魔法使いのサリーちゃんではない。
チェロの師匠の愛犬サリーが亡くなったそうだ。
師匠についたのは2005年。
その時すでに黒ラブのサリーは5−6才ときいていたから、人間でいえばとうに100才を超えていた。
レッスンに行くと尻尾をふって出迎えてくれていたけれど、だんだん寝転んでいることが多くなり、昨年あたりからは脚がすっかり弱くなって、立ち上がるのを助けてもらう介護着を着ていた。
晩年は耳も聞こえなくなっていたそうだ。
彼女は人間の心を読むのが上手だった。
犬が苦手そうな人には無理に近寄らなかったし、初めてのお客さんには愛想良く接していた。
同じようにレッスンを受けていても、距離感は毎回微妙に違った。
レッスン中、足元にぴたっと寄り添ってくれている時などは、「心落ち着けて弾きなさいよ」と言ってもらっている気がした。
だいぶ高齢だったし、最近は会うたびに年老いていっているのがわかったから、お別れの日は遠くないなと思ってはいたけれど、やはりそうなると寂しい。
亡くなったことは門下生の掲示版で知った。
レッスンの時に先生から聞かされるのではなくてよかった。
きっと泣いてしまって、レッスンにならなかったかもしれない。
先生にはメールでお悔やみを申し上げた。
最後は静かに先生に見守られながら旅立ったというから、よかった。