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NIPPON * BRASIL * ダブル目線 *

ブラジル日系人2世の父と日本人の母を持つ、ダブル国籍。ダブルな目線できままに綴ります♪

ケンジさん

2009-01-10 | ◆ B R A S I L ◆

ブラジルに住み、KDD○ サンパウロオフィスに
勤めていた頃の話。

オフィスには“ケンジさん”という当時40代前半の
日系2世のおじさんがいた。

ケンジさんは、鼻の下にちょびヒゲをはやし、
ひょろひょろの細~い体。しわしわでかさかさの手をしていた。

洒落男をきどって、安っぽいオーデコロンをたっぷりふりかけて出勤。
シャツはいつもキレイ。煙草が大好き!(^。^)y-.。o○

ケンジさんは簡単な日本語は聞き取ることができる。
話すのは、ところどころにポルトガル語をはさむ、
いわゆる(日系)コロニア語。

「ちょっとコヘイオまでカルタなげに行ってくる」

意味わかんないでしょ(笑)?

「コヘイオ」は correio ⇒ 郵便局
「カルタ」は carta ⇒ 手紙
「なげる」は jogar ⇒ この場合は「投函する」という意味。この動詞は
ボールを「投げる」などの意味もある為、直訳するとこういう表現になる。

ケンジさんはひらがなとカタカナだけ読める。

そして、お酒が何より大好き!

なのに彼の主な業務は「運転手」
日本から来ている駐在員の為に運転をする。

ケンジさんは、よく体をこわして会社を休む。
元々そんなに丈夫な体質ではないようだけど、
あれだけお酒飲んで、煙草吸って、偏食していたら病気にもなるさ!

ケンジさんはちょっと抜けている。

勤務中にふらっとオフィスを抜け出して
近くの立ち飲みバーで一杯ひっかける
遠くで飲めばいいのに近くの馴染みの店で飲む為
毎回のように、見つかる(笑)。怒られてもその時だけシュンとして
翌日にはケロリとしている。その繰り返し。

ケンジさんは気が小さい。
病院も嫌いで注射が怖い。

ケンジさんはその頃小学生の娘さんが2人いた。
奥さんはブラジル人。ケンジさんと正反対のでっぷりとした体格の
とっても気が強そうな女性。2番目の奥さん。ケンジさん、完全に尻の下。

ケンジさんは自分のことを殿様のように
「余は~」 と言う。

「余は魚より肉がいい」 「余が先に行く」 「余の勝手」 などなど。

ポルトガル語で「私」の事は「EU=エゥ」 と言う。英語でいう 「 I 」。

ケンジさんは本当は 「EU は~」 と言っているのです。
それが、私達には 「余は~」 と言っているように聞こえるのです(笑)。

面白がって、日本人駐在員の間で 「余は雪隠へ行くぞ」 など
変な殿様言葉が流行りました!

ケンジさんは、お金がない!といつも言いながら、
ロトやサッカーくじなどに毎回大金をかけている。
そして、大抵スッテいる・・・

そう、ケンジさんは一言で言うと 「ダメおやじ」

だけど、なんとなく憎めない。

仕事面でも問題だらけ。恐らく日本ではまともな会社では
雇ってもらえない。怠けることも好きだし、彼には厳しい社会だと思う。 

ブラジル社会にはこうした少し「規格」を外れた人達が大勢います。

でもそんな人達にもまだ生きる場所がある。

あまりにもいろんな人がいるブラジル社会。少々変わった人がいても
目くじらを立てないおおらかさ(無頓着?!)があります。

 懐が大きい

そんなところも私がブラジルを愛する理由のひとつなのです♪