『炎』等の名脚本家コンビであるサリーム=ジャーヴェードの1人、ジャーヴェード・アクタル氏が現在来日中で、本日は八潮メセナというホールで、ジャーヴェード・サーハブを囲むムシャーイラー(詩会)が開催されました。
真ん中の写真がジャーヴェード氏で、周りの人々は、上半分が主催者サイドの皆さん、下半分の若い日本人の皆さんは、本日ムシャーイラーに出演し、詩を読み上げた方々です。東京外国語大学ウルドゥー語の学生さんや卒業生の方を中心に、ウルドゥー語やヒンディー語を勉強した皆さんで、今日の本番では堂々たるシャーヤル(詩人)ぶりでした。私がこの催しを知ったのは、ジャーヴェード・サーハブのインタビュー形式の伝記本(下写真)を書いたりしていて親しい間柄のナスリーン・ムンニー・カビールに教えられたからで、「あなたの電話番号、ジャーヴェード・サーハブに伝えといたからよろしくね」というWhatsApp(海外版のLINEのようなもの)のメッセージが来てから、主催者の方に電話したりWhatsAppしたりと、もうてんてこ舞い。主催者の中のお一人Niazさんという方がとても親切に対応して下さって、本日舞台にお出になる前に、ジャーヴェード・サーハブにお目にかかれたのでした。
インド映画ファンの方なら、「ジャーヴェード・アクタル」の名前を知らない方はないと思うのですが、サルマーン・カーンのお父さんサリーム・カーンと組んで、サリーム=ジャーヴェードとして1971年『Andaz(スタイル)』の脚本でデビュー、以後、『Zanjeer(鎖)』(1973)、『Deewar(壁)』(1975)、『炎』(1975)、『Don(ドン)』(1978)等々、アミターブ・バッチャンの主演作を次々とメガヒットにしていった超人気脚本家です。作詞家としても知られ、そもそも詩人でもあるという、マルチな活躍をしている方ですが、奥様は女優のシャバーナー・アーズミー、娘は『ガリーボーイ』(2018)や『鼓動を高鳴らせ』(2015)の監督ゾーヤー・アクタル、息子は『ミルカ』(2013)の主演男優であり、『DON 過去を消された男』(2006)の監督であるファルハーン・アクタルという、映画人一家のお父様です。実際にお目にかかってみると、79歳というお年を感じさせない、明晰な頭脳を持った方で、声も張りがあって、そのお年とは思えません。
控え室では、ヒンディー語、英語、ウルドゥー語の三言語で書かれた詩集等を下さったあと、「あなたが脚本をお書きになった映画でヒンディー語を学んだようなものなので、あなたの映画とその脚本は私のヒンディー語の先生です」というお話をして、『炎』がちょうど来週、福岡のアジア美術館でまた上映される、というお話をし、チラシをご覧に入れるととても嬉しそうでした。
ジャーヴェード・サーハブには秘書の方が付いて来ているのですが、その秘書のキショール・サーフーさん(有名な昔の俳優と同じ名前なのでびっくり!)に、「このチラシもキープしておいて」と渡して下さったりして、感激しました。また、東京外国語大学ウルドゥー語科の萬宮健策先生も一緒にいらしていたので、萬宮先生のきれいなウルドゥー語にこれはいい話し相手、とばかり、しばらく詩のことなどお話なさっていました。その後、NHKの国際放送NHK WORLDの記者さんが3人がかりのインタビュー。その時のスナップを2、3枚付けておきます。NHK WORLDで後日放送されるとおもいますので、こちらのHPでチェックしてみて下さいね。
そうこうするうちに時間となり、舞台へと移動。主催者とジャーヴェード・サーハブのご挨拶から始まり、続いて学生さんたちのシャーヤリー(詩)、そしてそれに応えるかのようなジャーヴェード・サーハブの詩と、本日の主演目が舞台で繰り広げられました。
その後、舞台に登場した方々に認定証が、ジャーヴェード・サーハブの手からプレゼントされます。ムシャーイラーってこういう風に進行するんだ、と初めて参加した私は驚くことばかり。
その後、パフォーマンスに移って、日本人のルバーブ(ラバーブ)奏者の素晴らしい演奏が披露されました。Uedaさんという方でしょうか、きちんとお名前をメモしておかずすみません。
続いては、まったく雰囲気の違うカッワーリーの一団が登場、主唱者と伴唱者がド迫力で、ちょっと俗っぽい音や展開ながら、聞く者を引き込んでしまう魔力に満ちたカッワーリーでした。
面白かったのは、左端のシンセ担当者だけが普段着で、それでいて結構メロディーにからむこと。主唱者と伴唱者はこちら。主唱者にはファンがついているようで、おひねりに当たる札びら撒きに舞台上に上がる人も登場しました。
タブラとドーラクだと思いますが、もう一つの太鼓を担当していた打楽器奏者もとてもいい音でした。
というような余興もあって、午後5時すぎから始まったムシャーイラーは8時過ぎにお開き。長時間でお疲れになったのでは、と思います、ジャーヴェード・サーハブ。
会場には、パキスタンの方らしき皆さんを中心に200人近くが集い、最後もジャーヴェード・サーハブを囲んで立ち去りがたそうでした。まだまだ会場の席には余裕があったので、もっと宣伝して差し上げればよかった、と反省しています(無料のイベントで実態がよくわからず、インド映画研究会メンバーにしかお知らせを回さなかったのでした、スミマセン)。今回が日本では初めての開催という「Tahbib Festival」、次回があればいいですね。ジャーヴェード・サーハブ、来日して下さり、ありがとうございました! 主催者の皆様方、大変なイベントの実施、お疲れ様でした&ありがとうございました!!