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チェロローグへようこそ! 万年初心者のひとり語り、音楽や身の回りのよしなしごとを気ままに綴っています。

三度目の『草枕』

2023年03月22日 | 折々の読書



何気なく、部屋の隅に置いてあった漱石の『草枕』を手に取りました。有名な冒頭の文章を読んで、なるほどなと改めて納得しました。

「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい…」(新潮文庫版、5頁)まさにそのとおりです。

実は、ある窓口でちょっとしたトラブルになって憤慨し、それがなかなか収まらなかったのですが、この文章を読んで胸のつかえが下りた思いがしたのです。

私には正当であっても他の人にはそうではないかも知れない。真っ向から議論するのは疲れます。先方も私も「向う三軒両隣りにちらちらする唯(ただ)の人」であり、それぞれに人生や生活を背負っているのではないか。と、なぜか漱石に諭されたような気持ちになったのでした。


本は、読んだその時々で印象や感慨が異なるとよく言われます。今回は冒頭の一部だけで、かつ、作品とは関係のない読みだと言えるかも知れませんが、以前読んだ時とは異なる感慨を催し、ある意味、「唯の人」としては役に立ったのです。

アンガーコントロールに使うとは何事かと漱石先生に叱られそうですが、今回は身に沁みました。これを機に三読目に挑戦してみようと思います。

夏目漱石著『草枕』(新潮文庫)新潮社,2008年6月刊.


『草枕』と言えば、英語版を愛読していたというグレン・グールド。彼の最後のアルバムとなったゴルトベルク変奏曲(1981年)。
[HD] Bach's Goldberg Variations [Glenn Gould, 1981 record] (BWV 988)


こちらは弦楽三重奏版(Dmitry Sitkovetsky編曲)。リハーサル・ヴァージョンです。
J.S.Bach Goldberg-Variations BWV 988 Kuusisto, Francis, Altstaedt Rehearsal Lockenhaus


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