長い長い東京国際映画祭のアジア映画ラインアップに疲れ果てた私ですが、この中にどうしても見たい作品が3本と、すでに見ていて皆さんに見てほしい作品が2本あります。
❣見たい3本❣
①『相撲ディーディー』[アジアの未来部門]
© Reliance Industries Limited, Mumbai 2023. All Rights Reserved
2023/インド/ヒンディー語/原題:Sumo Didi
監督:ジャヤント・ローハトギー [जयंत रोहतगी]
出演:シュリヤム・バグナーニー、チャイタニヤ・シャルマー、ニテーシュ・パーンデー
10/27[FRI] 17:00- / 10/29[SUN] 13:30- -
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実在のモデルがいるそうで、インド唯一の力士、と言っていいのか相撲レスラーというヘータル・ダヴェーヘータル・ダヴェーという女性で、映画ではシュリヤム・バグナーニーが演じています。シュリーヤム・バグナーニーという女優さんは、インスタを見るとちょっとぼっちゃりしているものの、とってもかわいい感じの人なのですが、体重を増やして「相撲ディーディー(姉さん、年上の女性に対する呼び方にも使う)」になり切っています。彼女はこれが映画デビュー作とのことで、その他の出演者にもいわゆるスターはおらず、リアリティを追求した作品と言えそうです。今回唯一のインド映画なので、見逃さないようにして下さいね。監督のジャヤント・ローハトギー(下写真)はCMのディレクターだそうで、本作が劇映画デビュー作のようです。
②『雪豹』[コンペティション部門]
2023/中国/チベット語・中国語/原題:
監督:ペマ・ツェテン [万玛才旦]
出演:ジンバ、ション・ズーチー、ツェテン・タシ
10/26[THU] 21:10- / 10/29[SUN] 18:40- / 10/31[TUE] 10:00- -
本年5月8日に53歳で亡くなったペマ・ツェテン監督の遺作と言っていい作品です。こんな格好いい遺影を残して逝ってしまうなんて、悔やんでも悔やみきれません。『オールド・ドッグ』(2011)や『タルロ』(2015)など、名作をこれからもいっぱい作って下さるはずだったのに。もう1本、『陌生人』という作品も撮っていたようなので、その作品を見るためにも、この『雪豹』が公開されてほしいです。合掌。
③『ムービー・エンペラー』[ガラ・セレクション部門]
©Huanxi Media Group Limited (Shanghai)
2023/中国/中国語/原題:
監督:ニン・ハオ [宁浩]
出演:アンディ・ラウ、ニン・ハオ、パル・シン
10/25[WED] 15:40- / 10/30[MON] 21:00- -11/01[WED] 18:40- -
©Huanxi Media Group Limited (Shanghai)
アンディ・ラウとニン・ハオ監督が手を組む??? 『桃姐~桃(タオ)さんのしあわせ』(2012)のご縁がここで結実?? 一体どんな映画になっているのか、興味津々です。多分コメディだと思うのですが、アンディの自虐的演技が光る、なんていう作品にはなってないですよね、寧浩監督?(「わからんぞォ~」と言ってそうなニン・ハオ監督↓)
❣見てほしい2本❣
①『ミス・シャンプー』[ワールド・フォーカス:台湾電影ルネッサンス2023部門]
© Machi Xcelsior Studios All Rights Reserved.
2023/台湾/中国語/原題:請問、還有哪裡需要加強
監督:ギデンズ・コー [九把刀]
出演:ダニエル・ホン、ビビアン・ソン、クー・チェンドン
10/26[THU] 15:30- / 10/28[SAT] 20:50- / 10/31[TUE] 12:55- -
© Machi Xcelsior Studios All Rights Reserved.
つい先日香港で見て、抱腹絶倒した作品。こちらで紹介しています。「日本では公開されないと思うので」と書いてしまったのですが、それでもチラと映画祭上映は頭をよぎり、結末をあいまいな書き方にしておいてよかった(え、ネタバレに入るって? ご覧になるまでは何のこっちゃ?だと思うのでこのままでお許しを)。ま、拙ブログのことなど忘れて、楽しんでご覧下さい。今回付いてきた九把刀監督の顔写真も、思いっきり遊んでいます。何だか、ヤーさんの一員みたいですが、ヘアドライヤー持ってるので、美容室のスタッフにも見えますね。
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香港で見ている時、この映画を鈴木真理子さんの字幕で見てみたいなあ、と何度か思ったのですが、果たして今回は鈴木さんの字幕になっているのでしょうか。でも、他の方の字幕でも全然OK、皆様、ぜひご覧になって下さいね。そうそう、それからどなたかご存じでしたら教えていただきたいのですが、本作の原題「請問、還有哪裡需要加強」は、先ほど引用した拙ブログでは「ほかにかゆい所はございませんか?」というあの美容師さんの問いかけの台湾版のようです、と書いたものの、「加強」が何となく場違いのような気がします。「ほかにもっと痛めつけた方がいい所はございませんか?」という意味で、ヤクザのケンカで使われる言い方なのかなあ、と思ったりしています。このあたり、ご存じの方がいらっしゃいましたら、コメントで教えていただけると嬉しいです。
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②『烈火青春 <4Kレストア版ディレクターズカット>』[ワールド・フォーカス:アジアン・シネラマー香港フォーカス部門]
©Mei Ah Entertainment Group Co., Ltd
1982/香港/広東語/原題:烈火青春
監督:パトリック・タム [譚家明]
出演:レスリー・チャン(張國榮)、パット・ハー(夏文汐)、セシリア・イップ(葉童)、ケネス・トン(湯鎮業)
10/29[SUN] 15:45- -
©Mei Ah Entertainment Group Co., Ltd
今年の4月1日が没後20年だった張國榮(レスリー・チャン)がデビューして5年目、1982年11月26日に香港で封切られた作品です。『嵐の青春』という邦題でDVD化もされているのですが、今回のTIFFでは原題で上映されるようです。私が初めて見たのは1980年代で、台湾版ビデオで見たような気がします。英語題の「Nomad」のとおり、「高等遊民」という感じの男女が出てきて、おまけに日本赤軍まで登場する、こう言っては何ですがものすごく変な映画だった、というのが最初に見た時の印象です。その後断片的に何度か見ているものの、レスリー・チャンを見るためだけに見た、という感じなので、映画の全体像をつかめているとは言いがたい状態ですが、監督の譚家明(パトリック・タム)はその後『最後勝利』(1987)で瞠目し、好きな監督の1人となりました。1980年代初期の香港にできたひび割れのような世界を描いていますので、それが40年経ってどんな亀裂になったのか、検証する上でも一見の価値がある作品です。
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しかし、パトリック・タム監督、先般公開された『七人楽隊』(2021)の担当パート「別れの夜」を見てみると、いつまで経っても若いというか青臭いというか、老いを感じさせない監督だなあ、と思いました。これからもお元気でいて下さいね(私より1歳上なので一応エールを)。
では、今年も東京国際映画祭をたっぷりとお楽しみ下さい!!