チモシェンコ大村のロン・ポール研究+くだらない話

ロン・ポール氏のブログ翻訳を通じて、リバータリアン思想・オーストリア経済学について勉強しています。

終わりなき海外駐留

2012-05-09 12:41:00 | 軍事
おなじみロン・ポール議員のブログから。

Texas Straight Talk 2012/05/09

Enduring Commitments Abroad

終わりなき海外駐留(拙訳:チモシェンコ大村)

オバマ大統領は先週、夜明け前のアフガニスタンに電撃訪問し、ウサマ・ビンラディンの殺害1周年を記念するとともに、同国での米軍の駐留継続を認める戦略協力協定に署名しました。大統領は、「両国は揺るぎない互恵関係を築きつつある。あなたたちが立ち上がれば我々も立ち上がる」と発言しました。この発言が実際意味するところは、米国はアフガン政府を支援するため、当初の撤退期限であった2014年を越えてさらに10年も米軍を駐留させるということです。

また大統領は、アフガンからの米軍即時撤退を主張する人に対して、「我々にはアフガンに安定をもたらす義務がある」と反論しました。しかし、そのために後どれほど時間がかかるのでしょうか。我々はすでに米国史上最も長い戦争を続けており、人的・経済的損失も尋常ではなく、その出口も見えていません。

アフガンが安定化に向かっているという証拠はほとんどありません。実際のところ、4月には、さらに34人の米軍兵士が死亡し、暴力と混乱は激しさを増しています。大統領がアフガンを出発してから90分以内に、カブールで自殺テロが起き、さらに7人が死亡しました。米軍のアフガン駐留がこの国の安定化に何も役立っていないことは明らかです。ウサマ・ビンラディンもアルカイダも事実上いなくなった今、我々は、作る国などないような地で国家建設に勤しんでいるのです。

オバマ大統領のアフガン訪問がなぜ通常の訪問ではなく“電撃”訪問であったのかを考えてください。10年経った今でも、アフガンを行き来するのは非常に危険だからです。アフガンでの目覚ましい進歩を語る大統領の楽観的な言葉より、こちらの事実のほうが説得力がないでしょうか。

米軍の駐留継続は何を意味するでしょうか。韓国に聞いてみてください。この国では、休戦後も米軍が50年以上駐留を続けています。一部の試算では、米国の納税者は、韓国での米軍駐留のために年間400億ドルも負担させられているということです。世論調査によると、韓国人の中でも特に若者は米軍駐留にうんざりしており、我々に韓国から出て行ってもらいたいと思っているようです。同じことが沖縄についても言えます。沖縄では市民が声を上げ、米軍撤退の方向へ動き始めています。

ソ連は、統一国家を実現するためにはアフガンを取り込まなければならないと考えました。しかし、彼らは判断を間違えただけでなく、多大な代償を払うことになりました。開戦から9年が経過し、1万5千人のソ連側犠牲者を出した時点でやっと、モスクワの共産主義政権は過ちに気がつき、アフガンから軍を撤退させました。ソ連のアフガン撤退が完了したのは1989年初めです。その間にソ連はさらなる経済危機に陥りました。これも大部分は、ソ連が多くの属国からなる世界帝国を維持しようとしたからです。同じ年の後半になると、ソ連圏は崩壊を始めました。東欧政権の崩壊から始まり、ソ連自体も潰れることになったのです。ソ連崩壊はその後継国家にも多大な経済的打撃を残し、今でも完全には回復していません。ソ連が1989年に気づいたときはもう手遅れでしたが、これを米国が学ぶにはまだ遅くはありません。大統領閣下、アフガンから撤退すべきなのは今です。2024年ではありません。