アジア映画巡礼

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変身!デーウ・パテール『モンキーマン』①入れたいもの全部ブチ込んだ!!

2024-08-02 | インドを描く映画

俳優デーウ・パテールと言えば、どの作品が浮かぶでしょうか? デビュー作で、彼の名前を一躍有名にした『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)? ムンバイのスラム出身の少年が、「クイズ・ミリオネア」に挑戦し、過去に経験したつらい出来事が生きてくる形で全問正解、恋した女の子とも結ばれる、というストーリーに、ラストシーンはムンバイのチャーチゲート駅で「♬ジャイ・ホ!」と群舞を繰り広げるあの作品は、アカデミー賞をあれこれ受賞したこともあって今でも皆さんのご記憶に残っているのでは、と思います。「いーえ、私はインドに旅した気分になれる、『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(2012)が一番好き!」とおっしゃる方もいらっしゃるかも。2015年には続編も作られましたが、廃業寸前のホテルを切り盛りする、というか、ホテルと客に振り回されているお人好しのホテルのオーナー一族兼スタッフを演じて、ジュディ・デンチや他のベテラン俳優の皆さんに立派に貫禄負けしていましたね。あとは、インド人の天才的数学者を演じた『奇蹟がくれた数式』(2015)に、養子である自分のルーツを探す青年役の『LION/ライオン~25年目のただいま~』(2016)、そしてムンバイでのテロ事件を描く『ホテル・ムンバイ』(2018)では、貧しいシク教徒のレストラン従業員で、テロリストに襲われたタージマハル・ホテルでお客様を守ろうとする役....。他のファンタジーとかコメディを見ていないせいかも知れませんが、どうもけなげな役が多くて、かわいそうなイメージが彼にはつきまっているような...。そのデーウ・パテールが大変身! 「かわいそう」な風情はつきまとうのですが、地下格闘技ではホントは強いのに殴られ役、そして最後は1人で何十人もの敵を倒してしまうという、あの細身がバネに見える活躍ぶり。それがこの映画『モンキーマン』です。

『モンキーマン』 公式サイト
 2024年/アメリカ・カナダ・シンガポール・インド/英語(一部ヒンディー語)/121分/字幕:風間綾平/原題:MONKEY MAN
    監督:デヴ・パテル
 出演:デヴ・パテル、シャールト・エプリー、ピトバッシュ、ヴィピン・シャルマ、シカンダル・ケール、アディティ・カルクンテ、ショビタ・ドゥリパラ、アシュウィニー・カルセカル、マカランド・デシュパンデ、ジャティン・マリク、ザーキル・フセイン
 配給:パルコ、ユニバーサル映画
8月23日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか、全国公開 

実は今日は、二度目の試写を見せていただいたのですが、それと言うのもあるところに紹介を書かねばならなくて、前回も約1ヶ月前に見せていただいて書いたものの、2,3点不安になって、今回再度の試写をお願いしたのでした。やっぱり記憶が間違っていて、順番はこうだったのか、とか、その人はエレベーターに乗っていなかったのか、とか、誤記にならなくてホッとしています。配給会社様、宣伝会社様、ご親切にありがとうございました。

©Universal Studios. All Rights Reserved.

この紹介文を書いていて思ったのは、今回はデーウ・パテールの主演と共に初監督作ということもあって、とにかくやりたいことを全部やっている、ということでした。本作のプレス(試写で配られる資料)が本国資料を完訳してあって非常に詳しく、デーウ・パテールが小さい時からカンフー映画に夢中になっていたこととか、ちょっと大きくなると今度は韓国アクション映画に惹かれて『オールドボーイ』(2003)や『アジョシ』(2010)にどっぷりはまっていたこととかが詳しく書いてあり、そういう記憶を全部ブチ込んだんだなあ、という作品になっているのが『モンキーマン』なのでした。もちろんインド映画も見ていて、「シャー・ルク・カーンが最愛の人を救うために何百人もの悪人と戦う」作品を見たりしたそうですが、それって、どの映画のことなの?  どうもインド映画は、1本1本クリアには憶えていないみたいです(わかる、わかる)。あと、インドネシア映画『ザ・レイド』(2011)も名前が挙がっていましたが、今日は『燃えよドラゴン』(1973)へのオマージュも発見しました。いいなあ、やりたい放題。そういう映画マニアのこだわりが炸裂しているので、何度でも見たくなります。ところで上の画像、下の歌のシーンに似てない??? 『神が結び合わせた2人』(2008)の挿入歌で、シャー・ルク・カーンがパロっている往年のスターは、ラージ・カプール、デーウ・アーナンド、シャンミー・カプール、ラージェーシュ・カンナー、そしてリシ・カプールです。

Phir Milenge Chalte Chalte - Full Song | Rab Ne Bana Di Jodi | Shah Rukh Khan | Sonu Nigam

 

とまあ、こんな風に、初監督作で大暴れのデーウ・パテールですが、これまで演じるのはかわいそうな役ばかり、「同情するなら映画を作らせてくれ!」という感じだったのかも知れません。変身したデーウ・パテール、ぜひ見届けて下さいね。予告編を付けておきます。

【8月23日(金)公開】映画『モンキーマン』60秒予告編

 


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