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しーさるの鉄日記

黒部立山アルペンルート(ケーブルカー、遊覧船、トロリーバス)


黒部ケーブルカーで1828mの黒部平から5分で1455mの黒部湖まで降りることになる。先述した通り立山ケーブルより少しきつい勾配で下に降りるが、地下なので余計きつく感じてしまう。高低差は373mと先ほど乗った立山ケーブルの502mより小さい。ただ距離は、立山ケーブルの1.3kmに対し、0.8kmと短いので、勾配は立山ケーブルより少しきつい。アルペンルートの他の交通の車両は更新されて三代目くらいになっているが、立山ケーブルだけ1969年の開業の時からの車両を55年も使っている。

ケーブルカーの黒部湖駅は頭端式の地下駅、黒部ダムからはトンネルの途中で入口専用と出口専用に分岐している。入口専用のトンネルの途中には、待合室と改札がある。トンネルに入ると入口の方への案内看板があるから、出口の方から誤って入る可能性は低いけど、誤って入った場合は駅員が入口に誘導するのだろう。ケーブルカーを降りた客は出口の方へ誘導されるので、間違えることはない。出口専用トンネルからT字状にトンネルが交差し、入口専用の待合室の前を横切る。このトンネルを出て5分くらい歩くと、遊覧船ガルベのきっぷ売り場を兼ねたお土産物屋がある。近くのカンパ谷吊り橋 からは遊歩道が整備され、10分ほど歩くとロッジくろよんがある。このロッジくろよんは、先述の黒部平駅から登山道を30分降りても行くことができる。

遊覧船ガルベのきっぷを売り場で購入後、113段の階段を降りた先の船着き場から14時発の遊覧船に乗った。ケーブルカーが着いてから10数分だから、少しギリギリになった。今回乗船する遊覧船ガルベだが、このシーズンをもって廃止になるから、葬式船という形になった。団体客が乗らないから利用が少ないのだろう。個人から数人のグループ中心で、座席は半分しか埋まってなかったかならな。ガルベ廃止の要因は船体の老朽化によって部品が調達しにくくなったというのもある。1969年運航開始の黒部丸を引き継ぐ形で、2000年から運航開始となったガルベだったが、30年航行した黒部丸に及ばず、引退することになった。観光遊覧船は黒部ダムの逆側を見た後、黒部川の6キロ上流まで進む。黒部湖の真ん中から見る立山や大観峰駅は遊歩道を含めた通常のルートからは見ることはできない。代替の黒部湖の船があればいいのだけど、箱根湖の船のような団体も乗せられる大きな船でないと厳しいのではないかと思う。ちなみに、ガルベという船名は、アイヌ語で魔の川を意味するガルッペに由来している。

ガルベは14時30分過ぎに船着き場に到着、階段を上がって、ダムの上にいる時はバスの発車まで20分を切っていた。そのため、ダムを見た時間は短かった。放水してないダムは貴重かもしれない。

電気バスの黒部ダム駅は、ダムのレストハウス近くからトンネルに入り、100m近くの緩い上り坂を上がり、さらに階段を上がったところにある。待合室と改札は当然地下だが、ケーブルカーの黒部湖駅に比べると明るい。改札口と出口は分離され、出口が進行方向前側、改札口が進行方向後側にある。バスが到着したときは改札口の扉が閉ざされ、降りた客は出口の方から左側の改札口のコンコースへ抜けることになる、出口付近から右方向へは階段があり、220段も登っていくと標高1508mのダム展望台に出ることができる。先ほどガルベの船着き場から113段の階段を登ったばかりなので、そこを登る気力はなかった。ホームの進行方向前側は右カーブで曲がっている。その先に登山者出口があり、日電歩道へ抜けることができる。

電気バスが走行する関電トンネルは1958年に開通、全長は5.4キロで、1975年に中央道の恵那山トンネルが貫通するまでは日本最長だった。黒部ダム完成の翌年の1964年にはトロリーバスの営業を開始した。営業を開始した1960年頃は東京、大阪など都市部にもトロリーバスが走行していたが、1970年前後に全て廃止となり、横浜市営トロリーバスが廃止となった1972年以降は国内唯一のトロリーバスとなっていた。ところが1996年に立山トンネルがディーゼルバスからトロリーバスへ置き換えになり、アルペンルートはトロリーバス2か所になった。開通当初の100形に加え、1969年に中央扉オールロングシートの200形が投入されたが、1993年にインバーター制御の300形で置き換えた。その300形も老朽化、環境面とコストを考慮して、2019年から電気バスに置き換えた。電気バスは、他のものと違い、トロリーバスと同じくパンタグラフを搭載、扇沢ではこのパンダグラフを使って、黒部ダムまでの往復に使う電気を10分で急速充電する。リチウムバッテリーの容量は52.8kWh、電気自動車と変わらず、電気バスの1/5程度だ。往復するたびに充電するのだから、これで十分なのかもしれない。来年から走り出す立山トンネルの電気バスもパンダグラフで充電するのだろうか。どっちみち、技術の進化で通常の充電方法で急速充電できるようになったら、パンダグラフ付きの電気バスは置き換えになるだろう。

黒部ダム発15時05分の電気バスに乗車、16分かけて扇沢へ向かう。平均速度は23km/hだから30km/h以下の速度で走行していることになる。急勾配を上がり、しばらく走ると信号所があり、黒部ダム行のバスと交換する。そして少し走ると、
富山県から長野県に入る。10度の下り勾配とカーブでトンネルの外に出ると、9度の坂を一気に下る形になる。トンネル内は平均10度の勾配となっているが、黒部ダム駅付近で上がって、トンネル出口で下がるため、トンネル出口付近の標高は1475mと黒部ダム駅と変わらない。トンネル出口から扇沢駅までは数百mだが、40mほど降りることになる。扇沢駅は標高1433m、電気バスはロータリーの校舎ホームで客を下した後、移動して充電、そのあと乗車ホームで客を乗せるという形で折り返す。扇沢駅は3階建て、1階は信濃大町への路線バス、長野方面への特急バスの乗り場がある。その手前の横断歩道付近にはバス降り場があり、富山方面へのきっぷ売り場、そして2階コンコースへの階段がある。横断歩道を渡って、階段を降りると、一般車の350台の有料駐車場があり、1000円で12時間まで駐車できる。2階はコンコースと改札、お土産物屋、レストランがあり、改札からは2か所の階段で乗車ホームに上がることができる。降車ホームからの階段は土産物屋、レストランの入り口の前を通って、1階のバス乗り場付近に降りるようになっている。3階は電気バスのホームの他に屋上展望台がある。3階といっても、トンネル側から降りてくると地平となるので、扇沢駅を電気バスが上り下りすることはない。降り場はホーム側だけ上屋があるが、乗り場は車庫と一体化した建物の中にあり、軌道まで上屋に入っている。乗り換え時間に余裕があったので、トロバス記念館へ、1階には先述したトロリーバスの300形が引退時の装飾で展示してあった。

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