中国経済ニュースクリップ

中国経済に関して興味深い新聞記事をクリップしていきます。

中国、「独禁法」制定=競争促進に一歩

2007年08月30日 | 産業
【北京30日時事】中国の第10期全国人民代表大会(全人代)常務委員会の第29回会議は30日、公平な市場と競争秩序を保証する基本法となる「独占禁止法」を採択した。私有財産保護を明記した「物権法」(今年3月制定)と並び、本格的な市場経済に向けた一歩となる。施行は2008年8月1日。
 独禁法の立法作業は1994年から始まったが、計画経済からの本格脱却への抵抗も強く、制定まで13年かかった。ただ、電力、鉄道など基幹産業における国有大企業の「独占」を事実上、容認。先進国並みの市場ルールの確立には「道半ば」(専門家)との評価が多い。
 「独禁法」は8章57条。「カルテル」「市場支配的地位の乱用」のほか、計画経済時代の名残とも言える行政権力の乱用による競争排除行為も規制の対象とした。地元企業を優先したり、他地域の企業の参入を拒否したりする「地方保護主義」にメスを入れる姿勢を示した。 
 国務院(中央政府)が設置する「独占禁止委員会」が独禁法に関係する政策の指導、調整に当たる。ただ、実際の執行機関については「国務院が規定する」とされ、日本の公正取引委員会のような独立性が確保された体制になるのかどうか不透明だ。
 このほか、外国企業が中国企業を買収する際、国家の安全にかかわる案件は、独禁法だけでなく「国家の関連規定に基づき審査を行う」とし、事実上、外資の参入障壁を高くした。(了)

中国主席、金融改革の一層の推進を要求

2007年08月30日 | 金融
【RP=時事】29日の中国中央テレビによると、中国の胡錦濤国家主席は28日、北京で開催された中国共産党中央政治局の第43回集団学習で、「金融改革の推進を加速し、金融の安全を適切に保障し、金融工作を全面的かつ立派にやり遂げ、金融業の総合力、競争力ならびにリスク対応力を強め、金融業の持続的かつ健全な発展を促進しなければならない」と述べた。
 胡主席はまた、「農村金融改革・発展を金融工作の重点とし、農村金融の基礎的サービスシステムを整備し、各種の農村金融機関の役割を十分に発揮させ、『三農』(農業、農民、農村)の特徴に合った多層的で、幅広くカバーする持続可能な農村金融システムの確立・整備を加速しなければならない」と語った。(了)

中国株式市場が日本超え=好景気背景に時価総額で-英紙

2007年08月30日 | 金融
▼中国株式市場が日本超え=好景気背景に時価総額で-英紙
 【ロンドン29日時事】29日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、株式市場に上場する企業の時価総額で、景気拡大が続く中国(香港含む)が日本を上回ったと報じた。香港に本部を置く証券会社CLSAのフレイザー・ハウイー氏の試算によると、28日の終値ベースで中国市場は4兆7200億ドル(約542兆8000億円)に達し、日本は4兆7000億ドル(約540兆5000億円)だったという。
 米国の低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題を背景に、世界的な株安基調が続く中、日本市場は8月に入り7%超も下落。一方、中国の上海・深セン株式市場は、好調な企業業績を映して、28日まで7営業日連続で史上最高値(終値ベース)を記録するなど、日本と明暗を分ける格好となった。
 中国の大手銀行である中国工商銀行(ICBC)の株式時価総額が、米シティグループを抜き、銀行部門で世界1位となったほか、中国企業の収益の伸びは日本企業のそれを大きく上回る。
 急激な株高に対して、多くの中国本国のアナリストは「中国の株式市場の上昇は経済の強さに裏打ちされたものだ」と強調。中国の長江証券のアナリスト、ツォン・ファ氏も、中国株式相場が調整局面を迎える可能性はあるが、「バブル状態」ではないと指摘。その上で「長期的な観点から判断すると、現在の株価水準は割高ではない」と述べた。
 ただ海外のアナリストの中には「明らかに買われ過ぎ」と見る向きも多く、ハウイー氏も「巨大なバブルだ」と述べた。米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン前議長が5月に、「(中国の株式ブームは)明らかに持続できない。いつかドラマチックな形で収縮するだろう」と語り、急落の恐れを警告したこともあり、市場関係者の間には「バブル崩壊」の警戒感も強まっている。

エネルギー効率利用が課題=発展戦略で5カ年計画 北京特派員 高村直人

2007年08月22日 | 産業
■エネルギー消費、年10%超の増加
■節約・環境重視の5カ年計画を策定

中国は2003年以来、連続して10%を超える経済成長を続けている。08年の北京五輪、10年の上海万博を控え、発展の勢いは一段と加速している。一方で、エネルギー多消費型産業の構造改革は進まず、極端な石炭依存、原油の輸入依存度の高さを背景に、成長の基盤であるエネルギー供給の将来に黄信号がともっている。中国政府は、こうした状況を踏まえ、資源開拓、供給体制整備、エネルギー消費効率の向上などに本格的に取り組む構えだ。

  ◇エネルギー消費、年10%超の増加

 中国の国内総生産(GDP)伸び率は03年から二ケタ成長となり、06年は11.1%、07年に入ってさらに加速し、1~6月期は11.5%、4~6月に限ると11.9%の高成長を記録した。中国経済は「01年の世界貿易機関(WTO)加盟で弾みが付き、03年から新たな成長期に入った」(国際金融筋)格好だ。
 WTO加盟の条件として、中国は対外開放と国内の規制緩和を実行したため、製造業を中心に日米欧の企業が東部沿海地区などに相次いで進出。様々な優遇措置を受けて、輸出を急拡大させた。こうした外資の投資と輸出が一つの起爆剤となって、投資、輸出主導の経済成長パターンが出来上がった。
 エネルギーについては、発展の指標として量的な拡大が中央・地方政府を問わず重視された結果、鉄鋼、石炭、セメント、石油化学などエネルギー多消費型で環境汚染度も高い産業で新規参入、設備投資が大幅に増加した。このため、エネルギー消費量はうなぎ上りとなり、ここ数年は、エネルギー供給、環境汚染などへの懸念が急速に高まった。
 国家統計局などによると、期間がWTO加盟で経済活動が刺激された時期と重なる2000年~05年の第10期5カ年計画中のエネルギーの総消費量は、年平均で10.15%増加する一方、エネルギー生産は同9.82%の増加にとどまった。供給の増加が需要拡大に追い付かず、「エネルギー需要が不断に増加する中で、資源上の制約はますます厳しくなっている」(国家発展改革委員会)のが現状だ。
 中国は現在、エネルギーの生産・消費とも米国に次ぎ世界2位。しかし、13億という世界最大の人口を抱えているため、一人当たりのエネルギー資源の総量は、極めて低水準で、石油は世界平均の7.7%、天然ガスは同7.1%にすぎない。
 このため、国民の消費構造の向上に伴うエネルギー消費の継続的な拡大と持続的発展には、安定的なエネルギー資源の確保、効率的な利用、節約がカギとなっている。経済成長率が1%下がると100万人が失業するともいわれる中国では、ある程度高水準の成長が社会安定の必須条件ともいえる。

  ◇節約・環境重視の5カ年計画を策定

 こうした状況を受けて、中国政府は今年4月、2010年までの「エネルギー発展計画」を公布した。エネルギー資源の現状を分析した上で、発展目標を設定し、石炭、石油、原子力、資源節約と環境保護など、重点項目ごとに詳細な規定を盛り込んだ。関係者は「エネルギーの発展戦略に的を絞った5カ年計画は初めてではないか」と指摘している。
 発展計画は、「エネルギー情勢」「方針と目標」「建設の重点」「エネルギー節約と環境保護」「科学技術の進歩」「保障措置」の全6章で構成。
 エネルギーを取り巻く情勢は極めて厳しいとの認識から、「節約を優先し、国内に立脚、多元的に発展させ、環境を保護し、相互利益に基づく国際協力を強化する」ことをエネルギー戦略の基本に据えた。
 具体的な目標としては、年平均のエネルギー消費の伸びを4%に抑制し、10年の消費総量は27億トン(標準炭換算)に設定した。2000~05年に比べ、伸び率を半分以下に抑えることを意味する。大胆な目標設定は、「エネルギー需給に対する中国政府の危機感の表れ」(国際貿易筋)とみられる。
 各エネルギーの構成比率は、石炭と石油を05年比でそれぞれ3.0ポイント、0.5ポイント引き下げ、66.1%と20.5%とするほか、天然ガス、原子力発電を各2.5ポイント、0.1ポイント引き上げ、それぞれ5.3%、0.9%とするとした。
 計画の最大の特徴は、エネルギーの消費効率を向上させるため、節約と環境保護に大きな重点を置いたことだ。結局は経済成長の阻害要因となる環境汚染を無視して開発を続ける地方政府、企業を抑えて、短期的にはコスト高となる省エネ設備、環境保護技術の導入を促進するのは容易ではない。
 国務院(中央政府)は先に、省エネだけでなく、地球温暖化対策についても、温家宝首相をトップとし、関連部門の閣僚が軒並み参加する部門横断的な指導組織を立ち上げ、「中央政府が本気で取り組む姿勢」(同)を示した。
 現行の第11期5カ年計画では、GDP1単位当たりのエネルギー消費を10年までに20%削減するとの目標を設定した。しかし、初年だった06年は、鉱工業を中心とする生産拡大を背景に、未達成に終わった。今後、年間の削減幅を一段と改善しなければ最終目標は達成できず、中国のエネルギーをめぐる環境は決して楽観できない。

中国、追加利上げ=景気過熱防止で、今年4回目

2007年08月21日 | 国内マクロ
【北京21日時事】中国人民銀行(中央銀行)は21日、金融機関の貸出・預金基準金利を引き上げ、22日から実施すると発表した。1年物の預金金利は0.27%、貸出金利は0.18%それぞれ引き上げられる。利上げは7月に続くもので、今年4回目。
 中国経済は1~6月の成長率が11.5%と、加速傾向にあり、人民銀は連続の利上げによって、景気過熱の防止に強いメッセージを発した。 
 中国では大都市を中心に不動産開発など投資活動も活発。このところ、固定資産投資も一段と加速している。また、7月の消費者物価指数は前年同月比5.6%上昇と、10年ぶりの高い伸びを記録した。利上げは物価急上昇を抑制する狙いもあるとみられる。
 利上げにより1年物の預金基準金利は3.60%、貸出基準金利は7.02%となる。
 預金金利の上げ幅を貸出金利より大きくしたのは、高騰する株式などに個人預金が流出しているため、預金の相対的な魅力を高めることが狙いとみられる。(了)

中国、資本規制を一段と緩和=個人も直接、海外証券投資可能に

2007年08月20日 | 金融
【北京20日時事】中国国家外貨管理局は20日、個人による海外株式市場への直接投資を、天津市の経済改革モデル地区である「浜海新区」で試行すると発表した。資本取引の規制緩和の一環で、巨額の外貨準備の急激な増加を抑制する狙いもあるとみられる。 
 中国では現在、当局が指定した銀行、証券会社を通じて一定限度で海外投資が可能だが、機関投資家が主体であり、銘柄選択などの自由もなかった。試行案では、大手国有商銀である中国銀行の新区内支店に外貨口座を開設、中銀国際証券に委託して、金額の制限なしに売買できる。
 投資先は当面、海外扱いしている香港市場の上場商品。中国では昨年来、株投資ブームで上海、深セン市場の株価が急騰しており、今回の自由化を受けて、香港市場にも本土の投資資金が大量に流入する可能性がある。
 外貨管理局は今回の措置について、「個人の投資先を拡大するとともに、外貨資金の秩序ある流出に役立つ」と指摘した。
 中国の外貨準備は既に1兆3326億ドルに達した。中国政府は、外貨の本格的な海外運用に向け、国有の投資会社の設立準備を進めている。(了)

物価、全面上昇ではない=農産物供給は問題なし-中国改革委

2007年08月20日 | 国内マクロ
【北京20日時事】中国国家発展改革委員会の曹長慶価格局長は20日、今年7月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で5.6%と10年ぶりの高い上昇となったことについて、CPIに占める比率が高い食品価格の高騰が原因であり、全面的なインフレの前兆ではないとの認識を示した。
 曹局長は、農産物の供給に関しては、穀物生産は3年連続の豊作であり、肉類も豚肉を除き、羊、鶏肉などの生産は大幅に増加しているとして、「(供給は)完全に保証できる」と強調した。
 今年1-7月のCPI上昇率は前年同期比3.5%。CPIは食品、住宅など8項目で構成されているが、曹局長によると、3.5%の上昇のうち、2.9%は食品価格上昇(8.6%)の寄与分で、残りの大半は住宅価格の寄与分という。
 食品価格の上昇は(1)世界的な穀物価格の上昇(2)飼料価格の高騰-など生産コストの上昇に加え、豚肉の場合は、昨年の価格低迷を受けた生産減少、伝染病の拡大を指摘。また、一部業界による価格カルテルの動きもあり、曹局長は厳しく取り締まる方針を改めて示した。
 曹局長はまた、国際原油相場の最近の上昇を受け、国内の石油製品価格が値上げされるとの観測について、「国内製品価格が低く抑えられ、石油精製業が赤字になり、一部の小規模精製所は閉鎖に追い込まれた」と指摘。
 その上で、発展改革委として、中国石油天然ガス(CNPC)、中国石油化工(シノペック)の大手2社に対し、生産の拡大と、石油製品の輸出抑制、国内供給優先を要求したことを明らかにした。(了)

人民元が急上昇すれば経済成長に打撃=中国人民銀政策委員

2007年08月20日 | 国内マクロ
【北京20日ロイターES=時事】20日付の中国証券報によると、中国人民銀行(中央銀行)金融政策委員会の樊綱委員は週末の経済フォーラムで、人民元相場が急上昇すれば中国の経済成長に深刻な打撃を与えるとけん制した。
 同委員は、ドル相場は長期的な下落基調にあり、人民元相場はたとえ30-40%上昇したとしても、一段と上昇するとの観測は消えないと予測。これが投機資金を呼び込み、経済に損失を与えると警告した。
 同委員は、経済の内外不均衡に対処するため、土地や資源など主要原材料の価格を引き上げる必要があると指摘した。
 また、国有企業は商務省に配当金を支払うべきだと主張。こうした追加収入により、政府は減税や社会保障への支出が可能になり、国民の可処分所得を増やし、消費をてこ入れすることができると説明した。(了)

固定資産投資、依然高い伸び=1~7月、不動産は29%増-中国

2007年08月16日 | 国内マクロ
【北京16日時事】中国国家統計局は16日、今年1~7月の都市部固定資産投資が前年同期比26.6%増の5兆6698億元(約87兆3000億円)となったと発表した。
 伸び率は1~6月(26.7%)とほぼ同水準で、政府の投資過熱抑制策にもかかわらず、開発ラッシュが続いている。
 1~7月は不動産開発投資が28.9%増と、1~6月(28.5%増)から一段と加速した。北京など都市部では不動産価格が上昇しており、中国政府はむやみな開発の抑制、環境審査の厳格化などマクロ調整を継続するとみられる。 
 1~7月は中央政府のプロジェクトは金額で15.4%増にとどまったが、地方政府分は27.9%増に達した。(了)

「CPIは4%上昇」、信息中心が修正[経済]

2007年08月16日 | 国内マクロ

国家発展・改革委員会(発改委)系のシンクタンク、国家信息中心はこのほど、上昇を続ける消費者物価指数(CPI)について、通年での上昇幅は4%前後になるとの見通しを明らかにした。ただ同中心は、今後も上昇傾向は続くとしながらも「コントロールできない水準ではない」とも分析している。

同中心は7月に、通年のCPI上昇幅を3.3%とする予測を発表しており、今回は予測値を上方修正した形となる。

同中心は豚肉、穀物など食品のほか、不動産価格、卸売り物価指数(PPI)における資源価格の高騰などを受ける形で、今後も上昇傾向は続くと指摘。CPIの通年での上昇幅は、3.9%と高い伸びを記録した2004年をさらに上回る4%前後になるとしている。

同中心は一方で、ここ20年のCPI上昇率を分析した結果として、5%までは許容範囲であるとも分析。また04年の6~9月にかけて、4カ月連続で伸び幅が5%を超えたことを考慮すると、現在の上昇幅はまだ深刻とはいえず、コントロール可能な範囲内にあるとも分析している。

CPIの上昇幅は3月に3%を、また6月にはインフレ警戒ラインとされていた4%をそれぞれ突破。7月の上昇幅は過去10年間で最大となる5.6%に足していた。<全国>