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蔵馬ウケネタ、日常のことなど思った事を綴る。

血の旋律 ハッピーバージョン

2019年01月31日 00時39分30秒 | 蔵馬受けblog内小説
血の旋律

ハピエンバージョン

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血の旋律

静かに横たわるからだがやけに綺麗だった。

桜が咲いている、その丘の上。
満開の桜は美し過ぎて、却って恐ろしかった。

夜の闇の中、今日はなぜか月がくっきりとはっきり浮かび上がっていた。

「…幽助」
音もなくその人が姿を現した。
「コエンマ、か。」
幽助の手には血が流れていた。
腕を伝う血がまだ暖かく、恐ろしいほどにはっきりと、幽助の頭まで上ってくるような
感覚があった。一歩幽助に近づくと、なれぬ匂いにコエンマは口を覆った。
「…よかったのか」
「よかった。」
後悔はしてない、と幽助はしゃがんだ。
そばに横たわるものはふたつのからだ。


黒い服を纏った…その男は、白い衣を羽織った黒髪の人を、かばうように倒れていた。
咲きかけの桜が、二人の傍で揺れた。
「蔵馬」
幽助の声がした。コエンマは、何も言わずに去って行った。
「蔵馬……蔵馬」
そっと、しゃがみ込んで幽助は蔵馬の手を握った。
今まで意識しなかったけれど、こんなにもこいつは細かったんだ。
蔵馬は、飛影と出会ってしまった。
蔵馬は人間ではないけれど、妖怪にしては人間の感情に近すぎた。飛影と、出会ってしまった。
恋に溺れるのに時間はかからず…。
飛影はヴァンパイアだった。
白い肌の蔵馬は誘惑の存在でしかなかったが、それでも二人は恋に落ちた。

ヴァンパイアの中でも凶暴と言われる鴉の一族に襲われた際、飛影は蔵馬の手を
取って走った。けれど逃げる二人の行く先は食料があるわけもなく…タブレットで
血を補っていた飛影の身体は飢えていた。

「蔵馬」
もう一度幽助は名を呼んだ。
「もう、大丈夫だ」
ぐらぐらと、飛影のからだを揺らしてみた…そっと、黒い瞳が幽助を射貫いた。
「蔵馬は」
「気を失っているだけだ」

二人を見つけた幽助は…即座にカプセルを飲み込ませたのだ。
それは、血の巡りを補う薬。
蔵馬のからだのなかの循環を補い、飛影には体力を補うことになる薬。
「あとは…俺の小屋で匿ってやる」
幽助が、蔵馬のからだを指さした。
そっと、飛影が蔵馬のからだを抱え上げた。
この恋を、自分は全うする。
いつか…血をすすらないからだになれれば。

「蔵馬は生きている。お前たちを匿うくらい、俺だって出来る」
幽助が、笑った。


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と言う、5年以上前に書いたヴァンパイアネタでした。

はじめアンハッピーバージョンしかありませんでしたが、
「ハッピーバージョンも創ってみよう」とおもい
途中から変えて創ってみました。


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