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聖教新聞 (2018/11/11) 〈健康〉 睡眠時無呼吸症候群(SAS)

2019年03月27日 21時49分56秒 | コラム・ルポ

〈健康〉 睡眠時無呼吸症候群(SAS)

2018年11月11日 聖教新聞

潜在的な患者数は200万人とも
他の疾患のリスク要因にもなる
 
 
 

 不眠や睡眠不足は、日々の生活にさまざまな影響を及ぼします。今回は、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」について、久留米大学副学長を務める内村直尚医学部長に聞きました。

女性は閉経後に発症数が増える

 「睡眠時無呼吸症候群」は、睡眠中に何度も呼吸が止まった状態(無呼吸)となる疾患です。

 ここでいう無呼吸とは、10秒以上続けて止まる状態のことで、1時間に5回以上、あるいは7時間の睡眠で30回以上ある場合を「睡眠時無呼吸症候群」としています。
 睡眠時無呼吸があると、しっかりと睡眠をとっているようでも、熟睡できず、日中に我慢できないような眠気を感じます。疲労感に加え、集中力も低下し、交通事故も起こしやすくなります。仕事や勉強もはかどらず、生活の質(QOL)は大きく低下してしまいます。
 日本では、人口の4~5%に睡眠時無呼吸があるとされており、潜在的な患者数は200万人ともいわれています。
 高齢になるほど発症率は高くなり、男性に多く見られます。これは、女性ホルモンに、筋肉の緊張を高める作用や呼吸中枢を刺激する作用があることと関係していると思われます。
 従って、女性は女性ホルモンの分泌が減る閉経後の発症者数が多くなっています。
 仕組みの違いによって、「閉塞性睡眠時無呼吸」と「中枢性睡眠時無呼吸」の二つのタイプがありますが、今回は大半を占める「閉塞性」を中心に解説をします。

肥満で気道が狭くなるのが主な原因

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群の主な原因は肥満です。

 よく美食家のことを「舌が肥える」といいますが、実際に舌の体積と体重には相関関係があり、太った人は、舌も厚くなっているのです。
 つまり、肥満の人は、喉の周りや舌の根元に脂肪が付くことで、気道が狭くなり、無呼吸が起こりやすいのです。
 一方で、睡眠時無呼吸の3~4割の方は肥満を認めません。その場合の原因として考えられるのは、下顎が小さいことです。戦前と比較すると、咀嚼回数や食事時間が半分以下になった結果、現代では、かつてと比較し顎が発達しなくなっているのです。
 見た目にはスッとした輪郭で美しいかもしれませんが、睡眠時無呼吸になる可能性は高くなったといえます。
 その他、加齢による筋力の低下、鼻中隔彎曲症、あるいはアレルギー性鼻炎による口呼吸も、睡眠時無呼吸の要因となります。
 加えて、アルコールの多量摂取やある種の睡眠薬も筋肉を弛緩させますので、睡眠時無呼吸を悪化させます。連日の飲酒は控えた方がよいでしょう。
 また、子どもの場合、扁桃肥大やアデノイド肥大など、他の疾患に伴って発症することが多くあります。そうした場合は、その疾患に対する治療を行うことで、睡眠時無呼吸は解消できます。

いびきがひどければ簡易検査を

 睡眠時無呼吸がある方は、気道が狭くなっているので、ほとんどの場合、睡眠中にいびきをかきます。一緒に暮らしている人がいれば、指摘をされて分かりますが、1人暮らしの方は、最近は、スマートフォンなどで睡眠時のいびきを録音できるようになっていますので、日中に眠気が強い場合は録音してみてください。ひどいいびきがあった場合は、一度簡易検査を受けてみるとよいでしょう。スクリーニング検査として一般的に、パルスオキシメーターを使います。この機器は、指を挟むだけでよく、自宅でも測定できます。

 この検査で、動脈内の酸素飽和度を調べます。通常は96~99%が標準値とされていますが、睡眠時無呼吸症候群では90%を切っており、ひどい場合は70%近くまで下がっていることもあります。この数値は、起きている時であれば、意識を失ってしまうような値です。
 パルスオキシメーターによる結果で睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、病院での睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)を行います、PSG検査では、脳波や心電図、眼球運動、筋電図、いびきや動脈血酸素飽和度などを、一晩眠って測定する検査です。
 そのほか、レントゲンで気道の狭窄状態を確認したり、鼻腔通気度検査などで鼻の通り具合を確認します。

「CPAP療法」が非常に有効

 中等症以上の治療法は「CPAP療法」が非常に有効です。これは鼻に装着したマスクから気道へと空気を送り、気道を閉塞させないようにさせるものです。装置の大きさは、かつてと比較すると非常にコンパクトになり、旅行先などにも持っていくこともできます。

 定期的に診療を受けていれば、保険適用となります。ほとんどの場合、医療機関からレンタルして使用するので、故障や新たな機種への入れ替えなども対応してくれます。
 この療法を行った人の多くは、睡眠の質が大きく改善することを実感するとともに、日中の眠気からも開放され、快適な生活を送ることができます。
 軽症であれば、マウスピースを使用します。下顎を前に出し、4ミリ程度、気道を広げることで閉塞を解消する方法です。一般的に、体重減少で1ミリ気道を広げるためには、5キロの減量が必要だといわれています。従って4ミリであれば20キロの減量ということになりますので、マウスピースの効果も非常に大きいと思います。ただし、医科の紹介(指示)で歯科を受診し、マウスピースを作成する必要があります。受診は近くの病院の耳鼻科や呼吸器内科となります。また、近年は睡眠外来やいびき外来などを掲げている医療機関も増えています。
 ◇ 
 長い人だと、1回に1分30秒近くも睡眠時に呼吸が止まることがあります。結果、脳内に酸素が足りなくなり、体に大きな負担がかかるのです。従って、睡眠時無呼吸症候群では、休もうと思って眠れば眠るほど、体を痛め付けているのと同じことになります。
 睡眠時無呼吸症候群では、体内循環が悪くなることで夜間頻尿にもなりやすいのに加え、交感神経が活発に働くことで体が休めず、高血圧や不整脈、糖尿病、高脂血症、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを高めるとされています。
 また、近年の研究では、うつ病や認知症の原因にもなると考えられています。眠気は、交通事故など他の人に重大な影響を及ぼす危険もあります。
 人生の約4分の1は睡眠時間です。十分な休息を取るための、睡眠時間を大切にすることは、起きている時間を有効に使えるようにすることはもちろん、免疫力を上げて病気になりにくくなります。結果として、将来の健康寿命を延ばすことにもつながるのです。


かかりつけの歯科医に相談してみたけど、マウスピースを作るのに5万円(!)もかかるんじゃ…ねぇ。

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