満ちるは桜。

好きなものを書いてる普通の人日記。

終電を超えて〜Christmas Nightが好き

2017年12月04日 01時59分56秒 | A.B.C-Z創作
クリスマスと言えばシャンメリーですよ。

今回はそのままズバリA.B.C-Zの新曲聴きながら考えた話です。
でも一番しか読んでないので全体聞いたら物語変えなきゃってなるかも(笑)。





この下から話です。











「映画楽しかったね〜」

テレビ画面に流れるエンドロールを彼の部屋のコタツでくつろぎ見ながら呟く。すると、
「でしょ!?やっぱさ、この監督の映画は面白いと思うんだよね!」
と隣にいる彼が私の方を向いて熱っぽく話した。
「好きだね〜」
そう返すと彼は
「あ、ごめん、熱くなって」
と謝ったので、私は慌ててこう返した。
「え?面白い映画だったし、謝ることじゃないよ?」

……


とは言ったものの申し訳ないが、彼の好きな監督の映画が面白いか面白くないかより、私には考えていることがあった。

今夜、どうするの?

ってことだ。
私はこのまま帰り支度を始めて帰らないと終電に間に合わない。
既に終電までのカウントダウンは始まっているのだ。
でも、彼は悠長に熱く映画を語り始めそうなのだ。
かと言って、彼が楽しげに話しているのに素っ気なく帰るのもしたくない。
でも、ここは彼の家なのだ。
今日は彼が「映画観ようよ」って誘ってくれてたから午前中は最新作の映画を映画館に観に行った。
そして知らない間に予約されていたレストランで食事をとり、
「俺の好きな映画観ようよ」なんて自宅に誘われている。
気合を入れて着てきたデート服はレストランにはマッチしていたが、
彼の部屋のコタツでは流石に浮いている。
部屋着でミカンを食べたいくらいの部屋なのだ。
でも、私は何とか足を広げないとか女らしい態度を取るようにしなきゃ!
足臭かったらどうしよう…足ケア用品つけたい…
など、彼が気にしているかわからない事柄に気を遣い、
女らしく振る舞わなきゃ!とか、
そもそも彼は何で急にこんなクリスマスイブの当日に自宅に誘うんだ?とか、
もう、全然理解できないままに彼の自宅で彼のオススメ作品を数本鑑賞していた。
宙ぶらりんというか、どう振る舞えばいいのかわからないまま、
彼と楽しく映画を観ていたものの、
私は午後から始まった鑑賞会(?)の異常な長さに少し戸惑っていた。
途中から外は暗くなり、夕飯はデリバリーを取ることになり、
でもひたすらに映画を観て、映画が終わると彼がしばらくの間感想や想いを語っている。
時折聞き返されるので、観た感想は伝えるし、映画の感想なので話は盛り上がった。
最初は楽しかったし、彼のオススメ映画は確かに私にとって面白い作品ばかりだった。
でも段々と21時も過ぎた辺りから終わりがいつなのか気になりだしてしまった。
だって、「泊まって良いよ」とか「時間を気にしないで良いよ」は言わないから!
21時の段階で新しく映画を観ようと準備していた彼に「今夜どうする?」と私からは聞けなかった。
だから、私はこれから帰り仕度をしなきゃいけないではないか。
雪がチラついていたものの、さっさと帰れば何の支障もなさそうな天候の今夜。
私は彼に内緒で明日の有給は取得していたものの、
それだって何となく言い出せなかった。
だって、彼の自宅に来るのは今回で二度目なのだ。
この前は「明日仕事だしね、そうだね、帰らなきゃね」
なんて21時も過ぎると彼に言われて自宅まで送ってもらった。
それに、「明日私お休み取ったんだよ」ってなに?
それだけ言ったところで意味がわからないし「だから泊まらせて」って、彼の部屋に急遽来たのに言うの?
もしや、21時に映画観ようとしてた段階で彼を止めるか私は試されてた?
そう考えると考えがまとまらなくなった。
となると、やはり今の私に残された選択肢は「帰る」しかない。
コートをなんとなく着る素ぶりをしながら、
「あのさ、外雪積もってる?」
そう彼に尋ねた。
雪が降っていれば、その分歩きが遅くなる。
早めに家も出なきゃならない。
車を出してもらえれば時間も多少は気にしなくて良くなるが、
久しぶりの雪道
アイスバーンの可能性
彼は明日仕事
私を送ってからの帰り道
全てを考えたら私が歩いて電車に乗るのが一番。
そう思って聞いた。
「え?あー、雪降ってるよ!」
と、彼がカーテンを少し開けて窓の外を覗きながら答えた。
いや、積もってるか聞いてたはずなんだけど。

「あ、やっぱ降ってるんだね〜」

「猛吹雪だよ?」

「嘘?」

「嘘」

「はぁ〜???私帰るんだから嘘やめてよー。びっくりしたじゃん」





「えっ!」




「えっ?」



お互いの言葉がその瞬間「えっ」だけになってしまった。
「いや、終電もう少しだし家でないと間に合わないしょ」
本当は帰りたくなどないが、こう答えるしかなかった。
「猛吹雪じゃないけど雪だよ?」
「…?雪は降るでしょ?天気予報とかでも言ってたじゃん」
「いや、その、雪降ってるじゃん」
「うん、降ってるから急いで帰らないと」
だって、勝手に居座れない。
「その…」
「あ、遅くまで家にいてごめんね。」
「…!」
彼が言葉に詰まっていた。
すると、横を向いて少しため息に似たような息を吐いた。

「あのね、今日は、家にいてください。」
「それに、もう、遅いから。危ないから。」

彼の目が真剣だった。

「明日月曜日…」
「あ、そっか、休みじゃないよね…」
「いや、私は休みなんだけど」
「え?休みなの?」
「あ、いや、あの、うん」
「なんだ、良かった。俺も代休で明日休みなんだよね」
「え?初めて聞いた」
「なんだ、お互い明日休みなんだ」
「本当だ(笑)」

思わずお互い目を合わせて笑う。
意識し過ぎていつもなら言う予定すら告げられてなかった。

「じゃあコートもう着ないよね?ハンガーにかけるから貸して」
「あのね」
「うん」
「コンビニ行きたいからまだコート着る」
「コンビニ?」
「なんも泊まる用意してないもん」
「あ、そっかそういう準備があるもんなのね」

そして、終電に乗るはずだった私は結局彼と二人で近所のコンビニへ向かう事になった。
外は雪が降っていて、芯から冷えそうな夜だ。
「家から本当にコンビニ近いよね」
歩いて数分のコンビニは本当に便利だと思い、彼に意味もなく話しかけてしまう。
「うん、もう少し先行ったら違うコンビニもあるよ」
「そうなんだ。それにしても寒いね〜こたえる寒さ」
「確かに気温マイナスだし寒いね」
「あー、具体的なこと聞くと余計に寒い〜」
「はは(笑)、さみーのはしゃーない」
彼はそう言って私の手を握り、彼のコートのポケットに入れた。
「これ転んだらヤバいね(笑)」
そう言う私に
「うん、本当にヤバいから慌てて転ばないでね」
彼が笑いながら答えた。

merry Christmas!

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