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聖教新聞 (2018/10/31) 〈介護〉 親の介護に備える

2019年03月03日 21時15分29秒 | コラム・ルポ

〈介護〉 親の介護に備える

2018年10月31日

まずは「知ること」から
淑徳大学総合福祉学部教授 結城康博さん
 
 
 

 突然始まることがある“親の介護”。初めての介護に、右往左往する子どもは少なくありません。テレビ等で介護分野のコメンテーターとして活躍する淑徳大学教授の結城康博さんに、介護が始まる前から知っておきたいことを聞きました。(写真は本人提供)

想定外が4割

 親の介護を考え始めるのは子どもが何歳ぐらいからでしょうか。祖父母の介護を見てきた人は20代で考え始める人もいますが、多くは40、50代だと思います。子どもが50代なら親は80代前後で、実際に介護が必要な場合も。従って40代になったら、親の介護を考えた方がいいでしょう。

 では、何から備えるのか。私はまず「介護について知ること」を勧めています。いい介護サービスを受けられるかどうかは、得ている情報次第で決まります。何も知らずに介護に臨むと、余計な負担を背負い、心身の健康を害することになりかねません。
 「介護は突然やってくる」といわれますが、ある調査によると、要介護の家族がいる人の約4割が「介護は想定外だった」と。80歳を過ぎても元気な親がある日、脳卒中で倒れ、急に要介護状態になるケースはよくあります。
 また厚生労働省によると、要介護になった原因の第1位は一昨年から認知症ですが、特に親と別居で年に1、2回しか会わない子どもには、その発症に気付きにくいもの。1年ぶりに帰省したら実家がゴミだらけで、1人暮らしの親が認知症だったという事例は少なくありません。
 いずれも病気や状態によりますが、長く入院できるとは限らず、短いと3週間弱で退院を促されます。次に、在宅介護か施設介護かを選びますが、一般的に「特別養護老人ホーム」は人気が高く、入所できるまでの平均期間は今、1年3カ月ほど。地域によって異なるものの、希望しても1年以上は在宅介護を頑張らねばならないでしょう。

介護者の味方

 漠然と「介護保険があるから、なんとかなるだろう」という考えは要注意。医療保険とは違い、介護保険でサービスを使うには、まず「要介護認定」の手続きが必要です。

 本人の状態を判定するもので、要介護や要支援の認定が終わるまで、およそ1カ月。ヘルパーや施設を介護保険で自己負担が少なく利用できるのは、それからです。
 ただしヘルパーには、頼めることと頼めないことがあるのも覚えておいてください。例えば「主に家族が使う部屋の掃除」「本人以外(家族)のための調理」などは原則、介護保険のサービス適用外。実際には原則通りにいかないこともありますが、頼む側も“良好な関係”を築くことがいい介護につながる、という点を意識したいものです。
 ともあれ、介護保険のサービスが、介護者の味方になるのは事実。どうすれば使えるのか分からなければ、役所に聞いて近くの「地域包括支援センター」に行きましょう。介護の相談のほか、ケアマネジャー(ケアマネ)が所属する「居宅介護支援事業所」も紹介してくれます。
 ケアマネは、必要なサービス内容を見極め、介護の計画を作り、状況をチェックする専門職。誰がいいのか迷ったら、近所の人の口コミを参考にするのも有効です。
 要介護認定の手続きをケアマネに聞くこともできます。ただし親への認定調査には、なるべく、子どもも同席を。「〇〇できますか」との質問に、普段は介助が必要な親が「できる」と答えてしまい、実態に合った認定結果が出ないことがあるからです。

元気なうちに

 在宅介護では、主な介護者が嫁や娘になるケースが多々あります。嫁が姑を介護する苦労は想像に難くありませんが、娘が母を介護する場合も円満にいくとは限りません。

 娘には、昔の母親像と現状の差が激しく、気持ちが整理できないことも。夫と暮らす家に母を連れてくると、夫にも愚痴を言えず、一人でストレスを抱え込みがちです。
 一方、男性の介護者には、介護で初めて家事を経験したという人も多く、日常生活の実務でつまずきがち。仕事のように完璧を求めて手抜きをしないことで、疲れ果てる人も少なくありません。
 これまで、介護サービスを上手に使って在宅介護を続ける“鍵”は、ケアマネにあるといわれてきました。でも、病院でなく自宅で「医療的ケア」を受ける人が増えた今、訪問看護師の質も重要です。よいケアマネ選びに加えて、良心的な訪問看護師を探しておくといいでしょう。
 また、家族介護者らが集う“介護者の会”で悩みを話し合うことも大切。仲間意識が自身の励みになるものです。
 そして何より、最良の備えは、親が元気なうちに“家族会議”で介護の在り方を相談すること。親の気持ちが変わることもありますが、悔いのない介護にする大事な第一歩なのです。

 ゆうき・やすひろ 1969年、栃木県生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒業後、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。94年から2007年まで地方自治体で介護職、ケアマネジャー、地域包括支援センター職員として従事。社会福祉士、介護福祉士などの資格を持つ。著書に『日本の介護システム』(岩波書店)など多数。


今は義父も元気になったけど、倒れた時には大変だったもんねぇ。

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