CASA 地球温暖化の国際交渉

地球温暖化に関する国際会議の開催期間中、現地から参加レポートをお届けします。

COP14・CMP4を振り返って 3

2009年01月09日 | COP14・CMP4
◆コペンハーゲンに向けて

 確かに、今回のCOP14・CMP4はバリから一歩も前に出ることはできず、本格的な交渉の開始は今年6月に先送りされるなど、期待を大きく裏切ったことは否定できません。未曾有の世界規模の金融危機が進行するなか、半年の交渉で、この複雑で、しかも各国のエネルギー政策や利害が錯綜する交渉が合意に達することができるのかという懸念も払拭できません。

 しかし、前述のオバマ米政権の地球温暖化問題への取り組みの決意だけでなく、米国内で州レベルでの対策が進んでいること、前述のようにEUが包括法制案に合意したこと、とりわけ英国で2050年における炭素排出量が90年比で80%以上、2020年には90年比で26%以上32%以下とするとする気候変動法が成立したこと、COP14・CMP4直後の12月15日、オーストラリアが2020年までに温室効果ガス排出量を2000年比5%削減する中期目標を発表したこと、など明るい材料も多く出てきています。また、途上国のなかから、自らも対策を実施するとの発言がいくつもされたことも明るい材料です。途上国のなかで強い発言力を持っているのは中国、インド、南アフリカ、ブラジル、インドネシアなどですが、とくに南アフリカや韓国からは建設的な提案が出されたり、メキシコが自ら長期目標を掲げたりしていました。

 問題は日本です。削減目標のレベルはともかく、2020年の中期目標を決めていない主要国は日本とロシアくらいになってしまっています。日本政府は、現在、官邸の「地球温暖化問題に関する懇談会」の下に、福井俊彦前日本銀行総裁を座長とする「中期目標検討委員会」を設置し、今年3月を目処に報告書をまとめ、「今年の然るべき時期」に2020年目標を政策的に決定するとしています。
 COP14・CMP4で、政府の関係者に、「然るべき時期」とはいつ頃か、6月の交渉開始に間に合うのかと聞いたところ、6月は困難で、夏前に決定できればよいとの感触でした。それでは、日本が交渉の進展を妨害することになります。

 いま、私たち日本の市民に求められていることは、日本政府に一刻も早く、2013年以降の削減目標に直結する2020年目標を、IPCCが求める2020年に90年比25~40%削減の水準で決めさせることです。

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