CASA 地球温暖化の国際交渉

地球温暖化に関する国際会議の開催期間中、現地から参加レポートをお届けします。

通信4-4 途上国における森林減少からの排出の削減

2006年11月17日 | COP/MOP2通信
 森林破壊による温室効果ガスの排出は世界の温室効果ガスの排出量の4分の1に及んでおり、アメリカの排出量に匹敵します。とりわけ途上国からの排出としては最大のものになっています。

 吸収源についてのCDMはCOP7のマラケシュ合意で京都議定書の運用ルールが合意されたあとも議論が続けられ、2003年にミラノで開催されたCOP7で、基準年排出量の1%までという条件で、新規植林(afforestation)と再植林(reforestation)についてのみCDMの事業として認めることで決着しました。

 このとき森林減少(deforestation)についてはCDM事業と認められなかったことから、パプアニューギニアが森林とくに熱帯林の破壊を防止する活動についても評価し、クレジットを与えて炭素市場に参加を認めることをCOPMOPの正式な議題として取り上げるよう主張しました。その結果、昨年のモントリオールでのCOPMOP1で正式の議題として取り上げられ、2006年5月の補助機関会合(SBSTA24)で、2006年8月30日から9月1日に第1回ワークショップを、2007年5月の補助機関会合(SBSTA26)の前に第2回ワークショップを開催することが決まっていました。

 この問題は、COPMOP2に並行して開催されたSBSTA25で、
 ①森林破壊の定義や森林劣化の定義や、森林破壊の量的把握の科学的、社会的、技術的な方法論
 ②どのような政策が考えられるか
 ③これらの関連をどう考えるか
などについて話し合われました。

 11月13日、2007年5月の第2回ワークショップの前の2月23日までに各国の意見を提出すること、2007年12月のSBSTA27の前に第3回ワークショップを開催することで合意に達しました。

 森林破壊の防止は気候変動防止にとって重要な課題です。また、こうした活動が評価されその貢献に補償を与えることは、途上国の参加の一形態となりうるものでもあります。しかし、一方で森林破壊の防止のデータをどのように把握するかの不確実性の問題や、何を基準に破壊が防止されたとカウントするのかなどのベースラインの問題、排出量取引などの市場メカニズムとの接合をどう考えるかなどの問題があり、さらに2013年以降の枠組みと密接に関連する問題でもあり、慎重な検討が求められています

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