学校法人「森友学園」をめぐる一連の問題で、23日に国会の証人喚問に臨んだ籠池(かごいけ)泰典氏は、安倍昭恵首相夫人や何人もの議員の名前を挙げ「政治的関与はあった」と百八十度の“変節”を見せた。「ないですよ。何回も言っているじゃないですか。ない、ないですよ」。記者会見で政治家への口利き依頼をただされ、いらだちもあらわに否定したのは、わずか2週間前。過去の発言との食い違いは政治家との関係だけに限らず、証言の信憑(しんぴょう)性が今後の焦点になる。

 「民間人の(国会)招致はロッキード事件のときくらいじゃないですか。このことがロッキード事件と同じですか」

 小学校設置認可の申請を取り下げた10日の会見。籠池氏は「1日国会を開くと2億円かかるらしい。浪費があったんじゃないか」と問題追及に熱心な野党を揶揄(やゆ)し、国会招致にも「応じない」と断言していた。

 ただ、証人喚問に臨んだ籠池氏は「トカゲの尻尾切りではなく真相究明を」「何か不可思議な力が動いている」と、自身の周囲で“一大疑獄”があったと言わんばかりだった。

「安倍晋三記念小学校」

 証人喚問の前後で、籠池氏の回答がもっとも変遷したのが「安倍晋三記念小学校」という名称での寄付金集めだ。

 この名称が国会で取り上げられた2月中旬、籠池氏は取材に「昭恵夫人から了解を得たので(安倍晋三記念小学校という)振込用紙をつくった。そのときは国会議員だったが(平成24年12月に2度目の)首相になられたのでお断りいただいた」としていた。

 証人喚問でも基本的にはこの説明を維持し、この名称で寄付を募ったのは「ほんの一瞬」と強調していたが、その後の日本外国特派員協会の会見では「記憶に混乱があった。訂正する」と一転。振込用紙を印刷したのが26年3月だったと訂正した。

元顧問弁護士への言及 

 運営する塚本幼稚園のホームページ(HP)には、昭和天皇が来園されたとの記述もあった。籠池氏は「ご皇室の方との対面、これもほんまもん」と強調していたが、喚問で追及されると「ご皇室の方がおいでになったことはない。(HPの記載は)私自身が指示したことは決してない」と答えた。

 国会答弁では今月半ばに代理人を辞任した元顧問弁護士への言及も目立った。「小学校の認可申請を取り下げたのは顧問弁護士の指示だった。しかしその後、私だけを悪者にするような政府要人や大阪府知事の反応をみて、おかしいと気づき始めた」

 ただ10日の会見では「(取り下げは)私が考えた」と明言。開校予定の小学校に入学を希望していた子供たちの進路を考え、「このまま行くと、将来ある子供さんの身に重大な影響を及ぼすし、保護者の方に対しても重大な影響を及ぼすので、結論を出した」と神妙に語っていた。

食い違う雑誌対談

 また、籠池氏は2年前に出版された雑誌の対談の中で、「安倍総理には当園(塚本幼稚園)に足を運んでいただいたこともあり」などと発言していたが、証人喚問や記者会見では、「総理が訪問されたと話したことはない。その雑誌が間違っている」と否定している。

 一方、この雑誌を発行した出版社によると、記事が掲載される前に籠池氏本人に記事内容の確認を求めたところ、この部分について修正を求めることはなかったといい、両者の認識は食い違っている。

 ただ出版社側も、取材時の音声データやメモなどはすでに破棄などしているという。


籠池氏の言動がコロコロ変わっているのは、たぶん誰もが気付いていると思うんだけどなぁ。