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関根眞一著『となりのクレーマー:「苦情を言う人」との交渉術』を読む

2007年08月25日 | 折々の読書
日本は微笑みの国,穏健な国民だという評価は既に崩壊していると思う。顔見知りのグループ内では良き隣人であり社員であるかも知れないが,別の組織やその構成員と対するときは無視するか,突如,上下関係,敵対関係が勃発するように見受けられる。その顕著な,不愉快な例がクレーマーのいる現場だ。ある晩,駅構内で駅員に怒鳴っている男性を目撃した。酔っていたのか同じ言葉で何度も威喝していたが,何の論理も,むろん知性も感じられなかった。会社の中では大人しく暮らしているのだろうが。

昔は少数派だったクレーマーも,法律の保護を逆手にとって蔓延するようになってきた。小規模なものからプロ手法の脅しの類まであらゆるクレームがお客様相談室などに押し寄せてくる。この本の著者はそういった窓口で長年の対応をされた方。その経験から典型的な例をいくつか紹介し,対応策を伝授している。対応する側は涙ぐましい努力をしていると思う。一方,クレーマーの方は無理難題の強要。我が儘のし放題。ほとんど病気と言った方が正解かも知れない。

思うに,クレーマーのような攻撃的なキャラの方たちは日本国内で無駄にエネルギーを浪費するのはもったいないので,是非,海外に出て日本製品の違法コピーなどの摘発にあたってもらってはどうだろうか。相手国は白を切るだろうし,ネチネチと逆襲してくるだろう。そこで彼らの攻撃性を発揮してもらい国益に沿った活躍をしてもらいたいと思うのである。まあ,この本の例から推測すると,ほとんどのクレーマーが自分の利益最優先だし,強大な権力には弱そうという感じを受けるので,そのような役目は無理に思うが(笑)。

あの手この手でクレームが飛び込んでくる世の中になった。うっかりするとクレーマーの論理に呑み込まれてしまいそうである。窓口担当でなくても,どこで,いつクレームを付けられるかわからない社会。多くの人が読んでおいた方がよいと思う本だが,実例がやや少ない気がする。
いずれにせよ,弱いものいじめは不毛だ。この本を読んでも「おれのことじゃない」というクレーマーがたくさんいるのだろうなあと思うと恐ろしい。

■関根眞一著『となりのクレーマー:「苦情を言う人」との交渉術』(中公新書ラクレ244)


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