亡ですからね。
大陸目指すって君たちは「李歐」か!?←わかる人にはわかる(高村薫著「李歐」です)
とりあえずたどり着いた大陸でふたり仲良く暮らしているようで、
これはハッピーエンドということなのでしょうか。

相変わらず中村さんの美しい描線にため息が出ます。
ひとコマひとコマが完成されたイラストのように美しい!
独特の線が織りなすモノクロームの世界なのです。
その美しい絵でグロを描かれるとどうなるかというと、
相乗効果でよりおそろしくグロい現象になるわけでして……。

「同級生」のさわやかさしか知らないわたしには、ちょっとショックでした。
どっちがホントの「中村明日美子」なんだって。
そこで「曲がり角のボクら」を買ってみたのですが、
ますますわからなくなるはめに。
だって「曲がり角」は普通に(いや、あまり普通じゃないけど)少女漫画だったんだもん。
やはり代表作ともいえるらしい「Jの総て」を読んでみるべきなのでしょうか?
マリリンモンローになりたかったJ少年の話し……。
もうそれだけで普通じゃないって。
ぜったい加虐シーンでてきそうだわぁ~。

そうそう、中村さんの絵は制服を着た少年がよく似合う、とあらためて認識。
あれです、あれです、「トーマの心臓」とか「風と木の詩」とかの世界。←古っ!
寄宿舎もの描かせたらぜったい似合うと思います!
そういう意味では「Jの総て」は寄宿舎舞台ですし、はやり読むしかないかな~。

最後に同時収録の「温室の果実」はよかったです!
暖かいお話です。
救われました。ほっ。