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【書評】ホーキング博士の遺言(『ビッグ・クエスチョン』)

2023-09-26 00:42:51 | 書評


ホーキング博士の遺言を纏めた『ビッグ・クエスチョン』、ブラックホール以後の章は、要約するのが難しいですね。とりあえず、前3分の1の要約。というか、記憶に残ったこと(笑)

宇宙の始まりなど

 ビッグバンの前に何があったか問うことには意味がない。ビッグバンの後に時間が始まったのであり、その前にはそもそも時間が存在しなかった。よって、その前はあり得ない。南極点より南には何があるのか、という質問に似ている。

人類の行方

 DNAによって、生物は生まれた。そして、DNAは生物の遺伝と進化に大きな役割を果たした。書き言葉の発生は、第二のDNAと言える。一つのDNAに保存できる情報量はハリーポッターの小説50冊分である。対して、一般的な国立図書館には500万冊の本が存在する。また、DNAと違って書き言葉は、更新や追加が容易である。書き言葉の発生が、人間という生物の進化のスピードを幾何級数的に高めた。過去1万年前から、人間という生物の進化のスピードは、まったく別次元の段階に入った。

 私たちの脳は、ダーウィン的なDNAの進化のスピードでしか進化しない。対して、文章文化の情報量の増加のスピードはその比ではない。増えすぎた情報量のごくごく一部しか人には理解する時間がないために、人の専門分野は時代を経るごとに狭くなっている。要するに、DNAと文字文化との進化のギャップが問題となっている。

 その解決として、人類は自己設計してDNAの限界を超えて進化を試みるだろう。たとえ法で禁じようと、必ずそれは一般化するし、そうなれば、人類の中でそうした「進化」を拒んだ人たちは、絶滅するか劣等種の地位に貶められるだろう。

 また、このような宇宙時代、新種の生命ができるかもしれない。もし電気信号だけの、プログラムだけの新種の生命体が誕生すれば、それは我々炭素生命体を遥かに凌駕するかもしれない。

宇宙人は存在するか

 なぜ宇宙人は地球を訪れないのか。地球にしか生物が存在しないのか、生物は比較的発生しやすいが知的生命体に進化する率が限りなく低いためか、どちらもクリアできるのだが、その後、一定の率で起きる隕石落下、小惑星衝突で宇宙移住が起きる前に絶滅してしまうのか。それとも、知的生命たちはある段階まで来ると不安定になりやすく、やがて自ら戦争などによって自滅してしまうのか。

 私のお気に入りは、これらどれでもない次の可能性だ。すなわち、宇宙に知的生命体は存在する。しかし、その出会いは必ず劣った側にとって不幸な結果になるだろう。

未来を予言することは可能か

 仮に全ての粒子が法則的に動き、未来が確定しているとしても、解かなくてはいけない法則が多すぎるために事実上、不可能になっている。一匹の蝶が羽ばたいたために、連鎖的に変化が起き、どこかで大雨が降ることもありうる。量子力学的にあまりに多い粒子と動きの為、100%未来を予想することは、事実上、不可能。

 そして、全ての粒子が必ずしも法則的に動くとは限らない。もっとも小さな粒子となると、それがあまりに軽すぎるため、しばしば離散的な、どうやら非法則的な動き方をする。ハイゼルベルグの不確定性原理であり、「神はサイコロを振らない」の否定である。宇宙には、非法則的なランダムな動きが存在する。これでは、未来の予測は到底不可能だ。位置と速度の両方を予測しようとすると、不確定性が生じる。また、最新の研究では、時空が歪む時があり、私たちの法則が当てはまらない空間が存在する。こうしたものを考えると、未来を予言することは非常に難しい。





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