アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

TIFF:DAY6

2012-10-25 | アジア映画全般

6日目の今日は、東アジア映画の日でした。いつもはプレス試写(正確にはID試写。パスを持っている人が自分のIDを使って申し込めるもので、たいていはTOHOシネマズ1F奥にあるアート・スクリーンが使われる)で見せていただくのですが、今日は1本どうしても一般上映で見たくて、チケットをいただきました。今日見たのは次の3本+DVD1本です。

「アジアの風」

■アジア中東パノラマ
『恋の紫煙2』 (春嬌與志明/Love in The Buff)
 2012/広東語/香港=中国
 監督:彭浩翔(パン・ホーチョン)/主演:楊千[女華](ミリアム・ヨン)、余文樂(ショーン・ユー)

3月の香港国際映画祭で見たので、その時にも紹介したのですが、第1話で同棲生活を始めた春嬌と志明のその後の物語です。再度日本語字幕で見てよく意味がわかり、ありがたかった(maikoさんのお上手な字幕でした)のですが、やっぱり「一次就[多句][口勒](一度で十分だったな)」というのが正直な感想。香港で見た時は観客が爆笑に次ぐ爆笑だったので、それに乗せられてよけいに楽しかった、というのもあったのかも。悪くはないんですが、パン・ホーチョンの毒がもっと出ている作品の方が私は好きですねー。

『老人ホームを飛び出して』 (飛越老人院/Full Circle)
 2012/北京語/中国
 監督:張揚(チャン・ヤン)/主演:許還山(シュイ・ホァンシャン)、呉天明(ウー・ティエンミン)、顔丙燕(イエン・ビンイエン)

これが一般上映で見た作品なのですが、ホールはほぼ満員。皆さん、評判を知ってらっしゃるのですねー。お久しぶりです~、という顔見知りの方々にも会ったりして、リラックスできる会場でした。

お話は、ある老人ホームに暮らす老人たちが、日本のテレビ番組「仮装大賞」を模した番組に出ようといろいろ知恵を絞る、というストーリーです。リーダーのチョウさん(呉天明)はいつも明るく前向きなのですが、一人娘が日本に行ってしまって音信不通となってもう8年。そんな寂しさをまったく感じさせず、みんなを引っ張っていきます。そのチョウさんを頼ってホームにやってきたグォさん(許還山)は、息子や孫との軋轢を抱えている身。そのほか、認知症の人や車椅子の人、お酒に頼る人などいろんな老人たちがいます。院長(顔丙燕)始め家族全員が反対する中、チョウさんの策略が功を奏し、みんなはおんぼろバスに乗って番組収録が行われる天津へと出発することができたのですが...。

最近よくテーマになる老人問題を描いていても、張揚監督作品は人情味あふれる作りで、ついつい目頭が熱くなってしまいます。映画後半では会場から鼻をすする音が盛んに聞こえるようになり、終了時は満場の拍手。私も、エンディング・クレジットで出演者たちが映り、そこに書き込まれた年齢を見ているとウルウルしてしまいました。最初はしょぼくれた老人にしか見えなかった人も、ラストでは輝くような顔になっているという、達者な老役者の皆さんが出演しています。そのほか、カメオ出演で陳坤(チェン・クン)や斯琴高娃(スーチン・ガオワー)といった大物俳優が顔を出し、観客の目を楽しませてくれました。うまいですねー、張揚監督。

『パーフェクト・ゲーム』 (Perfect Game)
 2011/韓国語/韓国
 監督:パク・ヒゴン/主演:チョ・スンウ、ヤン・ドングン

昨日は半分しか見られなかったので、今日は後半をDVDで見ました。昨日「1時間ほどでスタックした~(涙)」と事務局の方に言ったら、今日はきちんと見られるDVDを用意して下さっていたのです。昨日のブログに「結構通俗的な作りで、満足度は低い感じです」と書いたことからもわかるように、全然期待していず、「消化試合」的感覚で見たのですが、ところがどっこい、予想に反してラストですっかり泣かされる羽目になりました。わ~ん、昨日は失礼なこと書いてゴメンナサイ!

上映時間は2時間7分と長く、その後半1時間がクライマックスの対決試合シーンとなります。ロッテ・ジャイアンツの投手チェ・ドンウォン(崔東原/チョ・スンウ/上写真右)と、ヘテ・タイガースの投手ソン・ドンヨル(宣銅烈/ヤン・ドングン/上写真左)とが、延長15回、4時間56分にわたって投げ抜いたという、1987年5月16日に行われた伝説の試合。それが見事に再現されているのです。

しかも、両投手の投げ合う絵作りがいいのです。スタントやCGも使っているのでしょうが、韓国男子はやっぱ野球少年なんだよねー、と思わせられるチョ・スンウとヤン・ドングンのなり切りぶりが素晴らしいです。通俗的な要素も前半に劣らず入れてあり、なんでそうケンカばっかりするの~、とか、観客のマナーの悪さはどうよっ、とか言いたくなるのですが、それがあるからこそラストの感動がふくらみます。確信犯だったのねー、パク・ヒゴン監督。

野球にはほぼ素人の私が見てもこんなに引き込まれたのですから、野球の好きな方が見れば興奮すること請け合い。それにしても、野球は9回から&映画は最後まで見ないとわからない、ですねー。最近の韓国映画でやたら見かける顔のリュ・スンリョン(『神弓』『高地戦』、このあとに見た下の作品にも出てました)が、崖っぷちのヘテ・タイガース捕手としていい味出してました。日本でも、ぜひ公開してほしい作品です。

『人類滅亡報告書』 (Doomsday Book)
 2012/韓国語/韓国
 監督:キム・ジウン、イム・ビルソン/主演:キム・ガンウ、キム・ギュリ、パク・ヘイル

3つの短編からなるオムニバス映画で、第1話「素晴らしい新世界」(監督:イム・ビルソン/出演:リュ・スンボム)、第2話「天上の被造物」(監督:キム・ジウン/主演:キム・ガンウ、キム・ギュリ/声の出演:パク・ヘイル)、第3話「ハッピー・バースデイ」(監督:イム&キム/出演:ペ・ドゥナ)というSFファンタジー連作です。キム・ジウン監督は好きな監督の1人なのですが、腐った食べ物から人がゾンビと化す第1話の最後あたりから眠気に襲われ、ロボットが宗教界で尊敬を受けるが、製作会社はそれを破壊しようとするという第2話はほぼ爆睡、地球に巨大ビリヤードの玉が激突するという第3話は目覚めていたものの、つまらなくて頭が死んでいました。ID試写で見ていた皆さんもほぼ同じ感想だったようで、エンドクレジットが始まったとたんバタバタと席を立つ人が引きも切らず。どーしたのよ、キム・ジウン監督!

というわけで、ラストが残念ながら...でしたが、その前の『パーフェクト・ゲーム』が補って余りある感動をくれたので、よしとしましょう。私のTIFFは、残るところあと1日です。

 


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