Chelsea’s Page

村上宏之のブログです

ツアー編  ~その6~

2007-02-19 13:31:29 | BLIZARD
 車での移動は、どうしたって海を越えて行くこともあるので、四国や北海道へはフェリーを使って行きました。四国への移動は広島の呉から、朝早めの時間でした。乗船まで時間があったので港で海を見たりしてたんですけど、その時初めて海にいるクラゲを見ました。俺は海で泳ぐのなんか好きではなかったし、あの頃は釣りとかもやってなかったので自然のクラゲが珍しくて見入ってしまいました。波に合わせてゆらゆらと上下している姿が「ライブやりながらあちこちを流れてる自分に似てるなー」と、なんだか近親感を覚えてしまったのです。

 北海道へは青函連絡船と、仙台から苫小牧まで行ったことがあったと思います。青函連絡船の時は甲板で海を見ていたら、なんとイルカが寄ってきました。しばらく船の横にくっついて泳ぐんですけど、船の方が早いので段々遅れてどこかへ行ってしまったり、ちょっと離れたところで飛び上がったりしてました。

 孝之は「ほんとにイルカかな?」「サメじゃない?」とか言っていて、言われてみるとイルカが泳いでいるのを真上から見たこともないし、こんなところを普通に泳いでるかな?と思ったりしたのですが、随分経ってから、偶然読んでいた本に青函連絡船とイルカの話が出てきて「あ、やっぱりそうだったんだ」と思いました。以外と有名だったようです。

 走り慣れた高速道路を走ってるだけでも、普段は見られない景色を随分見ることが出来ました。遠くで上がっている花火や、紅葉している山々、収穫時期の色付いている田畑、望郷を誘われるような河のある景色、光っている海や湖、富士山のすそ野に広がる夜景など。鉄橋を渡る電車や、海上をゆっくり移動していく船舶、あぜ道をゆっくりと行く軽トラックや作業機器の類、きらりと光りながらずっと上空を飛んでいく飛行機等々。そういう、様々な景色の上には、いつも空が広がっていました。

 明るい空から暮れ色に染まり、深夜の星空から朝焼けへと変わりながら。東北方面のサービスエリアで見た、圧倒されるような冬の星空や、山口の小さなホテルの窓から見た夕焼け空や、北海道を移動した時に見た彼方にそびえ立つ、まだ雪の残る山々や、暗くなりかけた頃にやっと渡れた関門海峡の景色なんかも忘れられないです。結局バンドをやってて一番浮き世離れした気分になるのは、普通ではありえない時間にあり得ない場所にいる、という状況の時でした。

 大阪くらいだと、終わったら夜中走ってそのまま帰京してましたが、いざ帰るとなると「一刻も早く帰りたい」というのが本心でした。深夜なので景色が見られるはずもなく、本が読めるわけでもなく、かと言ってライブ直後で疲れているのに神経は高ぶってますから眠くなるでもなく、なんだか中途半端な、持て余すような状態で音楽を聴きながら、ただじっと椅子に座って、ひたすら東京までの距離を示す、表示板の数字が減って行くを見ていました。「あと400キロ」・・・「あと300キロ」・・・「やっと浜名湖を越えた」・・・「もうすぐ富士山の辺りだ」とか。

 俺は東京という街は特に好きではありませんが、そうやって夜中に地方から長い時間を掛けて帰って来て、遙か遠くに固まって建つ新宿の高層ビル群が見えて来ると、やっぱりほっとして、そして同時に「ああー帰って来ちゃったんだ」と、ちょっと寂しい気分にもなるのでした。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
イルカ (Shana Ra)
2007-02-19 23:30:53
イルカに会えて良かったですね(^^)
私事ですが、最近サイレントドラムを買ってしまいました。
夫とジャムってますよ~。
体がついてかない・・・ドラムってむっずかしいー。
でも、ほんとに楽しいです(´・ω・`)!!!