アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

TIFF:DAY7

2012-10-26 | アジア映画全般

TIFFもいよいよ終わりに近づきました。これまでの例で行くと、昨夜には最優秀アジア映画賞が決まっているはず。私の予想はスリランカ映画『兵士、その後』なんですが、私の予想は当たったためしがありません。皆さんの予想はいかがでしょう?

今日見た映画は2本だけ。DVDで見たイラン映画『ライフライン』と、ID試写で見た中国映画『ホメられないかも』です。

「アジアの風」

■アジア中東パノラマ

『ライフライン』 (Galoogah/Lifeline)
 2011/ペルシア語/イラン
 監督:モハマド・エブラヒム・モアイェリ/主演:ハディ・ディバジ、ラダン・モストウフィ

イラン北部のギャルーガーフという小さな町が舞台となります。この町は、山中に送電線の鉄塔を建てていく仕事を請け負う男たちの町で、チャイハネ(喫茶店)に集まっては仕事のチームが組まれて山へと出発していきます。そんな中に、テヘランから帰郷した主人公エムラン(ハディ・ディバジ)もいました。彼が入ったチームには兄貴株のサマン(カムラン・タフティ/上写真左)がおり、皆を引っ張っていっていました。ところが休暇で町に帰った時エムランは、自分が結婚を申し込もうとしている絨毯織りの娘モルード(ラダン・モストウフィ/上写真右)を、サマンも恋していることを知ってしまいます...。

三角関係を描く作品ですが、それよりも見せ場は山の斜面に鉄塔が見事に建てられていくシーン。クレーン・カメラを使用したのでしょうか、高所の撮影がスリル満点です。全員俳優だと思うのですが、身軽に鉄塔に登り、機材を引き上げ、ボルトで固定していきます。その描写が目新しく、目を奪われました。ただ、三角関係の方はちょっとやりきれないラストで、後味がすっきりしませんでした。

 『ホメられないかも』 (有人賛美聡慧、有人則不/Don't Expect Praises)
 2012/中国語(山西省方言)/中国=韓国
 監督:楊瑾(ヤン・ジン)/主演:(リー・シューチェン)、(ワン・チェン)

 

監督が12歳の時に体験したことが元になっているそうで、小学校を卒業した2人の男の子が経験する村での休暇を描いています。シャオポーはビリから数えた方が早い劣等生。シャオポーの勉強を見てやるようにと先生に言われて、いつもシャオポーと一緒にいるヤン・ジンは一番の成績の優等生。シャオポーは山西省の山中にある炭鉱の村出身で、叔母の家に寄宿して学校に通っていたのですが、休みで帰省することに。ヤン・ジンも、祖母の家がシャオポーの村の近くにあることから、シャオポーの旅にくっついて行きます。そしてシャオポーの家に泊めてもらい、シャオポーの祖母や姉の家に行ったりしているうちに日が経っていき...。

2人の少年がとってもかわいくて、特に劣等生のシャオポーが魅力的です。上写真真ん中の子なのですが、表情にクセがあり、生意気な顔がたまりません。ホラをだいぶまじえた故郷自慢をすると、それがアニメーションで表現されるという、面白い手法が使ってあります。下がアニメになった登場人物&登場動物たちです。

交通手段のない村では、山を越えた所に行くのにもエンエン歩くしかなく、2人は本当によく歩きます。そういう意味では、一種のロードムービーとも言えます。特に盛り上がる事件もない代わり、登場人物がいずれも少々変わっていて、日常の描写ながら異世界に来たような微妙な味わいがあります。夏休みの絵日記を見ている気分にさせられる作品でした。

・・・・・・・・・・・・・・・

映画は2本だけだったのですが、映画と映画の間に『火の道』のカラン・マルホートラー監督にインタビューしました。奥様のエクターさんと一緒で、エクターさんも映画製作に携わっています。2010年に結婚したということなので、まだまだ新婚さん。本当に仲のいいお2人でした。

インタビューはまた来週にでもアップしますが、いろんな秘話も聞けてとっても楽しいインタビューでした。持っていた『火の道』のポスターに、お2人のサインもいただきました! これで一応私のTIFFはおしまい。土・日は「インド通信」の関係で身動き取れず、残念ながらカンボジア映画の旧作2本が見られません。見たかったんだけどなあ....。

 


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2 コメント

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はじめまして (たかすぎ)
2012-10-27 08:58:33
昨日「火の道」と「兵士、その後」を観に行った者です。そ
「火の道」はとても面白く、息もつかせぬ展開で、各ボスの好演、そして何よりラスボス役の方の怪演と主人公のダイハードっぷりにも圧倒されてとても満足感がありました。歌とダンスも話の展開上無理のない箇所に挿入されていて、話の流れも切れにくくスムーズで良かったです。
しかし「兵士、その後」を見たら先に観た火の道の内容がいっとき半分くらい脳内から飛んでしまうほどの出来の良さでした!エンタメではなく社会派の内容ですが、機会があれば皆観て!と言いたいです。震災の痛手が残る今の日本だから、なおさら彼らの生きていこうとする強さが胸に染みたのかもしれません。このスリランカ映画は映画祭での公開だけでは勿体ない、是非機会を改めて一般公開・上映して欲しい一本です。
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たかすぎ様 (cinetama)
2012-10-27 09:41:44
初コメント、ありがとうごさいました。

「火の道」と「兵士、その後」のナイスなご紹介もありがとうごさいます。「兵士、その後」もボス役というか、貧相な貴金属店の店主が裏社会のボスの姿をあらわにしていく所がすごかったですね。一般公開しても十分お客を惹きつけられる作品だと思います。おっしゃる通り、一般公開・上映してほしいですね~。
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