数年受け持った患者のSさんの告別式に出席した。
これまでは、患者さんが亡くなっても、病院からご自宅にお帰りになるときにお見送りをするだけで、数日後に行われるお通夜やお葬式に伺うということはなかった。
たいていの勤務医はそうかもしれない。
最近はありがたいことに医師にも働き方改革が適応され始めて、「主治医ならば常に臨戦態勢」ではなくなり、夜間や休日は当直医や当番医が対応するようになった。
Sさんは長らく行政機関で働いていらっしゃったこともあり、奥様共々、その方面でアドバイスを頂いた。
「センセイのやっている禁煙の仕事は、国の考えを変えるということですから、革命を起こすってことですよ!」
ある時、診察室でSさんに言われて奮起し、知事との面会をとりはからってもらったこともあった。
Sさんは入院中であったが、休日夜間に亡くなったので、当直医が最期の対応をし、死亡診断したため、ご家族に最後のご挨拶ができなかったのが気になっていた。
告別式は平日昼前の時間帯であったが、外来が早く終わったので、黒服に着替えてお別れに伺った。
式は神式で執り行われた。
神主さんが故人の生い立ちや人生でやり遂げた仕事のことなどを詠い、良いお別れの式だった。
病気が悪くなってきてからの、何度かの大事な話合いの場に同席していた実の弟さんが、式中のご挨拶のなかで、Sさんの病気の経過をお話されたが、それがとても正確な内容だったことが、主治医としては嬉しいことであった。
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