『運命じゃない人』 ☆☆☆☆☆

満点です。
満点の映画ってちょっと個人的趣味が入ってしまうもので一般受け
するかどうかわからないですが、かなり好きです。
今年邦画ナンバー１になりました。お金をかけてない手作り感があ
る映画が好きなんですよね。そして作り手側が楽しく作ってるのが
こっちにも伝わってくるような映画が一番好きなんです。年に数本
そういうのがあるんですよね。

以前今年のカンヌ映画祭の記事の時にこのブログでも紹介したこの
映画ですが、予想を上回るおもしろさでした！そりゃ何か賞も獲る
よなーって感じでした。これだから邦画はおもろい！

『運命じゃない人』
監督：内田けんじ
出演： 中村靖日、霧島れいか、山中聡、山下規介、板谷由夏

主人公のサラリーマンの宮田(中村)は、典型的ないい人。結婚前提で
購入したマンションに一人寂しく住んでいた。宮田の友人で探偵をし
ている神田はある夜に偶然レストランである女性に声をかけた。その
女性が彼氏と別れたばかりの真紀。彼の家を飛び出した真紀は行く所
もなく宮田のマンションに泊めてもらうことになった。そしてそのマ
ンションにやくざの金２０００万を持ち逃げした宮田の元彼女あゆみ
が現れた！
この２０００万を巡り彼らの周りで起こるある一夜の出来事。
果たして２０００万の行方は？そして宮田の恋の行方は？？

キャッチコピーは「この日、僕のドアは３回開いた…」

キャッチコピーがかなりキーワードになってます。
ストーリーはそれほど複雑ではないものの一年以上かけたいうよく練
られた脚本に展開の仕方がすばらしい！
主人公は宮田なんだけど同じ時刻に起こってることを５人の目線から
それぞれ描いてるんですよ。一人一人のその日の行動を描いてうまく
リンクしていて笑いを誘う。監督の才能を感じずにはいられない作品
です。最近こういう時系列をいじるというか、同じ時間帯のそれぞれ
の人を描くような演出が多いと思いますが、僕はそういうのが好きら
しい。世の中は主人公を中心に回ってるのではないですからね。それ
ぞれの人が主役でそれぞれの人生を歩んでいる。そこを描くことによ
ってひとつの話をより掘り下げておもしろく、リアルにできる。その
分矛盾が出ないように脚本段階でのチェックは大変でしょうが。この
映画に関してはおかしなところも見受けられず、大満足でした。

内田けんじって人はまたまたまたＰＰＦ出身らしい！ほんと日本映画
の監督はＰＰＦ出身だらけだ。ＰＰＦで企画賞を受賞したのをきっか
けにこの映画をスカラシップ作品として製作。本人もカンヌに持って
いけるとは夢にも思わなかったことでしょう。

ちなみに出演してる人は有名ではない人ばかり。主役の超なで肩な中
村靖日は「恋は五七五」でライバル高のリーダー的存在で俳句を読ん
でいた男。宮田の友人神田役の山中はチョップリンにちょっと似てる
氣がしました（笑）

とにかくちょっとおすすめしたい一本です。名古屋ではシルバー劇場
って単館でレイトショー公開のみですが（おそらく各地でも同じよう
な公開でしょね）是非見るべきだと思います。

こういう映画を作れる邦画界はまだまだ捨てたもんではありません！
邦画をこれからも応援したいと思いましたね。

ちなみにこの映画のジャンルはコメディかな？
一般的にはニッポン的エンターテイメントムービーとか言われてます。

久々の映画レビューでした。。
ちなみにトップの画像は僕ではないですよ（笑）主人公のなで肩くんです。