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変身!デーウ・パテール『モンキーマン』②ユニークな脇役たち

2024-08-10 | インド映画

8月ももう10日、あと2週間で『モンキーマン』の初日です。今回は珍しく、コメントを書かせていただいたのですが、本日夜からそれが登場するようです。コメントは下手なので恥ずかしいため、最後にそっとその画像を付けておきます(💦)。で、今日はちょっと、映画『モンキーマン』脇役のインド人俳優についてご紹介しようと思います。まずは、映画のデータからどうぞ。

©Universal Studios. All Rights Reserved.

『モンキーマン』 公式サイト
 2024年/アメリカ・カナダ・シンガポール・インド/英語(一部ヒンディー語)/121分/字幕:風間綾平/原題:MONKEY MAN
   監督:デヴ・パテル
 出演:デヴ・パテル、シャールト・エプリー、ピトバッシュ、ヴィピン・シャルマ、シカンダル・ケール、アディティ・カルクンテ、ショビタ・ドゥリパラ、アシュウィニー・カルセカル、マカランド・デシュパンデ、ジャティン・マリク、ザーキル・フセイン
 配給:パルコ、ユニバーサル映画
8月23日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか、全国公開 

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最初にご紹介するのは、アルフォンソ役のピトバッシュ。1984年生まれの40歳で、上の画像の右側の人物です。身長がデーウ・パテールの肩よりも低い、という小柄な男優ですが、アクの強さはデーウ・パテールをはるかにしのぐワルぶりを発揮。主人公キッドが復讐のため潜り込んだクラブで、女主人クィーニー(アシュウィニー・カルセカル)の手先となって、ヤクの仕入れと分配を引き受けている男です。アルフォンソという有名なマンゴーの品種が名前になっていますが、本名は別にありそう。演じるピトバッシュも、本名はピトバッシュ・トリパーティーと言い、オディシャー州のジャガンナート寺院があるプリーに近いナヤーガルの出身です。コルカタの工学系大学を出た後、プネーの国立映画TV研究所で演技コースを修了、2009年にヒンディー語映画『99』の端役でデビューしました。『きっと、うまくいく』(2009)にも学生役で出ていたそうです。2011年の『Shor in the City(街の騒動)』で事件を起こす3人の若者の1人を演じ、「スクリーン」誌映画賞のコメディアン賞を受賞したりしますが、ヒンディー語映画ではなかなかブレイクせず、以後、外国映画や他言語の映画への出演が目立ちます。『モンキーマン』では、改造したトゥクトゥク(インドではオートリキシャと呼ばれていた三輪タクシーの最近の呼称。タイに行くインド人が増えたせいか、数年前から大都市での呼び名はこちらの方がよく通じるように)を愛車としており、なかなかにいい役で登場。アルフォンソとキッドとの友情も見どころの一つです。

 

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続いては、主人公キッドの仇敵であるラナ警部役のシカンダル・ケール(上写真)をご紹介。「悪の化身」と言っていいワル警官なのですが、背が高く、引き締まった身体と苦み走った顔は、主人公役でも遜色ないほどの押し出しです。この強敵が対峙するからこそ、デーウ・パテール演じるキッドの復讐もリアルさが増そうというもの。そのシカンダル・ケールですが、実はすごい両親を持っているのです。父親はアヌパム・ケール。この人を知らなきゃインド映画ファンとは言えない、というぐらい、いろんな映画で大事な脇役を演じる人で、『ホテル・ムンバイ』(2018)ではデーウ・パテールが演じたボーイの上司、コック長を演じていました。ただ、本当の父親ではなく、母親である女優キラン・ケールが再婚した相手なので継父なのですが、この母親もまた有名な女優なのです。『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』(2007)で、シャー・ルク・カーン演じるオームの母親役をやった人、と言えば、すぐ顔が浮かぶのではと思います。ただし少し前の総選挙までは、BJP(インド人民党)所属の国会議員として、ここ10年ほどは政治活動が中心でした。そんな両親を持っているので、シカンダル・ケールもすぐに主演映画に、と思われたのですが、2008年にデビュー後も目立った作品はなく、テレビドラマとを行ったり来たり。というわけで、本作がブレイクのチャンスだったのですが、インドでの上映は実現しそうになく、ちょっと気の毒ですね。

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ほかには、本作のラスボス役と言っていい新興宗教の教祖バーバー・シャクティを演じるマカランド・デーシュパーンデー(上写真)や、ヒジュラのコミュニティのリーダーであるアルファ役のヴィピン・シャルマーらもベテランスターなのですが、最後にもう一人だけ、どうしてもご紹介しておきたいスターがいます。それが、シータ役のショビタ・ドゥリパラ(下写真)です。

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ショビタ・ドゥリパラ、音引きをちゃんと付けるとショービター・ドゥーリパーラになるのですが、そう聞けば、『PS1:黄金の河』(2022)と『PS2:大いなる船出』(2023)の派手やかなワーナティ役の彼女を思い出した方もいるかと思います。トリシャー演じるクンダヴァイ王女の女友達で将軍の娘、という良家のお嬢さん役だった(しかも最後に、将来ラージャラージャ王となるアルンモリ王子と結ばれるという、チョーいい役!)ので、『モンキーマン』のクラブのホステスは180度転換、といったところ。でも、シータという名前からもわかるように、ラーマ王子の妻シーター姫を二重写しにした役なので、大胆なセックスシーンもどきを演じながらも、清純な面も見せなくてはいけない難しい役でした。主人公キッドの彼女への思いは「秘めた恋」という感じなので直接のラブシーンはないのですが、立派にヒロインとしての貫禄を見せたショビタ・ドゥリパラ、今後も女優としてますます人気が....とか思っていたら、一昨日とんでもない大ニュースが飛び込んできました! 何と彼女、テルグ語映画界の人気男優で、ナーガールジュナ(『ブラフマーストラ』のイケオジの一人)の息子であるナーガ・チャイタニヤと婚約したのです! 「2年間の交際を経て」と書かれていましたが、ナーガ・チャイタニヤが前妻サマンタ・ルス・プラブと4年間の結婚生活を経て離婚したのが2021年なので、その後すぐショビタ・ドゥリパラとのお付き合いが始まった模様です。ちょっとネット記事の写真(下)を無断借用してしまいますが、ホントにお似合いの美男美女。お幸せに、と言うしかないですね。ナーガ・チャイタニヤは日本での公開作はまだありません(映画祭上映作『伝説の女優サーヴィトリ』(2018)ではカメオ出演してたみたいです)が、ラーナー・ダッグバーティーの従弟でもあり、アーミル・カーン主演のヒンディー語映画『Lal Singh Chaddha』(2022)ではいい味出していました。

そんな話題も運んできた『モンキーマン』、ぜひ劇場でご覧下さい。最後にコメント画像を付けておきます。

 


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