スロバキア、タトラ山脈の麓より

スロバキア人の夫と2人の娘と私の生活
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継承していくもの

2015-03-26 | スロバキア2015

窓辺で元気良く芽を出したトマト(種をまく時期は3月の第2週だそうです)

ここ数年、マルツェルは庭仕事に興味を持ち始めました。今は野菜も果物も一年中何でもスーパーで手に入り、義父母の畑も趣味になってしまいましたが、社会主義の頃は食料が思うように手に入らないことから畑は欠かせないものでした。マルツェルは小さい頃からもちろん両親の庭仕事、畑仕事を手伝わされてきてはいるのだけれど、でも嫌々してきたのと、畑の石を拾うとか、単純で面白くない作業ばかり手伝わされてきたのでちっとも楽しくなく、意外と知らないままで、いつも祖父母につきまとっているネルカが一番よく知っているのではないかと思ってしまうくらいです。それがここ最近、気分が変わったようで(きっと大人になったのでしょうね)、昨年は義父母の隣の庭が売りに出ていたのを本気で買おうかと考えたり(結局、義父母の庭があるのになぜ私たちまで買う必要があるのかと諭され断念)、義父と一緒に畑の土起こしをしたり、グラーシュを作ったり、いつもは庭に行っても木陰に座って数独やらクロスワードをしているのが常でしたが、昨年は積極的によく参加していました。そして私たちも継承していかないといけないとまで言うようになりました。私も手伝ってしっかり義父母のノウハウを引き継いでいかないといけないとは思うのですが、家の鉢植えさえも水をやり忘れて枯らす性分、庭仕事はとてもじゃないけれど勤まらないと思っています。それでもマルツェルが今年はまず、畑の一角を借りて私たちだけの野菜を責任を持って育てようと言い出しました。

まず作りたかったものはトマト、にんにく。でももう雪の解け始めた春になってはじめようと思ったところで出遅れているものがいくつもあります。にんにくも、そしてネルカの大好きなイチゴも昨年の内に植え、畑で冬を越しています。ならばせめてトマトだけでもと慌てて種を買い、撒きました。私たちはこのカプセルのような土を買ってしまいましたが、義父母に倣ってそれを窓辺に置きます。

そしてこれ、

少し大きくなったら苗をひとつひとつ植え替えます。これも義父母に倣ってヨーグルトのカップを集めるところから始めました。

義母の窓辺では春の風物詩です。ヨーグルトの容器に入ったトマトやセロリ、あとは何があったかとにかく所狭しと窓辺を陣取っています。

義父母の庭はここよりも南の、そして南向きの斜面にあり暖かいところですが、それでもこの辺りの夏は短いのでトマトなどは温室で育てます。義父母もガラスの温室を持っていてその中でトマトやきゅうりなどを育てています。私たちも今年は簡易的なビニールハウスを作ってその中でトマトを育てる予定です。一年中スーパーで野菜が手に入ると言っても、お店で買うトマトの美味しくないこと。水栽培で太陽の光も浴びずに育っているのでしょう。赤いだけで中身は水のような、全く味のしないトマトです。一方庭で採れるトマトの美味しいこと、色鮮やかで香りがあり、味はもうお店で買うものとは比較になりません。今年は私たちもあのトマトが自分たちの手で収穫できるでしょうか。楽しみです。


我が家の窓の外に置いてあるアサツキが芽を出しました。

昨年寒くなって枯れてしまってからそのまま放置していたものを(水もやらず、そして冬の間は完全に土まで凍っていたでしょう)、先日義母が遊びに来たときに枯れた葉を切り、水をやってくれました。暖かくなったらまた自然に芽が出るわよ。と言って。
昨日ふと目をやると透き通るような美しい緑のアサツキがまた育ってきています。たったこれだけのことでこんなにきれいな芽が出てくるのかと嬉しくなってしまいました。

今年は私も庭仕事、頑張ろう。そしてしっかり継承していこう。

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